『 青春歌年鑑('76-2…の前編 ) 』

〜 「春一番」から「20歳のめぐり逢い」まで 〜


1 およげ!たいやきくん / 子門真人
2 北の宿から / 都はるみ
3 木綿のハンカチーフ / 太田裕美
4 俺たちの旅 / 中村雅俊
5 横須賀ストーリー / 山口百恵
6 わかって下さい / 因幡晃
7 あの日にかえりたい / 荒井由実
8 赤いハイヒール / 太田裕美
9 めまい / 小椋佳
10 山口さんちのツトム君 / 斎藤こず恵
11 愛に走って / 山口百恵
12 君よ抱かれて熱くなれ / 西城秀樹
13 弟よ / 内藤やす子
14 針葉樹 / 野口五郎
15 あばよ / 研ナオコ
16 春一番 / キャンディーズ
17 揺れるまなざし / 小椋佳
18 パールカラーにゆれて / 山口百恵
19 盆帰り / 中村雅俊
20 あなたがいたから僕がいた / 郷ひろみ
21 20歳のめぐり逢い / シグナル
22 裏切者の旅 / ダウン・タウン・ブギウギ・バンド
23 パタパタママ / のこいのこ
24 ハートのエースが出てこない / キャンディーズ
25 嫁に来ないか / 新沼謙治
26 傾いた道しるべ / 布施明
27 恋人試験 / 松本ちえこ
28 愚図 / 研ナオコ
29 帰らざる日々 / アリス
30 河内のオッサンの唄 / ミス花子


(2008年4月6日更新)


 1976年後編 (その1) です。とりあえず、この年にいったいどのような商品が話題になったのか?…というところを押えておこうと思うんですが、まずはえーと、ルームランナー。これはアレです。室内走り人です。…って、無理に日本語に訳したところで、余計に実態が分かりにくくなるだけのような気もするんですが、ま、一種の健康器具でありますな。室内でも走り人が勤まるように床の部分がローラーで動くようになっているんですが、この手の器具は今でも使われてますよね。病院なんかにも設置されていて、心電図を測る際、心臓に負荷を与える手段として資金力に余裕のある病院ではこのルームランナーが、余裕の無い病院では反復横跳び運動が採用されるというのが通例となっております。3分くらい歩かされただけで、もしかしてこれは、かなり体に悪いのではないか?…と思ってしまうほど心臓がドキドキするので、それなりの効果はあるのではないかと思われます。で、続いてはビデオカセッター。聞きなれない名前なんですが、要はビデオテープにテレビ番組を録画したり、それを再生したりする器具なのではないかと思われます。1975年にソニーがベータ方式のビデオデッキを販売したのに対し、この年、ビクターがVHS方式のビデオデッキを開発して、いわゆる “ビデオ戦争” が勃発することになるんですが、ま、いずれの方式にしろ、眠いのを我慢しなくても、いつでも好きな時間に “11PM” を見られるようになって、便利な時代になったものでありますなぁ。 で、ほかにはえーと、パッソルなんてのも大いに売れました。これは何かというと、50ccのスクーター。もしくは原動機付自転車、いわゆる原チャリと呼ばれる乗り物のハシリにあたるものです。ちなみに名古屋では自転車のことをケッタと呼ぶんですが、原動機付自転車のことを原ケッタとは呼びません。 “げんけった” ではあまりに語呂が悪過ぎるので、あまり普及しなかったのではないかと思われますが、さしもの名古屋人もどうやら、その程度の美意識は持ち合わせていたようでありまして。ちなみにパッソルというのはヤマハの商品名で、ホンダの同等品はロードパルという名前だったんですが、それよりも “ラッタッタ” という通称のほうが馴染みがあるかも知れません。おばちゃんなんかだと、あの手の乗り物はどこのメーカーであろうと、すべてラッタッタである。…という認識を持っている節があったりしますよね。

 その他、オモチャの世界ではフラフーラがヒットしたとの情報があるんですが、そんなもんヒットしましたかね?フラフープの誤植ではないかという気もするんですが、時代的にズレがあるし、ごく一部の限られた地域で地味にブームになってたのかも知れませんね、フラフーラ。 で、食べ物の世界ではチップスターとか、日清焼きそばUFOなんてのが発売になっているんですが、チップスターというのは、ポテトチップスの一種でありますな。カルビーのポテトチップスが、ジャガイモをそのまま薄切りにして揚げてあるのに対して、チップスターは一度イモを粉状にして、それを固めてチップス状にしてあるところに大きな特徴があります。サバ兄の評価によると、チップスターのほうは何かインチキ臭い。…というので、ポテトチップスとしての格はカルビーのほうが上とされていたんですが、でもチップスターのほうが嵩張らないというので、家で食べる時はカルビー、遠足のおやつに持っていく時はチップスターという使い分けがされておりました。 で、一方、インスタント焼きそばはと言うと、断然、UFOよりも日清焼きそば派であるわけなんですが、いや、UFOも日清焼きそばであるには違いないんですが、それよりも断然、袋に入ったタイプのほうが焼きそばとしての格は上とされておりました。UFOは焼いてへんやん!…というのが、焼きそばとしては致命的な欠点であるわけなんですが、あれから32年。インスタント焼きそばと言えばカップ式のものが当たり前になってしまって、時代の流れというのを感じずにはいられません。 とまあそんなことで、では本題の歌謡曲、行ってみましょうかぁ。

 まずはキャンディーズ 「春一番」 (作詞・作曲:穂口雄右) なんですが、キャンディーズは楽です。彼女たちに関しては以前、このコーナーで特集を組んだことがあるので、詳しいことは、ま、 ここ を見てもらうとして。…と書いておけば、概ね、それで仕事が済んでしまいます。 「春一番」 に関しては、えーと、真ん中あたりに記載があるんですが、僕がこの歌について言いたいことは、だいたい先に書かれちゃってます。ということで、以上です。とりあえずジャケ絵だけでも書いてみようか?…とも思ったんですが、キャンディーズは人間が3人もいて面倒なので先に進むことにして、小椋佳 「揺れるまなざし」 (作詞・作曲:小椋佳) 。 小椋佳が好きか嫌いかと言われると、僕はあまり好きではなくて、小椋佳よりも小倉ケーキのほうがいいよね?…という気がするわけなんですが、バタートーストの上にアンコをのせた小倉トーストというのもかなりイケます。アンコ同様、アンコウという魚もけっこうイケる。特に鍋に入れると美味しい。…などと言われていますが、実際に食べてみたところさほどでもなくて、これはまあ、僕が基本的にサカナがあまり好きでないという事情に加えて、サバ家の鍋に投入されていたアンコウと称されるサカナの全長10センチほどしかなくて、根源的に何か違ったタイプのアンコウなのではないか?…という疑念を完全には払拭しきれないところにも問題があるような気がします。 とまあそれはそうとして、小椋佳。僕がどうしてこの人のことを好きになれないのかというと、彼の作る歌が何だかどうにも暗いからなんですが、いや、僕は基本的に暗い歌というのは嫌いではないんですけどね。ただ小椋クンの場合、僕の中で今ひとつ盛り上がらないタイプの中途半端な暗さだったりするところがどうも駄目なんですが、ただ、この 「揺れるまなざし」 という曲は僕の中で、 「揺れるまな板」 よりはマシ?…という程度には楽しめる仕上がりになっておりました。まな板が揺れてたら野菜とかサカナが切りにくて、大変ですもんね。大まかに言うとAAB形式の曲ではないかと思うんですが、 “Aの部” は暗くてどうしようもないものの、物語が限りなく綴られて♪…というサビの部分のメロディは、わりと悪くないと思います。桂クン、頑張りました。

パールカラーにゆれて

 で、続いては山口百恵 「パールカラーにゆれて」 (作詞:千家和也/作曲:佐瀬寿一) 。 百恵たんに関してもキャンディーズ同様、過去に特集記事を書いたことがあるんですが、ただこの歌に関しては子供時代に聴いたという記憶がまったくないので、無視されている恐れは多分にあります。念のために ここ をチェックしてみたところ、案の定、何も書かれてはいなくて、仕方がないので簡単に解説を加えておこうと思うんですが、この歌、作詞が千家和也なのはまだ分かるとして、作曲が 佐瀬寿一というのはちょっと意外な気がしました。そんな人、いたっけ?…と思って調べてみたところ、あ、 「およげ!たいやきくん」 を作曲した人でありましたか。その他、ずうとるびの 「みかん色の恋」 や、アパッチの 「東京アパッチ」 といったお笑い系(なのか?)、あるいは畑中葉子の 「後ろから前から」 といったエロ系 (としか思えない。) に至るまで、さまざまなジャンルの作品を手掛けている、なかなかの才人であることが判明したんですが、でもって、この百恵ちゃんのヤツはアレです。ジプシーっぽい感じの仕上がりになっております。聴いていてふと、人よりたくさんいい目に遭って、人よりたんくさん悲しんだ、ジプシー、ジプシー♪…というフレーズが頭に浮かんできたんですが、あれはえーと、何という歌でしたっけ? 「謝肉祭」 ? 僕はカレイの煮付けとかより、断然、肉じゃがとかのほうが好きなので、肉に感謝する祭というのは当然あってしかるべきだと思うんですが、アレと似たようなタイプの曲に仕上がっておりまして、秀逸です。 一方、詞のほうも、揺れて揺られて、流れ流れて♪…と放浪しているところがジプシーっぽくていいんですが、日本人というのは放浪の旅とか、ホーローの鍋といったものが好きだったりしますからね。狙いとしては、なかなかいいところに目を付けたと思います。ヤツメウナギなどという生き物は、そんなところにたくさん目を付けても、意味無いやろ?…と言いたくなるほど、かなり目の付けどころが悪かったりするので、ここはひとつ千家&寿一コンビを見習ってみてはどうでしょうか?

 で、続いては中村雅俊 「盆帰り」 (作詞・作曲:小椋佳) なんですが、この頃の雅俊クンの歌は、イコール小椋佳というパターンが多いので、あまり多くの盛り上がりは期待出来ないものと、あらかじめ覚悟を決めておいたほうがいいかも知れません。 で、この 「盆帰り」 。頭に “ぼん” の付く言葉と言うと僕の場合、盆休み、盆踊り、もしくはボンちゃんといったあたりが頭に浮かぶんですが、いや、ボンちゃんというのは某所の某社で飼われていた猫の名前なんですけど。残念ながら去年の3月8日、サバの日にお亡くなりになってしまったんですが、今ごろきっと猫の天国で幸せに暮らしていることでありましょう。 一方、後ろに“がえり”の付く言葉と言うと僕の場合、里帰りとか、学校帰りとか、仕事帰りとか、こむら返りといったあたりが頭に浮かんで、その2つを合わせた “盆帰り” という言葉はあまりピンと来なかったりするんですが、世間ではわりとメジャーな用語だったりするんでしょうか? そもそもボンカレーの “ボン” というのが一体どこから来ているのかというのも、僕にはよく分からなかったりするんですが、あるいは盆暮正月→盆暮→ボンカレーといった、非常にしょうもない話だったりするのかも知れませんけど。 で、この歌、さすがは小椋系だけの事はあって、期待に違わぬ暗い雰囲気を持っているんですが、この人、作詞のほうはわりとイケてると思うんですよね。ここでも、君が着た花がすり、君が舞う花まつり♪…と、のっけからいい感じに韻を踏んでおりまして、で、これ、都会に出ていったギャルがお盆に故郷に帰って来て、嬉しいな♪でも、お盆が終わるとまた都会に戻っていってしまって、寂しいな。そういう心情をテーマにしたものではないかと思うんですが、ウナギが好きな彼女の為に、ここはひとつ新城(しんじょう)の鰻丼でも奢っちゃう?そういう心情も隠されているのかも知れません。が、桑名人にしか分からないような心情を小椋クンが理解出来るとも思えないので、それは僕の考え過ぎかも知れません。 で、これ、曲調としては 「シクラメンのかほり」 を更に地味にした感じと言えば分かりやすいかと思いますが、淡々とした平坦なメロディが続いた後、サビの部分でちょっとだけ盛り上がって、最後のところで今ひとつ盛り上がりきれなくて、うなだれながら鰻のタレのかかったご飯を食べる。そういったタイプの1曲なのではないかと思われます。

あなたがいたから僕がいた

 続いては郷ひろみ 「あなたがいたから僕がいた」 (作詞:橋本淳/作曲:筒美京平) 。僕はこの曲のタイトルを見るとどうしても、 「君たち。あ、君たちがいて、僕がいる。」 というチャーリー浜のギャグを思い出してしまうんですが、砂浜と砂利浜とチャリ浜。海水浴をするなら僕はやっぱり砂浜が一番だと思います。砂利浜の海水浴場のほうが水が濁らなくて綺麗だとか、砂が足に付かないから後始末がラク。…などと言って砂利浜を評価する人もいるようですが、 「ああん、ぱんつの中に砂が入っちゃったぁ。」 「どれどれ。僕が見てあげるね。」 「ああん、サバさんのエッチぃ♪」 というのがあってこその海水浴やろが!?…と思わずにはいられなくて、僕は砂浜の海水浴場のほうが断然、欲情します。 で、これ、タイトルからしてどうせ大した歌では無かろうと、最初から馬鹿にして掛かっていたんですが、実際に聴いてみたら意外とまともでした。こころの支えをありがとう♪…と、ちゃんと感謝の気持ちを口に出来るところなど、なかなかいい躾がされていると思います。そういえばこのレコードのジャケットの郷クンは、ちゃんとスーツを着ていたりして、社会人として十分にやっていけそうな雰囲気を醸し出したりしているんですが、ただ、ネクタイのセンスがちょっと今ひとつかな?…という気がしないでもないんですけど。 僕のつたない絵で、彼の社会人としてやっていけそうな真面目さと、ネクタイの趣味にちょっと難のありそうなところが、果たしてうまく皆に伝わっているのか今ひとつ自信は無いんですが、あなたの小さな裏切りを、憎んだけれども許したい♪…というところも、実にオトナの態度だと思います。コドモだと、そうはいきませんもんね。小さな裏切りどころか、小さな爪切りひとつで大もめになったりするんですが、 「ボクが最初に切るって言ったのに、お兄ちゃんが爪切り、持ってった!」 みたいな。 「許さないっ!もう一生、許さないっ!」 と弟が拗ねて、兄は兄で、 「お兄ちゃんも、そういう事せんの!」 とママに叱られて、 「いつもボクばっかり。」 とイジけて、事態はますます混迷の度合いを含めていく事になるんですが、泣いたり、拗ねたり、求めたり♪…と、痴話喧嘩というのは子供の兄弟喧嘩に通じるものがあったりしますよね。いや、求め合ったりするのは兄弟として。ちょっとどうか?…という気がしないでもないので、その点はちょっと違うのかも知れませんけど。

 今回、何とか頑張って9曲まではいきたかったところなんですが、ここで時間切れになってしまいました。時間切れと同時に、ネタのほうもかなり切れかかっているので、最後は簡単に流しておこうと思うんですが、シグナル 「20歳のめぐり逢い」 (作詞・作曲:田村功夫) …って、こんな信号機みたいな名前の人、いたっけ?…と思いつつ歌を聴いてみたところ、どうやら純フォーク系の男2人組といったユニットのようなんですが、狩人の元祖とも言える存在だと言っていいかも知れません。もう少し詳しく調べてみたところ、どうやら兄弟でなければ2人組でもなくて、他人ばかりが4名ほど集まったフォーク・グループということなので、狩人とはまったく何の共通点も無かったんですが、男2人の兄弟で求め合う女心を歌ったりして、冷静になって考えてみると、ちょっと気持ち悪いところがありますからね、狩人。 ま、他人ばかり4人の男が集まって、求め合う女心を歌うというのも、どうか?…という気がするんですが、幸いにもこの 「20歳のめぐり逢い」 は男の立場でその心情を歌い上げたノーマルな作品となっておりました。作詞・作曲の田村功夫というのはメンバーのひとりのようで、で、この歌のテーマは、アレですな。恋に破れた女と、新しい恋の始まり。20歳になって、大人になって、出直すんだね、過去など忘れ♪…とあるように、過去を忘れてイチからやり直すというのも、オトナとしては大切なことだと思います。いつまでもコドモみたいに、爪切りがどうのこうの言ってる場合じゃない!…と、田村クンが20歳のギャルを諭しているわけですが、手首の傷は消えないけれど♪…とあるので、このギャルの場合、爪切りで爪を切ったのではなく、剃刀で手首を切っちゃったみたいなんですけど。切った直後にワインなんか飲んだら、血が止まらなくなるのではないか?…と、ちょっと心配になるんですが、リストカットと誕生日のお祝いの間には、ある程度の月日が流れているようなので、それほど血のほうは流れなかったのかもしれません。

 とまあ、そんなことで、'76-2…の前半は以上です。次回は残った9曲を片付けた上で、今回取り上げた6曲を含めて、サバ君、我が心のベスト3を発表しようと思うので、とまあそんなことで、次回に続きます。

( つづく♪ )


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