『 青春歌年鑑('76-1…の後編 ) 』

〜 「山口さんちのツトム君」から「あばよ」まで 〜


1 およげ!たいやきくん / 子門真人
2 北の宿から / 都はるみ
3 木綿のハンカチーフ / 太田裕美
4 俺たちの旅 / 中村雅俊
5 横須賀ストーリー / 山口百恵
6 わかって下さい / 因幡晃
7 あの日にかえりたい / 荒井由実
8 赤いハイヒール / 太田裕美
9 めまい / 小椋佳
10 山口さんちのツトム君 / 斎藤こず恵
11 愛に走って / 山口百恵
12 君よ抱かれて熱くなれ / 西城秀樹
13 弟よ / 内藤やす子
14 針葉樹 / 野口五郎
15 あばよ / 研ナオコ
16 春一番 / キャンディーズ
17 揺れるまなざし / 小椋佳
18 パールカラーにゆれて / 山口百恵
19 盆帰り / 中村雅俊
20 あなたがいたから僕がいた / 郷ひろみ
21 20歳のめぐり逢い / シグナル
22 裏切者の旅 / ダウン・タウン・ブギウギ・バンド
23 パタパタママ / のこいのこ
24 ハートのエースが出てこない / キャンディーズ
25 嫁に来ないか / 新沼謙治
26 傾いた道しるべ / 布施明
27 恋人試験 / 松本ちえこ
28 愚図 / 研ナオコ
29 帰らざる日々 / アリス
30 河内のオッサンの唄 / ミス花子


(2008年3月9日更新)


 いやあ、年度末ですなぁ。みんな、粘土遊びをしてるかな?僕はですね、それどころじゃないっ!…と言いたくなるほど、本業のほうがちょっぴり忙しかったりするんですが、そもそも僕は粘土そのものがあまり好きではなかったりします。ネバネバするところがどうも今ひとつ好きになれない要因なんですが、もし、極めて粘度の低い粘土というのがあれば、仲良くお付き合いするに吝かではないと思うんですけど。ただ粘土の粘度が解決したとしても、まだ臭いと味の問題が残っておりまして、粘土遊びをした後、手が粘土臭くなるところも僕は嫌です。でまた、粘土遊びをした後、あまりよく手を洗わずにおにぎりを食べたりすると、めっちゃ粘土の味やんっ!…といった感じになってしまうところもネックなんですが、そんな年度末の昨今、みんな、葛根湯を飲んでるかな?幸い僕は風邪をひいているわけではなく、葛根湯やネオ眞治のお世話になることもなく、元気に毎日を過ごしているんですが、ただ3月中旬が工期末の物件を数件抱えていて、落ち着いて原稿を書いている暇がありません。そこでまあ、昭和歌謡6曲だけの超手抜き版でお届けしようと思うんですが、手抜きでゴメンな!

 ということで、今日は斎藤こず恵 「山口さんちのツトム君」 (作詞・作曲:みなみらんぼう) からいってみたいと思うんですが、これはアレです。山口さんちのツトム君を主人公にして作られた歌です。1988年から89年にかけて発生した連続幼女誘拐殺人事件の際は 「宮崎さんちのツトム君」という替歌がさかんに歌われたものでありますが、ちょっとどころの話ではないっ!…と言いたくなるくらいヘンだった宮崎勤くんに対して、山口さんちのツトムくんのほうはですね、この頃、ちょっとヘンであると。ちょっとヘンだというのは、ちょっと困ります。ちょっと変なヘンデルと、めっちゃグレてるグレーテルとではどちらが困るかというと、それはやはりグレてるほうが大きな問題だとは思うんですが、ツトム君の場合、グレはしなかったものの、何だか今ひとつ元気がなくて、この頃あまり一緒に遊んでくれなくなって、そこのろころが斉藤こず恵チャンとしてはつまんなくもあり、ちょっぴり心配でもあり、モハメッドでもアリ。 モハメッド・アリとアントニオ猪木の “世紀の対決” は、ちょうどこの歌が出たのと同じ年ですからね。それはそうとこの歌、みなみらんぼうの作詞・作曲だったんですな。今の今まで知りませんでした。ちなみに僕の心の中の “みなみランキング” では、あだち充の 『タッチ』 に出てくる浅倉南が断トツの首位で、以下、南沙織、南佳孝、南こうせつ、三波豊和、三波春夫という順になっていて、みなみらんぼうは、かなり下のほうという事になっております。南伸坊よりも下位です。みなみらんぼうって何だか、大阪のミナミで暴れているただの乱暴者というイメージがあって、どうも今ひとつ好きになれないんですが、意外と子供向けの歌とかも作っている人だったんですな。知りませんでした。

 で、歌のほうはというと、1番と2番でツトム君の元気がない様子が描写されることになるんですが、1番では 「あとで。」 と返事をしていた彼も、2番に入ると返事すら無くなってしまいます。病状が次第に重篤化している様子が窺われ、このままでは引きこもりになっちゃうのは時間の問題と思われていた矢先、3番になって事態は急に好転することになります。 ツトム君が引きこもり予備軍と化していたのは、大好きなママが田舎へ行ってたからだったのか!…という事が判明して、そのママが帰って来たら、彼はたちまち元気を取り戻すわけでありますが、摘んだばかりのイチゴをお土産に持ってきてくれて、こず恵チャンとしても、これで一安心。 「ちょっぴり酸っぱいね。」 って、文句言うな、こず恵!…というところで歌は終わっているわけなんですが、ま、そこが可愛いところでもあるんですけど。ちなみにこれ、元々はNHKの 『みんなの歌』 で放送されていたものなんですが、そこで歌っていたのはNHK東京児童合唱団の川橋啓史クンなんだそうで。こず恵チャンのほうは同じ頃、同名の短編映画に出演してこの歌を歌っていたそうなんですが、そちらのほうが有名になって、啓史クンはすっかり影が薄くなってしまって、何とも不憫でありますなぁ。でもまあ、やっぱり女の子のほうが可愛いので、それはある程度、仕方のないところではあるんですが、僕だってもし 「あそぼう」 と遊びに来たのがこず恵チャンでなく啓史クンだったりしたら、お土産にイチゴは持っていかないことになるのではなかろうかと。ちょっぴり酸っぱくたって、全部自分で食ったるっ! ところで、山口さんちのツトム君という名前の人は、全国にどれくらいいるものなんですかね? 山口勤、山口勉、山口努、山口津トム。あ、最後のは山口津さんちのトム君だからちょっと違うんですが、どれもさほど珍しい名前ではないので、結構な数がいるような気がします。山口という苗字に限って言えば、多いほうから数えて15番目にランクされていて、その数、ざっと641,000人。うちの会社の大阪営業所にも1人、ツトムくんではないんですが山口さんがいます。酔うと聖飢魔IIの 「蝋人形の館」 を熱唱したりして、ちょっとどころではなく、かなりヘンです。

愛に走って

 で、続いては山口百恵 「愛に走って」 (作詞:千家和也/作曲:三木たかし) でありますか。そんな歌、ありましたっけ?…と思って調べてみたところ、前回紹介した 「横須賀ストーリー」 の1つ前のシングルということになるようです。売上枚数46.5万枚、オリコンの最高順位は2位ということで、僕の知らないところでそこそこヒットした曲のようなんですが、作詞が千家和也で、作曲は三木たかしでありますか。僕の心の中の “みきランキング” では、1位がメガネの三城、2位が安藤美姫、3位がキャンディーズのミキちゃんで、以下、途中は省略して17位くらいが三木のり平ということになります。三木たかしなんてのは端からノミネートされていなかったりするんですが、名前からして、ちょっと演歌っぽい曲を作りそうなイメージがありますな。 で、ちょっと調べてみたところ、代表作には石川さゆりの 「津軽海峡冬景色」 、坂本冬美の 「夜桜お七」 などがあって、やはり、そっち系の人であることを窺わせるんですが、その他、伊藤咲子の「木枯らしの二人」や、片平なぎさの 「純愛」、あるいはテレサ・テンの 「つぐない」 なんかも手掛けているようで、その作風はかなり幅広いです。もう、日系2世のハーバー広井もびっくりって感じ? で、百恵ちゃんのこの歌は一体どんな感じなのかと思ったら、いや、めっちゃロシア民謡風でありますな、こりゃ。もしかして、歌声喫茶世代?そういえば伊藤咲子の 「木枯しの二人」 も、かなりロシアっぽいムードの曲でしたよね。もう、大ロシアもびっくりって感じ?いや、昔あったんですけどね、そういう名前のパン。

 で、歌詞のほうはアレです。パジャマのまま暗闇を走ってくるギャル。かなり妖しいです。個人的にはけっこう好きなんですよね、パジャマ姿のギャル。 僕は断然、ネグリジェよりもパジャマ派なんですが、いや、最近、ふと気が付くと 『魅惑のムード☆秘宝館』 というコンピに入っていた内田高子の 「粋なネグリジェ」 という歌を口ずさんでいたりはするんですけど。 で、百恵ちゃんはパジャマのままで暗闇の中、どこに向かって走っているのかというと、タイトルからしておそらく “” ではないかと思うんですが、 「愛に走って」 ですからね。向かった先は “愛の家” ということになろうかと思われますが、愛の家といっても福原愛の家ではなくて。卓球するならパジャマよりも浴衣のほうがいいですからね。電話の様子から別れの気配を感じ取った百恵チャンは、おもわず家を飛び出して彼の家へと走ったわけですが、素足にあたる小石が痛い♪…などというフレーズがあるところをみると、 “つっかけ” すら、つっかける余裕もなかったんすかね?相当、切羽詰っていたんでしょうな。人間、トイレが詰まると思わず便器の中に手を突っ込んでしまうように、切羽詰ると何をしでかすか分かったものではありませんが、後から冷静になって考えてみると、スッポン、買いに行けばよかった!…ということに気付いたりするんですけど。百恵チャンもこれを歌っている時点では既に自分を取り戻しかけているようなので、この2人がもう一度やり直せる可能性は、ま、5%くらいの確率でまったく無いとは言い切れません。

 続いては西城秀樹 「君よ抱かれて熱くなれ」 (作詞:阿久悠/作曲:三木たかし) 。何だかちょっといやらしいタイトルで、思わず、 「んもぉ、ヒデキったらぁ♪」 と言いたくなってしまいますが、ま、ヒデキ君も立派な大人ですからね。これがもし、タラちゃんから同じことを言われたとすれば、 「タラったらぁ♪」 では済まされないような気もするんですが、 「一緒に“うさぎのダンス”を踊るでしゅ。」 ということなら、 「んもぉ、タラったらぁ♪」 タラッタラッタラッタ、うさぎのダンス♪…ということになって、話の流れとしてはごく自然になるわけなんですけど。あ、「兎のダンス」の歌詞は、ソソラソラソラ、うさぎのダンス、タラッタラッタラッタ、ラッタラッタラッタラが正解でしたか? ま、それはともかくとして、このヒデキの歌は作曲が三木たかしなんですな。名前からして何となく演歌っぽい曲を作りそうなイメージがあるんですが、このエロい歌はどんな仕上がりになっているのかと思ったら、かなりロシア民謡風でありました。もう、小ロシアもびっくり!…といった感じなんですが、大ロシアはあまりにもデカ過ぎるので、そこまで腹が減ってない場合はその小型版と言える小ロシアのほうを食べておりました。砂糖っぽい白い筋の部分が美味でした。というか、それがなければただの地味なパンといった感じの食べ物だったんですが、ロシア人というのは意外と質素な食生活をしていたものと思われます。 で、一方、作詞のほうは阿久悠なんですが、僕はこの歌の中では、唇は使えないよ、僕が塞いだ♪…というところがいちばん好きです。濡れタオルを唇に押し当てて、もぉ、ヒデキったら失神プレイが好きなんだからぁ♪…とかそういうことではなく、君の唇を僕の唇で塞ぐ、すなわち、チュウをしてる状態のことを言ってるんだと思うんですが、たとえ相手がマゾっ気のあるギャルだとしても、濡れタオルプレイというのはあまりにも危険過ぎますからね。よい子は真似をしてはいけません。 「じゃ、チュウなら真似してもいいんでしゅか?」 とタラちゃんに聞かれたら、それはやはりまだ真似させないほうがいいとは思うんですが、チュウに夢中になるのは中2くらいになってからでいいと思います。  で、これ、前半のロシア民謡風の曲調が後半になって、特撮ヒーロー物の主題歌みたいになるところが新鮮だったりするんですが、愛というのは人の前を流れていく川でありましたか。初めて知りました。いやあ、勉強になります。ただ、その川を裸になって跳ぶというのは、どうか?…という気がするんですが、フリチンだと助走の時にプラプラして邪魔だし、万一、跳び越せなくて川の中に撃沈という事態になった場合、岩とかで局部を痛打する恐れがあって、非常に危険です。せめてパンツくらいは穿いたほうがいいような気がします。

 歌謡曲というのは失恋系の悲しいものもあったりするんですが、基本的には恋とか愛とか、そういうものをテーマにするのが普通です。アイアイ、アイアイ、お猿さんだよ♪…という歌は別に愛を歌ってるわけでなく、アイアイという猿をテーマにしているので、歌謡曲とは言えないわけですが、1976年というこの年、僕たちは直接 “愛” をテーマにしない、新しいタイプの歌を耳にすることになります。内藤やす子 「弟よ」 (作詞:橋本淳/作曲:川口真) 。 この内藤やす子という人は、子供心にも非常にやさぐれたムードを感じさせるキャラだったんですが、まず第一に、いかにも生活に疲れた場末の酒場の女といったパーマ頭がやさぐれていました。酒焼けしたかのようなハスキーボイスもやさぐれていたし、それに、内藤やす子という名前にも問題がありました。内藤泰子とか靖子とか、とにかく漢字が使ってあれば問題はなかったんですが、 “やす子” と部分的に平仮名になっているところが、幼少期、家が貧しくてまともに学校にも行かせて貰えず、自分の名前すら満足に漢字で書けないというイメージを与えてしまって、不憫です。そんな彼女のデビュー作がこの 「弟よ」 なんですが、いや、素晴らしいですな、これは。特に僕はこの歌の、暗い、暗い目をして拗ねていた、弟よ、弟よ♪ というところでグッときてしまうんですが、そうですかぁ。暗い目をして拗ねてましたかぁ。その情景を思い浮かべると、ちょっぴり可愛いな♪…という気がするんですが、グレているのではなくて、拗ねている。そこのところに一抹の希望があるような気がしないでもありません。ま、歌詞には、悪くなるのはもうやめて♪ というフレーズもあるので、拗ねる段階から一歩先に進んで、グレるところまでいっちゃってるのかも知れませんが、ま、弟思いの優しいお姉ちゃんが見守ってくれている限り、更生の可能性もまったくゼロではないと言えるかも知れません。

 が、2番に入るとちょっと様子が変わってしまいます。愛とは無関係な歌だとばかり思っていたんですが、やす子ちゃんはここで恋をすることになってしまいます。その理由がちょっとふるっているんですが、夢がないから恋をして♪ いや、そう来ましたか。夢と恋とが表裏一体であるというのは、夢路いとしの相方が喜味こいしであることからもよく分かるんですが、で、更に続けて、今じゃ男の心さえ、読める女になりました♪ と来ましたか。やす子ちゃん、立派なオトナになりましたなぁ。 作詞の橋本淳という人のことはよく知らなかったんですが、かなりの実力者であると言わねばなりません。調べてみたらこの人、 「ブルー・ライト・ヨコハマ」 や 「亜麻色の髪の乙女」 、 更には郷ひろみの 「誘われてフラメンコ」 の詞を書いた人だということが判明したんですが、なるほど、誘われてフラフラ、乱されてユラユラ♪ は、この人の作品でありましたか。 で、恋をしたやす子ちゃん、1番に続いて2番の歌詞でも、あなたを捨てたわけじゃない♪…と歌っておりますが、恋にハマった彼女がどこまで弟のことを気に掛け続けることが出来るやら。彼の将来は暗いと言わざるを得ません。

針葉樹

 続いては野口五郎 「針葉樹」 (作詞:麻生香太郎/作曲:筒美京平) 。 新御三家の中で、もっとも地味な存在だったわけですが、3人集めると、どうしても一人くらいはスカが出ちゃうんですよね。たのきんトリオのヨッちゃんだとか。 で、この野口五郎くん、調べてみたら岐阜県美濃市の出身だということが判明して、急に親近感を覚えてしまったんですが、いや、わりと近所だったんですな。で、野口五郎と言えば岐阜と長野の県境のところに野口五郎岳という名前の山があって、子供の頃、地図帳でそれを見つけて、野口五郎岳やて!…と、みんなで馬鹿にしたものでありますが、野口五郎が金にモノを言わせて山のネーミングライツを手に入れたのではなく、昔からある山の名前にあやかって芸名を付けたというのが正解のようです。ちなみに山のほうの名前の由来はというと、野口のほうは長野県側の集落の名前から取ったもので、岩がゴロゴロしているから五郎岳。そういうことなんだそうです。 で、この五郎クン、子供の頃はコンテスト荒らしとして、 “ゲームセンターあらし” と同じくらい注目されていたようですが、中でもいちばん輝かしい光跡はというと、やはりCBCの 「どんぐり音楽会」 での優勝!…ということになりましょうか。東海3県の小学生にとって 「どんぐり音楽会」 で優勝するというのは、 「天才クイズ」 で天才賞を取るのと同じくらい、もっとも栄誉あるステータスですからね。大したものです。 で、子供の頃は別になんとも思っていなかった五郎クンなんですが、大人になって改めてその歌を聴き直してみると、圧倒的に歌唱力がありますな。見た目のイメージだけで、歌唱力を過小評価していた自分を悔い改めなければなりませんが、歌の出来そのものも、どこかウケ狙いの傾向が感じられることも少なくなかった西条秀樹や郷ひろみと比べて、極めて正統的です。 この 「針葉樹」 というのも、歌詞はやや小難しいところがあったりするんですが、筒美京平によるメロディは完璧と言ってもいい出来のよさを誇っておりまして、針葉樹というのが実に信用のおける樹木であるというのを改めて認識されられた思いであります。ま、個人的には広葉樹というのも琵琶湖温泉・紅葉パラダイスっぽくて、決して嫌いではないんですけど。

 ということで、今日最後の曲になりました。研ナオコ 「あばよ」 (作詞・作曲:中島みゆき) 。今回、この原稿を書くにあたっていろいろと調べてみて、一番の収穫は研ナオコの本名が野口なを子だという事が判明したことなんですが、旧姓は浅田なを子だったみたいですけど。内藤やす子のところに書いたように、平仮名混じりの名前からは、幼少期の貧しい生活環境が浮かび上がったりするんですが、一方、研ナオコみたいな片仮名表記というのは、けっこうオシャレだったりしますよね。 などと思っていたら、本名は “なを子” でありましたかー。何だかすごく婆サンっぽい名前ですよね。ま、親が一生懸命に考えてくれた名前を馬鹿にしたりすると罰が当たるので、これ以上は笑わないで我慢することにしますが、少女時代は野口五郎と同様、各地の “のど自慢大会” を荒らしまくっていたようです。 Wikipedia を見たら、1963年 ちびっこのどじまんにて 『星空に両手を』 を歌い、 「子供がそんな歌を歌って」 と不合格。…などと書かれておりましたが、一体どんな歌だったんでしょう?タイトルを見ただけでは、さほどエロいようにも思えないんですが、調べてみたら、ぜんぜん普通でした。 これ 。 タラちゃんが以前、 「要するにですね、ぜんしょ(善処)しますですぅ。」 と言って、「何が “ようするに” だ!子供の癖に生意気だぞ!」 と因縁をつけられて、年上の子供に殴られて泣いてたことがありましたが、それと同じ理由によるものだったのかも知れません。 で、その後は地元・静岡テレビの “のど自慢大会” に出て、合格したり、準優勝したりして実績を積み重ね、そしていよいよ1970年、歌手を目指して上京することになります。そして翌年、待望のシングルレコードを出すことになるんですが、その記念すべきデビュー曲は 「大都会のやさぐれ女」 でありますかぁ。 歌唱力はともかくとして、あるいはルックスのほうが災いしたのか、正統派アイドルとしての道は最初から閉ざされてしまったわけで、何とも不憫な話ですよね。以後、4年ほど鳴かず飛ばずの状況が続くんですが、1975年に 『愚図』 で、FNS歌謡祭優秀歌謡音楽賞を受賞。ちなみにこれは作詞が阿木燿子、作曲が宇崎竜童ということで、作品に恵まれたということが言えるかも知れません。

 で、1976年 『あばよ』 で、オリコンシングルチャート1位、日本歌謡大賞放送音楽賞、FNS歌謡祭最優秀歌謡音楽賞を受賞。NHK紅白歌合戦に初出場。…と、一気にブレイクすることになるんですが、こちらは中島みゆきの作詞・作曲でありますか。なるほど、研ナオコのキャラと中島みゆきの歌世界というのは、実にぴったりマッチするような気がします。 何もあの人だけが世界中で一番、やさしい人だと限るわけじゃあるまいし♪ と、自分に言い聞かせて強がる乙女心が何とも言えずにいじらしいですなぁ。僕はいやらしいギャルというのが嫌いではないんですが、いじらしいギャルのほうがもっと好きだったりします。 一方、曲のほうはというと、明日も今日も留守なんて♪ ところがいちばん好きだったりするんですが、何でもいいけど、ギャルが使う 「あばよ。」 という台詞に、昭和という時代の空気を色濃く感じることが出来ますよね。今どき男でも女でも、 そんな挨拶をする人はいませんからね。平成の時代ならやっぱり、「ばいちゃ!」 やろ?…みたいな。

 とまあ、そんなことで、'76-1…の後半はおしまい。最後にいつものように “さば的@我が心のベスト3♪” を選んでおきたいと思うんですが、前回はランキングの発表を手控えたので、76年版の前半・全15曲が対象ということになります。

  (第3位) わかって下さい / 因幡晃

  (第2位) あの日にかえりたい / 荒井由実

  (第1位) 針 葉 樹 / 野口五郎


 第3位は同じ “いなば” という苗字のよしみで、縁故採用の感覚で選んでみました。 で、第2位には弟の社会復帰を願って、内藤やす子の歌を選んでおこうと思ったんですが、 「弟よ」 というのはタイトルが短すぎて、ここ (↑) に3つ並べた時、レイアウト的に今ひとつバランスがよく無かったのでボツにして、無難なところで荒井由実の古典的な名曲をチョイス。この酷い仕打ちに、やす子ちゃんの弟が拗ねないことを祈るしかありません。 で、栄えある第1位には近所のよしみで野口五郎を選んでみました。子供時代、のど自慢では天童よしみがライバルだったらしいので、天童よしみのよしみ…というのもポイントに加算されています。 ということで、次回は “76年版・後編” …を、おそらく2回に分割して紹介することになろうかと思われます。では、また♪

( つづく♪ )


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