『 青春歌年鑑('75-2 ) 』

〜 「恋の暴走」から「乙女のワルツ」まで 〜


1 シクラメンのかほり / 布施明
2 昭和枯れすすき / さくらと一郎
3 想い出まくら / 小坂恭子
4 港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ / ダウン・タウン・ブギウギ・バンド
5 カッコマン・ブギ / ダウン・タウン・ブギウギ・バンド
6 心のこり / 細川たかし
7 我が良き友よ / かまやつひろし
8 冬の色 / 山口百恵
9 スモーキン’ブギ / ダウン・タウン・ブギウギ・バンド
10 「いちご白書」をもう一度 / バンバン
11 私鉄沿線 / 野口五郎
12 いつか街で会ったなら / 中村雅俊
13 やすらぎ / 黒沢年男
14 面影 / しまざき由里
15 夏ひらく青春 / 山口百恵
16 恋の暴走 / 西城秀樹
17 木枯しの二人 / 伊藤咲子
18 学校の先生 / 坂上二郎
19 年下の男の子 / キャンディーズ
20 裏切りの街角 / 甲斐バンド
21 誘われてフラメンコ / 郷ひろみ
22 雨だれ / 太田裕美
23 酒場にて / 江利チエミ
24 夢よもういちど / 真木ひでと
25 今はもうだれも / アリス
26 みかん色の恋 / ずうとるび
27 純愛 / 片平なぎさ
28 バンプ天国 / フィンガー5
29 サボテンの花 / チューリップ
30 乙女のワルツ / 伊藤咲子


(2008年01月06日更新)

 このコーナー、ちょっと更新が滞っているよな?…という、うっすらとした自覚はあったんですが、前回の更新日を調べてみて、唖然としました。2005年09月16日。ちょっとどころとちゃうやん!めっちゃ滞ってるやん!えーと、2年と3ヶ月半ぶりということになりますかね?いや、月日が経つのは早いものですなぁ。 そして今、僕は心を入れ替えました。 “You Tube” で新井薫子が 「大和撫子」 を歌っているのを見て、もう一度、熱かったあの時代に帰ろう!…と心に誓ったわけなんですが、ここで一度更新しておけば、また2年くらい放置しておいても大丈夫だしー。 ということで、 “1975年編” の後半です。元号に直すと昭和50年。さば君は誕生日が来た時点で、7歳ということになります。まだまだ子供ですな。 この年に起こった事件や事故、あるいは “青春歌年鑑” に収録されなかったヒット曲に関しては ここ を見てもらうとして、今回はこの年のヒット商品やベストセラーについて簡単に触れておくことにしましょう。 まずヒット商品なんですが、まずは “チルチルミチル” 。これは100円ライター、もしくは使い捨てライターと呼ばれるものなんですが、どうしてそういう商品にこのような名前を付けたのか、昭和人の発想は深い謎に包まれております。 で、次。 “プッシュボタン式公衆電話” 。0〜9までのボタンを押すことによって相手に電話を掛けることが出来るという画期的なハイテクマシンでありまして、もうダイヤルの穴に指を突っ込んで、ジーコ、ジーコと回さなくってもいいんだねっ♪ 世の中の進歩には素晴らしいものがあります。その他、最近、僕がちょっと凝っているカメラの世界では “ピッカリコニカ” という、これまたかなり画期的な商品が出ているんですが、何と、コンパクトカメラにフラッシュが付いちゃったという。これでもう、暗いところでも写真が撮れるんだねっ♪ ちなみにこれ、発売されたのは前年のようですが、この年に爆発的にヒットしたということなんでしょう。 『1970ー1999 売れたものアルバム』 という本では1975年のところに載っていました。その他、僕の大好きな “” も、この頃に発売された模様です。マグロって、海の鶏みたいな味がするね♪…というので、シーチキン。昭和人の発想は単純明快で分かりやすくって、いいです。

 で、続いては本のベストセラー。まずは有吉佐和子の 『複合汚染』 。先日、バッテイ手術で入院した際、左手首に患者識別用と思われるカルテ番号と指名を記入したテープのようなものを巻かれたんですが、 “有治” という名前の振り仮名が間違ってました。 “アリヨシ” になってました。そうは読めんやろ!…と思わずにはいられませんが、書いた人の頭の中には恐らく有吉佐和子の名前があったんでしょう。公害というのが社会問題化していたことを示す作品でありますが、読んだことはありません。 次、萩本欽一の 『欽ドンいってみようやってみよう』 。欽ちゃんと言えば、長野オリンピックの閉会式で国辱的な姿を晒したことで知られておりますが、この時代に青春時代を送った人の強い要望で決められた人選だったんですかね?ちなみに僕は欽ドンや欽ドコといったテレビは好きでよく見てたんですが、この本は読んだことがありません。次、井上ひさしの 『ドン松五郎の生活』 。欽ドンの次はドン松五郎。これはもっとオトナになってから読みました。面白かったです。あとはえーと、エマニエルという人が書いた 『エマニエル婦人』 。これは映画のほうが有名ですかね?僕は見たことがないんですが、大変スケベな作品であると言われております。五木寛之 『青春の門』 。これはもっとオトナになってから読みました。ところどころスケベなシーンのある作品でした。で、最後は五島勉の 『宇宙人謎の遺産』 って、この人はノストラダムスだけでなく、宇宙人でも一稼ぎしていたんですなぁ。 とまあそんなことで、では本題のヒット曲のほうに話を進めてみることにしましょうか。

 まずはえーと西城秀樹「恋の暴走」 (作詞:安井かずみ/作曲:馬飼野康二) ですか。僕は去年の12月、富士山のふもとの “まかいの牧場” というところに行って、ヤギたんやウサたんと楽しく触れ合ったんですが、 その話 の中にちらっと出てきた 「てんとう虫のサンバ」 の作曲者は馬飼野俊一。で、一方、ヒデキのこの歌を作曲したのは馬飼野康二。調べてみたらこの2人は実の兄弟なんですな。 「兄弟船」 を作曲した兄弟?…と思ったら、そちらのほうは船村徹だったんですけど。 で、僕の場合、 「恋の暴走」 と言われてもあまりピンとこなくて、何となく水疱瘡みたいな歌なのか?…という気がしただけだったんですが、こんなのヒットしましたかね? 調べてみたら年間シングルチャートで第28位にランクされているようなので、そこそこ売れたようなんですが、曲調としてはアレです。いかにも青春歌謡曲っぽい、明るい感じの仕上がりでありまして、それほど暴走しているようにも見受けられません。 駄目に、駄目に、駄目になりそう〜♪ と叫んだりしてるので、駄目になる一歩手前ではあるようなんですけど。いずれにせよ、あまり僕の記憶には残っていないので、あまり多くの事は語れないわけなんですが、ということで次の曲。 伊藤咲子「木枯しの二人」 (作詞: 阿久悠/作曲: 三木たかし) 。 去年、ご逝去された人や猫の中で僕がいちばんショックだったのが飼い猫のクロコで、次が植木等だったりするんですが、阿久悠もその次くらいにランクすることになりましょうか。少なくとも僕の心の中では黒川紀章よりも上だったりするんですが、あ、そういえば年末のどん詰まりにオスカー・ピーターソンも死んじゃったんですな。 で、伊藤咲子です。1974年、 「ひまわり娘」 でデビュー。そこそこのヒットを飛ばすんですが、作曲したのがイスラエル人やん!…という理由でレコード大賞新人賞にはノミネートされず。それにもめげず、シングル第2弾の 「夢みる頃」 も同じシュキ・レヴィという人の曲で頑張ってはみたんですが、このシュキ・レヴィという人が酒気帯び運転で捕まったりでもしたのか、第3弾は日本人・三木たかしの曲となっております。作詞のほうはデビューからずっと阿久悠が面倒を見ていたんですな。 タイトルを見た段階ではあまりピンと来なかったんですが、 もっと強く抱きしめてよ、奪われないように、固く固く折れるほどに、その手で抱きしめて〜♪ という歌い出しの部分は、どこかでよく耳にしておりますな。なかなか情熱的な歌詞なんですが、抱きしめた相手が骨粗鬆症で、本当にボキっといっちゃったりしたら、ちょっと嫌なものがあったりするんですけど。 曲のほうは途中からちょっぴりロシア民謡風になったりして、全体としては何となく、スポ根系のドラマの主題歌にいいかな?…という、そんなイメージがあったりします。

 で、後半3曲目は坂上二郎「学校の先生」 (作詞:山上路夫/作曲:大川光久) 。 ベストセラーのところに欽ちゃんが出てきたことと合わせ、どうやらこの頃がコント55号の全盛期ということになるんですかね? 調べてみたら2人の主演映画は72年を最後に作られなくなっているので、コンビとしての活動はすでに終わりに近付いていたのかも知れませんが、後にソロでブレイクする欽ちゃんと比べてジロさんのほうは、僕にとってはそれほど馴染みの深いキャラではなかったりしました。 でもって、この歌も、意図するところは一体どこにあったんですかね? 台詞が入って学園ドラマ風になってたり、この時代で既にレトロを意識していたような、ララララ〜♪ という子供のコーラスが入っていたり、全体の雰囲気は何だか小学生っぽいんだけど、舞台設定は中学校だし、ウケを狙ってるようでもあり、感動系を目指しているようでもあり、とにかくまあ、坂上二郎というキャラのイメージからちょっと解離しているように僕には思えてしまいます。ま、歌は思った以上に、かなりうまかったりするんですけどね。いつもは笑かしてくれる人が、しんみりと泣かせてくれた。そのギャップが決め手なんでしょうな。

 次。キャンディーズ「年下の男の子」 (作詞:千家和也/作曲:穂口雄右) 。 キャンディーズに関しては以前、このコーナーでも 特集 を組んでいるので、詳しくはそちらを読んで貰うとして、今の耳で改めてこの歌を聴き直してみると、妙に可愛らしかったりするんですよね、これがまた。この歌が流行った当時、僕は彼女たちからすると、恋愛の対象には絶対に該当しないほど、あまりにも年下過ぎる立場だったりしたんですが、それが今、これを歌っていた当時の彼女たちの年齢からすると、あまりにも中年過ぎて、単なるオッサンやん!…としか思われないようなオトナにまで成長しました。大きくなった自分の目で改めてこの歌を見つめ直してみると、何ともたわいのない歌詞であることに改めて気がつくんですが、たわいがないんだけど、卑猥でもない。そこが彼女たちの魅力だったわけなんですな。  ボタンのとれてるポケット、汚れて丸めたハンカチ (中略) デートの時間に遅れる、いつでも喧嘩をしかける (中略) 片方なくした手袋、ほどけたまんまの靴ひも♪ いかにも年下の男の子らしい…というか、あまりにもガキ過ぎるこの男の様子を歌詞から窺い知ることが出来るワケなんですが、小学生か、コイツは? ま、それらの全てが、カワイイっ♪…と思えるのは最初の3ヶ月くらいだけで、そのうち、その何もかもがウザく思えてくるようになるに違いありません。オトコはやっぱり、酸いも甘いも噛み分けた39歳くらいの中年よね〜♪ “都こんぶ” と “ミルクキャラメル” は別々に噛むのが好きな僕なんか、まさに理想的と言えるのではないでしょうか?

 で、続いては甲斐バンド「裏切りの街角」 (作詞・作曲:甲斐よしひろ) 。僕らの世代 (昭和43年生まれ) で甲斐バンドというと、 「HERO〜ヒーローになる時、それは今」「安奈」 ということになるんですが、それ以前にこんな歌もプチヒットさせていたんですな。  『レインソングス』 という雨系の歌ばかりを集めたコンピにも入っているので、そちらで聴いたことのある人もいるかも知れませんが、雨、歌詞に登場しましたっけ?  しとしと五月雨、わだかまり〜♪ あ、確かに出てきますね。 で、この曲、全体的になかなか渋くて、都会派のギャルなんかにもウケそうな感じなんですが、てってれて〜、てれてってってってって〜♪ というギターのフレーズが、あまりにもベタ過ぎやしませんかね?フォークでもないし、ロックでもないし、妙にウィットで日本人的な資質が感じ取れたりもするんですが、 「裏切りの街角」 というタイトルは、なかなかカッコいいですよね。これがもし 「裏筋とタ○キン」 とかだったりしたら、単なるエロい歌になってしまっていたと思います。…って、 “裏” 以外、何の語呂合わせにもなってませんけど。

 で、後半6曲目は、郷ひろみ「誘われてフラメンコ」 (作詞:橋本淳/作曲:筒美京平) 。 歌謡曲にフラメンコを取り入れるというのは、堺すすむ「なんでかフラメンコ」 以来、わりとよく見られる常套的な手法だったりするんですが、 「誘われてフラメンコ」 。タイトルが秀逸です。  この曲名を見た時点で、僕は80%くらい馬鹿にしかかっていたわけなんですが、その嘲笑は歌が始まった時点で凍り付いてしまいました。意外とイイ!…んですよね、これがまた。ま、あくまでも “意外と” という範疇の話で、出だしの、あんあんあああ、あんああんあん♪ という部分や、続く、真夏の〜ぉ、匂いは〜ぁ♪ のところで、郷ひろみが必要以上に語尾をしゃくりあげたりするのは、かなりの失笑モノだったりするんですが、その後、持ち直します。 僕から乱れてしまったみたい♪ というところから持ち直して来て、最後の 誘われてフラフラ、乱されてユラユラ♪ というサビのフレーズは、思わず一緒になって歌ってしまいました。何だか悔しいんですが、作曲家・筒美京平の実力は半端でありません。腰椎麻酔の際、髄液が外に漏れちゃった後遺症で未だに頭がフラフラ、ユラユラしている僕なんですが、彼の才能に酔わされてしまったような気がします。誘われてフラフラ、乱されてユラユラ♪ 癖になりそうですな、こりゃ。

 続いては太田裕美「雨だれ」 (作詞:松本隆/作曲:筒美京平) です。僕はずっと、この人のデビュー曲は 「木綿のハンカチーフ」 だとばかり思っていたんですが、違ってました。この 「雨だれ」 という、ちょっぴり “胡麻だれ” みたいな名前の曲で、彼女は世に出たんですな。ちなみにこの人は当初、キャンディーズの一員としてデビューする予定だったのが、田中好子と交代した。…てなことが “Wikipedia” に書かれていますが、ホントなんすかね? 個人的にキャンディーズの中ではスーちゃんが一番好きだったので、このメンバーチェンジは大歓迎なんですが、太田裕美も決して嫌いではないので、ミキちゃんの代わりにヒロぽんを入れるという選択はアリだったかも知れませんね。もし入団が決まったとしても、そんな覚醒剤みたいなニックネームにはならなかったかも知れませんけど。 で、この 「雨だれ」 、冒頭からピアノの音が入って、何ともしっとりした仕上がりになっていたりするんですが、いや、さすがは筒美京平ですな。筒キョン、立派です。 一方、作詞をしたのは松本隆なんですが、サビの部分の、寂しがりや同士、肩寄せあって、伝え合うのよ、弾む恋の芽生え〜♪ というフレーズが何ともベタな感じで、いいですよね。寂しがりやですからね、僕も。誰かと肩を寄せ合って、寄せ鍋とかを食べてみたいです。恋の芽生えと同時に、鯉とハエの料理とかも伝え合ってみたいです。いや、あまり好きではなかったりするんですけどね、川魚。ハヤとか、オイカワとか、ヤマベと呼んだりすることもあるみたいですけどね、川魚のハエ。

 で、続いては江利チエミ「酒場にて」 (作詞:山上路夫/作曲:鈴木邦彦) でありますか。いや、僕はけっこう好きだったんですよね、 “ドジでのろまなカメ” の 『スチュワーデス物語』 。…って、それは江利チエミではなくて、堀ちえみ。堀越高校卒業、ホリプロ所属。好きなジャイアンツの選手はホリンズ。…って、クビになっちゃいましたけどね。 一方、江利チエミのほうはというと、好きな茸はエリンギということ以外、僕はあまりよく知らなかったんですが、ちょっと調べてみたところ、好きな爬虫類はエリマキトカゲという新たな事実も判明しました。あとはえーと、ジャズ歌手として進駐軍のキャンプを回っている時に “エリー” というあだ名を付けられ、それが今の芸名の元になったんだそうですが、美空ひばり雪村いずみと共に “3人娘” と呼ばれたと。昭和57年、家で寝ていた時に脳溢血を起こし、喉にゲロが詰まって窒息死。45歳という若さでの、何とも悲劇的な最期でありますが、当時テレビはホテルニュージャパンの火災と羽田沖での日航機墜落事故の話題で持ちきりで、あまり大きくは取り上げられなかったんだそうで。人間、出来れば、あまり他にネタがないような平穏な日を選んで死にたいものでありますな。パンダと一緒の日に死んで、その訃報が3面記事の片隅に追いやられちゃった落語の大師匠もいたみたいですし。 で、根はジャズ歌手とのことなんですが、この 「酒場にて」 は純日本的な演歌となっておりまして、それも、どちらかというと “怨歌” という字を充てたくなるようなドロドロ系でありますな。男に捨てられ、独り酒場で自棄酒をあおる女。典型的なアル中への道、一直線!…といった感じですな。気持ちが荒んだ時、是非とも口ずさんでみたい1曲であります。

 で、真木ひでと「夢よもういちど」 (作詞:山口洋子/作曲:浜圭介) 。 誰、それ?…と思って調べてみたら、マイク真木の父親だったりとか、真木蔵人の素人時代の名前だったりとか、そういった事実はまったくなくて、グループサウンズ “OX” のリード・ボーカルという、そういう経歴の持ち主でありました。ちなみに “OX”“まるばつ” でも “まるぺけ” でもなくて、 “オックス” と読むのが正解ですね。そのコンサートで多数のギャルが失神したり、失禁したりしたことで知られております。 で、そのリード・ボーカルの野口ヒデトが、グループ解散後に演歌歌手に転向し、名前も真木ひでとに変えちゃったようなんですが、あの頃のギャルを失禁させるくらいの勢いをもう一度!…という夢を持ってリリースされたのが、この 「夢をもういちど」 というわけでありますな。あ〜な〜た〜だけを〜、とても好きよ好きよ、いまでも〜♪ って、何ともベタな演歌でありますな。ギャルの失笑を買いこそすれ、失禁はちょっと無理なんじゃないですかね?…という気がしないでもありません。

 後半10曲目はアリス「今はもうだれも」 (作詞・作曲:佐竹俊郎) 。 いや、懐かしいですな、アリス。皇族の末裔を名乗って結婚披露宴を開いて、一緒に写真を撮ったら1万円とか言って、ご祝儀約1300万円を騙し取ったんですよね。…って、それは有栖川宮詐欺事件。 で、皇族の末裔ではないほうのアリスが歌ったこの 「今はもうだれも」 という曲は僕もよく知っているんですが、作詞・作曲のところに佐竹俊郎という名前があるのがちょっと意外でした。オリジナルではなかったんですな、これ。何でも関西カレッジフォーク界では知られていた “ウッディー・ウー” というグループのカバーなんだそうですが、今はもう誰も愛したくない。毛沢東だって、もう嫌いっ! そんな、学生運動の終焉を感じさせる作品だったりするんですが、いや、歌詞の中には登場しませんでしたかね?毛沢東。 いかにもフォークらしい、なかなかの名曲だと思うんですが、アリスとしては結成3年半目にして、初めて掴んだプチ・ヒットだったそうです。

 次。ずうとるび「みかん色の恋」 (作詞:岡田冨美子/作曲:佐瀬寿一) 。  “ずうとるび” というのは言うまでもなく、ビートルズをもじった、おちゃらけ系のグループなんですが、僕の中では “あのねのね” と、ごっちゃになったりしてるんですけど。 “あのねのね” は1973年に結成されたフォークデュオ。 一方の “ずうとるび” は1974年、 『笑点』 の 「ちびっこ大喜利」 で山田クンが座布団10枚を獲得したのがきっかけとなって、デビューが決まったんだそうですが、 “あのねのね” の 「赤とんぼの唄」 が長縄所長代理の愛唱歌になるほどのポピュラリティを獲得したのに対し、この 「みかん色の恋」 というのは、あまり聴いたことがありませんな。どんな歌なのかと思ったら、好きなんだ、好きなんだ、逆立ちしたいほど、ダメなんだ、ダメなんだ、僕、逆立ちが出来ない〜♪ って、あまりにも歌詞がつまらなさ過ぎて、さすがの長縄所長代理も恥ずかしくて人前では歌えなかったりするのかも知れませんが、ま、 「赤とんぼの唄」 も似たようなものではあるんですけど。 作詞家・岡本冨美子の名誉のために言っておくと、この後の歌詞はわりとまともだったりするんですが、曲のほうもまったく気をてらったところはなく、ぜんぜん面白くはないんですが、ま、山田クンにしては健闘していると言えるのではなかろうかと。

で、続いては片平なぎさ「純愛」 (作詩:山上 路夫/作曲:三木たかし) 。 僕はけっこう好きでしたね、片平なぎさ。 片平なぎさとサナギマン、 『新婚さんいらっしゃい』 のアシスタントに選ぶならどっち?…と聞かれたら、僕でも迷わずサナギではなくて、なぎさのほうを選ぶと思いますが、ちなみに榊原郁恵とは堀越学園の同級生なんだそうです。最近はもっぱら女優として活躍している彼女、歌は嫌いなんだそうで、いや、こうして聴くと、そこそこうまいと思うんですけどね。少なくとも 「NINJIN娘」 を歌う田原俊彦よりはセンスがあると思うんですが、何と言っても曲のタイトルがいいですよね、 「純愛」 って。一方、何と言っても曲名のセンスがひど過ぎますよね、 「NINJIN娘」 。 で、なぎさたんの純愛というのは、いったいどういう物なのかと思ったら、あなたは夜の駅へ、ひとりで消えてゆくの、来るなとひどい言葉、私に残して〜♪ と、いきなり男に捨てられるところから始まっております。飽きられたんすかね? 2番の歌詞を見ると、私のことを思い、あなたは去ってゆくの〜♪ とありますので、この男、なぎさちゃんの幸せを願うあまり、断腸の思いで彼女を捨てて、で、脱腸になっちゃった。…と、そういうストーリーなのかも知れませんが、なぎさちゃんは彼への思いを断ち切ることが出来ず、家出してまでその後を追いかける決意をするわけです。いや、何とも純粋な愛ですな。で、決めの台詞は、二度と逢えない愛になるなら、そうよ私、死ぬだけ〜♪ って、なぎさちゃん、ちょ、ちょっと恐い。。。

 昭和という時代を代表する歌手、もしくはグループはいったい誰なのかという問題について考えてみた場合、もしかしたら “フィンガー5” がソレに相当するのではないか?…と、ふと思ったりもするんですが、平成の時代であれば絶対に馬鹿にされますもんね、あんなヘンな奴ら。 “アキラめがね” をかけて学校に行ったら、絶対にいじめられると思うし、床屋に行って髪の毛を切れよ!…とも言いたくなっちゃうんですが、そんな彼らがめっちゃ輝いて見えたのが昭和という時代なのでありました。とまあそんなことで、 「バンプ天国」 (作詞:阿久悠/作曲:井上忠夫) 。 バンプというのは恐らく、当時、マッシュポテトと並んで大流行していたダンス・チューンなのではないかと思うんですが、バンプだから歌い出しが、バンバンババンバン、バーンバーンバン、バーンバーンバンバン、バーバーバン♪ って、さすがは阿久悠、考えることが違いますな。 作曲者の井上忠夫は元・ブルーコメッツ。 フィンガー5関連では 「学園天国」「恋のダイヤル6700」 なんかもこの人の作品なんですが、いかにもアメリカン・ポップ・テイスト、ばりばり全開っ!…といった感じで、ここまでくるともう、笑えるのを通り越して、むしろ爽快感すら覚えてしまいます。ちなみにバンプという踊りがどのようなものなのか、僕は寡聞にしてよく知らんのですが、歌詞に、お尻とお尻ぶつけあって、ハートから火花を飛び散らせ、踊るよ〜♪ とあるところを見ると、かなりエロいダンスなのではなかろうかと。

 で、続いては、チューリップ「サボテンの花」 (作詞・作曲:財津和夫) 。 これはアレですよね。フジテレビ系のドラマ 『ひとつ屋根の下』 の主題歌ですよね。 僕は “よしもと新喜劇” 以外、ほとんどテレビというのを見ないので、この 『ひとつ屋根の下』 というのも一度も見たことがないんですが、 “よしもと新喜劇” でよく辻本茂雄あたりが真似をしていたので、ストーリーは何となく知ってます。 「そこに愛はあるのかい?」 という奴ですよね。あんちゃんや、チィ兄ちゃんなんかが登場する模様です。 で、一方、チューリップと言えば僕たちの世代だと 「虹とスニーカーの頃」 ということになるんですが、それよりも古いこの 「サボテンの花」 は、正統派フォークの色彩が強いです。スガキヤのラーメンスプーンとは違うよな。…という気がするわけなんですが、スプーンなんだかフォークなんだかレンゲなんだか、よく分からなくて、ちっとも正統派のフォークではありませんもんね、スガキヤのラーメンスプーン。 で、これはアレです。ほんの小さな出来事に君は傷ついて、君は部屋を飛び出した、真冬の空の下に〜♪ で始まる、愛の終わりを歌ったものなんですが、いや、何だか切ないですなぁ。最初の部分を聴いた限りでは、部屋を飛び出した彼女も、3時間ほどしたら機嫌を直して帰って来てくれそうな感じだったのに、本当にそれで愛が終わってしまうんですもんね。きっかけは、ほんの小さな出来事だったにせよ、それまでに相当、不満が鬱積していたものと思いますが、不満は下手に我慢して心の奥にしまい込むのではなく、その都度、吐き出しちゃったほうがいいのかも知れません。ネコなんかでも胃の中にたまった毛玉は、よくゲロとして吐いたりしてますからね。ネコから学び取れるものは少なくありません。

 で、最期は伊藤咲子、2度目の登場でありますか。地面に穴を掘る際は土留め (どどめ) がとても大切なんですが、伊藤咲子は2度目。ぜんぜん関係ないですね。 イスラエル人と決別して、 「木枯らしの二人」 ではロシア民謡風スポ根…という新しい境地を開いた彼女でありますが、今度は純正和風ワルツです。 「乙女のワルツ」 (作詞:阿久悠/作曲:三木たかし) 。 いきなり、つらいだけの初恋、乙女のワルツ〜 と、ゴージャスなコーラスが出てきて、なんじゃこりゃ?…と思ってしまったんですが、そうですか。初恋は辛いだけでしたかぁ。僕は辛い (からい) だけのカレーというのは食べたことがあるんですが、辛い (つらい) だけの初恋というのは経験がありません。僕の初恋はとっても甘美で、甘酸っぱい思い出に包まれております。例えて言うなら、サクマの “いちごみるく” と、中野の “都こんぶ” を一緒に口の中に入れたような…? そもそも、どうして咲子タンが自らの初恋を振り返って、つらいだけだったと述懐しているのかと言うと、好きと言えばいいのに、いつも言えぬままに、月が上る小道を泣いて帰った♪…と。つまりまあ、片思いだったということのようなんですが、いや、もしかしてそこで勇気を出して、クリスマス・プレゼントに手編みのマフラーと “うまい棒” の詰め合わせでも贈っておけば、あるいは2人はラブラブになれたかも知れないんですが、結局、彼女は自分の気持ちを伝えることが出来ないまま、好きな人はいつしか他の人を連れて、遠い街へ旅立つ、何も知らずに♪ 愛は悲しく消えてしまい、小雨降る日は切なくて、ひとり涙を流して、つらいだけの初恋、乙女のワルツ。はぁ〜。。。

 ま、僕の甘くてちょっぴり酸っぱい初恋も、結局、大好きだったあの娘に自分の思いを伝えることが出来ないまま終わってしまったんですが、でもまあ、人間、40年近くも生きていれば、オトナになってからどんなドラマが待ち受けているか、分からなかったりもするしぃ♪ とまあそんなことで、さば君がまだ初恋の味も知らなかった7歳児だった頃のお話は、おしまい♪

 最後にこの15曲の中から “さば的@我が心のベスト3♪” を選んでみたいと思うんですが、えーと、

(第3位) 雨だれ / 太田裕美

(第2位) サボテンの花 / チューリップ

(第1位) 誘われてフラメンコ / 郷ひろみ

 …といったところでしょうか? いや、第1位は自分でもちょっと意外だったんですけど。 ということで、ではみんなで声を合わせて、誘われてフラフラ、乱されてユラユラ♪

( つづく♪ )


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