『 青春歌年鑑('74-1 ) 』

〜 「ふれあい」から「母に捧げるバラード」まで 〜


1 ふれあい / 中村雅俊
2 うそ / 中条きよし
3 恋のダイアル6700 / フィンガー5
4 くちなしの花 / 渡哲也
5 積木の部屋 / 布施明
6 学園天国 / フィンガー5
7 私は泣いています / りりィ
8 ひと夏の経験 / 山口百恵
9 よろしく哀愁 / 郷ひろみ
10 岬めぐり / 山本コウタロー&ウイークエンド
11 二人でお酒を / 梓みちよ
12 ちっぽけな感傷 / 山口百恵
13 結婚するって本当ですか / ダ・カーポ
14 思い出のセレナーデ / 天地真理
15 母に捧げるバラード / 海援隊
16 ひとかけらの純情 / 南沙織
17 ポケットいっぱいの秘密 / アグネス・チャン
18 白い冬 / ふきのとう
19 しあわせの一番星 / 浅田美代子
20 夕暮れ時はさびしそう / N.S.P.
21 逃避行 / 麻生よう子
22 銀の指環 / チューリップ
23 みずいろの手紙 / あべ静江
24 挽歌 / 由紀さおり
25 ひまわり娘 / 伊藤咲子
26 気になる17歳 / あいざき進也
27 涙の太陽 /安西マリア
28 愛の挽歌 / つなき&みどり
29 私は忘れない / 岡崎友紀
30 水色の街 / 三輪車


 えーと、今回は1974年です。元号に直すと昭和49年。さばに換算すると6歳ということになります。あ、さば換算は僕が当時、何歳だったのかという計算なんですが、無論、サバは読んでおりません。で、この年、世の中では何があったかと言うとですね、長島茂雄が引退しております。ほぉ、僕が6歳の頃でありましたか。はっきりと記憶に残っているので、もっとオトナになってからの出来事だとばかり思っておりました。で、当時はまだ 「流行語大賞」 などというしょうもない企画はなかったと思うんですが、もしあったとすれば、“巨人軍は永遠に不滅です”…で決まりだったでしょうな。当時、僕はまだ純真無垢なジャイアンツ少年だったので、そうだよね。巨人軍は永遠に不滅だよね。…と、心の底から納得したに違いありませんが、ま、所詮は6歳児のことですんで、どこまで内容を正確に把握していたかはサダカではありません。で、他にどのようなことがあったのかというと、田中角栄の退陣というのもこの年でありましたか。昭和40年代最後の年ということもあって、ひとつの時代が終わったような印象を与える出来事が多いですね。社会的な事件としては、三菱重工爆破事件とか、三井物産・帝人・大成建設爆破事件とか、この辺りはぜんぜん僕の記憶にはないんですが、とにかく大企業が爆破されるのが流行っていたみたいですね。アルカイダの犯行ですかね?…って、いや、当時はまだそのような組織はあまりポピュラーではなかったと思われるので、恐らく日本赤軍とか過激派とか、そういうものによる犯行ではないかと思われます。やることが過激ですからね、過激派の人って。わりと穏健な過激派というのは、あまり聞いたことがないしぃ。

 あと、ピアノ殺人事件というのは何となく記憶にあります。ピアノの音がうるさい!…とか言って、3人も殺されちゃったんですよね。で、ルパング島からは小野田クンが帰ってきております。スポーツの世界では先ほどの長島クン引退以外に、ガッツ石松が世界ライト級のチャンピオンになって、相撲の世界では北の海が史上最年少横綱になっております。ほぉ、史上最年少だったんですかぁ。ずいぶんと老けたオッサンのように思われたんですが、ま、6歳児からしてみれば大抵がオッサンということになるんですけどね。ちなみに僕はアンチ北の海で、メンチカツの好きな少年でありました。子供心にも、態度がでかいな!…というところが何となく気に入らなかったんですよね。そこで僕はもっぱらライバルの輪島のほうを応援していたんですが、親戚のおじさんのヒロシくんが輪島に似ているというのもありましたからね。八百屋をやっていて、いつもお手伝いで買い物に行くとお菓子をオマケしてくれるので、何ていい人や!…と、子供心にも思ってしまいました。運悪くおばさんのほうに当たると何もオマケしてくれないので、何てケチな人や!…と思っておりました。仕方がないから自主的にこっそりとお菓子を万引きしたりもしたんですが、いや、それは6歳よりも少し大きくなってからの話だと思うんですけどね。もう随分と昔の話なので時効だと思うし、それに当時から、正当防衛や!…という意識がありましたので、この場を借りておばさんに謝るようなことはしません。反省もしません。お駄賃をくれなかったおばさんのほうが悪いんや!…と、今でもそう思っております。

 芸能界では新井注がドリフターズを脱退して、代わりに志村けんが入りました。少し前から “見習い” ということで 『全員集合!』 に出ていて、かなり注目されるキャラだったんですよね。子供心にも、こりゃ、ブレイクするな。…ということが予感されたんですが、あとはえーと、超能力ブームとか。話題の商品は 「紅茶きのこ」「幸福駅行きの切符」 。紅茶きのこブームというのは残念ながらまったく記憶にありません。東芝の電気もちつき機が初めて登場したのもこの年なんですな。うちの隣の家は東芝の電気屋さんでありましたので、電気もちつき機はかなり早い段階から我が家に導入されたような記憶があります。食べ物の世界では 「ペヤングソース焼きそば」 が誕生しております。もっともこれは中部地方では発売されておりませんので、ペヤングの存在を知ったのは20代も半ばを過ぎた頃でありましたなぁ。本の世界では 『かもめのジョナサン』『日本沈没』 なんかもあったようですが、何と言っても 『ノストラダムスの大予言』 でありましょう。今となっては、よくもまあ、嘘やデタラメを並べてくれたな、五島勉!…と思わずにはいられませんが、当時の少年達はマジで人類滅亡を恐れていたものでございます。いやあ、つまらん本が流行ったものでありますな。

 そして歌の世界では山口百恵西城秀樹が1年間に4枚のペースで新曲を発表するようになりました。歌謡曲のサイクルというのは、この頃に確立したもののようでありますな。ということで、前置きが長くなりましたが 『 青春歌年鑑('74年前編) 』 、いってみましょう。

 1曲目は中村雅俊「ふれあい」 (作詞:山川啓介/作曲:いずみたく) でありますな。個人的には “石垣島の夜” の印象が非常に強い曲なんですが、というのもですね、塩サバ物産(仮名)創立55周年記念@沖縄・石垣島旅行の宴会の席で、マルさんがこれを歌ったんですよね。いやあ、あのカラオケ大会はしょぼかったですなぁ。全日空系のかなりゴージャスなリゾートホテルだったんですが、カラオケ設備はスピーカーがモノラルでしたからね。カセットテープなんぢゃないか?…と思ってしまうほど時代を感じさせるシロモノでありまして、おまけに台風で3日間身動きが取れなかったせいもあって、人々の心は荒んでおりました。誰が何を歌おうと、まったく何の反応もなかったですからね。で、マルちゃんはわざわざ、「中村雅敏の“ふれあい”という歌を歌います。」…と前置きして、思い入れたっぷりに歌い始めたんですが、いや、恐らく彼にとってこの歌は、青春そのものだったんでしょうな。個人的にも嫌いではありませんね。メロディ自体はシンプルというか、地味で陰気な感じすら与えてしまうんですが、悲しみに出会うたび、あの人を思い出す、こんな時そばにいて、肩を抱いて欲しいと♪…って、聞いていてしみじみとするような歌詞が悪くないですよね。メロディが単純で歌いやすそうだから、盛り上がらないのを覚悟の上でカラオケのレパートリーに入れようか?…と思っていたんですが、案の定、マルちゃんの歌は本人の意気込みとは裏腹にさしたる盛り上がりもなくて、ヤメておいたほうが正解やな。…と悟った石垣島の夜なのでありました。

 次、中条きよし「うそ」 (作詞:山口洋子/作曲:平尾昌晃) 。この歌はですね、よしもと新喜劇島田一の介が熱唱していたことで知られております。…って、そんなこと、誰も知らないような気がしないでもないんですが、折れた煙草の吸殻で、あなたの嘘がわかるのよ、誰かいい女(ひと)出来たのね、出来た〜の〜ね♪…という歌でありますな。折れた煙草の吸殻でどうして嘘がわかるのか、僕には今ひとつよくワカランのですが、でもまあ、何となくわかるような気がしないでもありませんな。…というところが何とも微妙なところではありますな。で、ここまでの歌詞からして、こりゃ、中条きよし君がオカマ化して歌っている“女歌”であるな。…と思っていると、いきなり、あ〜あ、半年あまりの恋なのに、あ〜あ、エプロン姿がよく似合う♪…と、エプロンフェチの歌に転じて、メロディのほうもここでちょっぴりコミカルな感じになっております。どういうシチュエーションの歌や?…というのが今ひとつよくワカランのですが、ま、細かいことはあまり気にしないことにしてと。

 続いては、フィンガー5「恋のダイヤル6700」 (作詞:阿久悠/作曲:井上忠夫) ですか。この歌はアレですよね。リンリンリリンリンリンリリンリン、リンリンリリンリンリンリリーン♪…で始まり、君のテレホン・ナンバー、しっくすてぃせぶんおーおー、ワオ〜!はろ〜♪…で終わるという、そういうアレでありますな。フィンガー5というのは何だかとってもアメリカンなポップを感じさせるお子様集団でありまして、いかにも70年代的なフィーリングを全身から発散していたんですが、いや、いまから思えば随分とこっ恥ずかしい輩(やから)でありましたな。海星高校にいたスペイン人の神父の名前はラカラでしたけど。…って、いや、そんなことは別にどうだっていいんですけど。で、この歌の内容を要約するとですね、卒業式の前日、愛しいあの娘の家に電話してコクっちゃおう。…と、ま、そういうなんだと思うんですが、なるほど。電話というのはパンツの色を聞き出すだけではなくて、そういう使い方も出来るものだったんですね。ひとつ賢くなりました。で、その告白の結果がどうなったのか、この歌の範囲では窺い知ることは出来ないんですが、ま、おそらく、あのようなファッション・センスのまったく感じられない連中のことですんで、「私、白いパンタロンアキラメガネの人って、嫌いなの。」…と、はっきり断られたのではなかろうかと。いやあ、いい気味ですな。ちなみにこの歌が流行した当時、適当な市外局番と市内局番の後に“6700”をダイヤルして、相手が出たら「ワオー!」…と叫んで切るという、 “恋のダイヤル6700ごっこ” が流行ったものでございます。ま、いわば “声のピンポンダッシュ” みたいなもので、実に迷惑な話でありますなぁ。

 で、4曲目は渡哲也「くちなしの花」 (作詞:水木かおる/作曲:遠藤実) ですか。個人的には “石垣島の夜” の印象が非常に強い曲なんですが、例のカラオケ大会で水谷さんがこの曲を歌っていたんですよね。この頃はまだ宴が始まって早い時間だったので、それなりに聴衆の反応や拍手があって何よりでありましたが、それはそうと、渡哲也と言えば 『西部警察』 のカッコいいおっさん。…という印象が強かったんですが、それがどうしてこんなド演歌を歌う破目になっちゃったんすかね?僕たち子供たちは、裏切られた思いで一杯でありましたが、ま、今から思えばそれなりに渋い歌ではあると思うんですけど。今では指輪も回るほど〜♪…という歌い出しの部分で、僕たちは何となく “皿回し” みたいな大道芸を頭の中に描いていたんですが、くちなしの花というのはアレですな。何となく無口な女を連想させて、個人的にはタイプでありますな。でもまあ、僕も根が無口でシャイなので、こういう相手だとまったく話が盛り上がらなくて、バツの悪い思いをすることになる気がしないでもありません。一方的にべらべらと喋りまくってくれる、そういう人のほうがいいかも知れません。いずれにせよ、無口な女が押し黙って指輪をクルクル回しているという、そういう歌なんだと思います。

 で、5曲目は布施明「積木の部屋」 (作詞:有馬三恵子/作曲:川口真)なんですが、いや、何だかあまり気が進みませんなぁ。僕は布施くんのことがフセイン元大統領ほどにも好きではなくて、あまりにも気がすすまないあまり、この原稿も布施明という名前を見た時点で3ヶ月間ほど執筆が滞ってしまったんですが、ま、適当にクリアしておきますかね? えーと、この歌はですね、君に出来ることはボタン付けと掃除〜♪…というギャルと同棲していて、だけど満ち足りていた〜♪…と、ま、そういうことであるようなんですけどね。個人的にはボタン付けだけではなくて、ボタン鍋も出来るギャルのほうがいいな。…という気がするんですが、山に入ってイノシシをつかまえてきて、自分で肉をさばいたりして。そういう、さばけたギャルが、さば君としてはいいと思います。

 ということで、続いてはフィンガー5「学園天国」 (作詞:阿久悠/作曲:井上忠夫)ですね。よく登場しますなぁ、フィンガー5。流行ってましたからねぇ、アキラメガネとか。僕も欲しかったんですが、家が貧乏だったので諦めたんですよね。この体験はいずれ、 『あきらめたアキラメガネ』 といった手記にまとめてみたいと思っているんですが、この歌はアレです。ヘーイヘイヘイヘーイへイ♪(呼び掛け)、ヘーイヘイヘイヘーイへイ♪(応答)…というコール&レスポンスではじまる、おなじみのナンバーでありますな。歌の趣旨としてはアレです。学校の席替えで、このクラスで一番の美人の隣になれるか否か?…といった問題をですね、真正面から取り上げているわけなんですけどね。個人的には好きなコの隣の席というのは、何かと気詰まりなのであまりよくないと思うんですが、もし鼻詰まりになってもろくろく鼻クソもほじれないほど、気詰まりですからね。好きなコの2つくらいの後ろ斜めの席から、ストーカー的な視線を送っているほうが僕の性にはあっているんですが、フィンガー5いわく、クラスで一番の美人の隣になれなかったら、もう、グレちまうよ〜♪…とのことでありまして、こうしてみんな、不良になっていくわけなんですなぁ。

 7曲目、りりィ「私は泣いています」 (作詞:りりィ/作曲:りりィ)。 “りりィ” というのは “りり” の部分だけ平仮名で “りりィ” だったと思うんですが、Gパンを履いてギターを弾きながら歌う、そういったギャルだったように思われます。で、声がまたハスキーでいいんですよね。6歳児ながらにソソられるものを感じてしまいました。…といった記憶はないんですが、36歳になって改めて聴き直してみると、声がまたハスキーでいいんですよね。…といった気がしますよね。私は泣いています、ベッドの上で、私は泣いています、ベッドの上で♪…とリピートしておいて、あなたに会えて幸せだった♪…の、 “幸せ” の “せ” ところで声が裏返るところが、もうたまらなくいいです。これがなければ全体的に平坦なメロディになってしまうんですが、この裏返り具合がいいアクセントになっているんですよね。歌詞としては、男に捨てられそうになっているギャルの、未練タラタラの心情が歌われているんですが、何だか聴いているとウザったくなってきて、捨てたくなる気持ちもワカランでもないですよね。で、捨てられようとしておりながら、あなたの幸せ願っているわ、私だけはいつまでも♪…と言い切るあたり、非常によく出来た女のようでもあり、何だかちょっと嘘っぽくもあり。でもまあ、日本人にはウケる世界であるかも知れませんな。

 はい、次。山口百恵「ひと夏の経験」 (作詞:千家和也/作曲:都倉俊一)。ま、この歌に関しては、詳しくは ここ を読んでもらうとして、いや、こういう “おじさん心” をくすぐる歌というのは聴いていて、何だか不愉快になっちゃいますよね。何だか激しく “おじさん心” をくすぐられてしまって、相手の思うツボにはまっているようで、不快です。思わず、今年の夏は新島に行ってみようかな?…とか思ってしまいますもんね。

 ということで、続いては 「よろしく哀愁」 (作詞:安井かずみ/作曲:筒美京平)でありますか。いや、この歌はいいですよね。まず第一に、 「よろしく哀愁」 というタイトルがいいです。これがもし、 「ピロシキ採集」 という名前だったりしたらちっともよくないんですが、そんなものを集めてみたところで、ちっとも夏休みの宿題にはなりませんもんね。で、この歌はですね、曲がいいんですよね。あ、書くのを忘れておりましたが、歌っているのは郷ひろみであります。声変わりしたばかりの中学生みたいで、聴いていて不愉快以外の何物でもなかったヒロミ君の甘いミラクル・ボイスもですね、この頃になってようやく、ちょっぴり大人びてきましたよね。で、郷ひろみというキャラ自体があまり好きではなかったので、当時6歳だった僕は彼の存在自体を無視しているようなところがあったんですが、こうして大人になってから改めて聴き直してみると、歌っている作品自体は極めてまともだったんですね。特にこの 「よろしく哀愁」 はですね、曲がいいんですよね。…というところまで、ようやく話が戻ってきましたが、さすがは筒美京平、なかなかいいメロディを作るものでありますな。特に、会えない時間が、愛、育てるのさ、目をつぶれば君がいる♪…というサビの部分は絶妙です。安井かずみの書いた詞もよい出来でありまして、 “会えない時間” と “、育てる” で、微妙に韻を踏んでいるところなど、さすがです。が、何といってもこの歌で最も印象的なのは最後のこの台詞ではないでしょうか。友達と恋人の境を決めた以上、もう泣くのも平気、よろしく哀愁♪…って、何だか意味は今ひとつよくわからんのですが、ちなみにこれ、カラオケのレパートリーに入れてみようかと思っておりますので、もし一緒に歌いに行く機会がありましたら、気軽にリクエストしてくださいね。

 10曲目、山本コータローとウィークエンド「岬めぐり」 (作詞:山上路夫/作曲:山本厚太郎)。いや、山本コータローのコータローって、厚太郎って書くんですな。初めて知りました。ちなみにこれが本名みたいなんですが、漢字で書くとずいぶんとイメージが変わるものでありますなぁ。ちなみに昔、うちで飼っていたペルシャ系雑種猫の名前はスータローだったんですけどね。怪しいネコ屋から仕入れた当初、スザーンなどというタワけた名前が付けられていたんですが、後にオスであることが判明して、スータローと改名しました。動物病院に連れて行ったら、薬の袋に年配の先生の字で、 “数太郎 様” などと書かれていましたけどね。で、山本コータローと言えば、 「走れコータロー」 など、お笑い系のイメージが強いんですが、この 「岬めぐり」 はまともですな。もう、まとも過ぎてまったく面白みがないくらい、ごく普通のフォーク・ソングとなっております。ま、ウケ狙いの歌というのは後から聴くとウザいだけなので、これはこれでいいと思うんですけどね。

 ということで、続いては梓みちよ「二人でお酒を」 (作詞:山上路夫/作曲:平尾昌晃)ですな。梓みちよというのはアレですよね。 『新婚さんいらっしゃい』 のアシスタントですよね。…ということを知っている人は、それなりに長く人生を生きてきた人であると言ってもいいかも知れませんが、若いのか、意外と年がいってるのか、判然としないタイプのギャルがいた場合、梓みちよって、 『新婚さんいらっしゃい』 をやってたよね?…という話題を振ってみるといいかも知れませんね。それなりの反応が得られれば、それなりのトシであるな。…と判断してもいいのではないかと思いますが、そもそも今の若いギャルは、梓みちよという存在自体、知らないような気もするしー。 ということで、 「二人でお酒を」 でありますが、何だかあまりにも頻繁に耳にし過ぎて、新鮮味が感じられないくらいによく聴いたような気がしますな。で、コドモ心にはそれほど深く感銘を受けるような作品ではなかったんですが、大人になって改めて聴き直してみると、なかなかいい歌でありました。…というパターンが今回は多いような気がするんですが、別れてしまった後も、寂しくなったら2人でお酒を飲む。そういうオトナの関係というのは、いいものでありますなぁ。恨みっこなしで、別れましょうね♪…という冒頭の、 “恨みっこ” という、やや子供っぽい表現もいいですよね。恨みっこというのはアレですよね。片足で立つ鳥ですよね。…って、そりゃ、フラミンゴやがな!…と、ボケれるところがとってもいいと思います。

 はい、12曲目です。 「ちっぽけな感傷」 (作詞:千家和也/作曲:馬飼野康二)、by 山口百恵。 先ほど紹介した山口百恵特集のところでは、かなり軽く扱われていた曲でありますな。知りません。チャートの最高順位はこれまた3位。知らない曲のわりには健闘しておりますが、ま、僕が知らないだけの話でそこそこ有名な歌なのかも知れませんけどね。…とまあ、そういった扱いであったわけですが、どういう歌なのかと思ったらですね、歌い出しが、もちろん出来ないことだけど、あなたを嫌いになりたいの♪…って、ほら、やっぱりあまりよく知らない歌ですよね。逆説的なオトメ心を歌った作品のようでありますが、ぱっと聴いた感じ、サビの部分のメロディはなかなか魅力的ではありましたけどね。いや、曲を言葉で表現するのは難しいので、これ以上深入りするのはヤメておきますが、胸の奥も指の先も感じてるのに♪…という、ちょっぴりすけべなフレーズが出てくるところはお約束でありますな。

 さ、残すところあと3曲ですね。書いてるほうも読んでるほうも、もうちょっとの辛抱です。で、13曲目はダ・カーポ「結婚するって本当ですか」 (作詞:武田全弘/作曲:榊原政敏)。いや、嘘です。僕はまだ、今のところ結婚する予定はありません。で、この歌はアレですよね。はっきりと言葉に出して誓ったわけではないんだけど、いつかきっと結ばれると信じていたオトコからですね、結婚式の案内状が届いたという、ま、そういうシチュエーションの歌ではないですかね? オトコって、確かにそういうところってありますよね。はっきりと言葉に出して誓ったわけではないんだけど、いつかきっと結ばれてもいいかな?…と思っている女がいて、でも、新しい女が出来たりすると、ま、こっちでもいいかぁ。…とか思ったりして。ま、別にはっきりと言葉に出して誓ったわけではないんだしぃ。…というので、昔の女はあっさり捨てられることになるんですが、いや、怪しからんっ!…と、僕個人としては思うんですけど。 捨てられたギャルとしては、哀しいとか、ムカつくとかというよりも、はぁ?…と、呆気に取られた気持ちになるのではないかと思うんですが、そういった心理がですね、ルルル、ルルル、ルルルル〜ル♪…という、何だか楽しげなラストの部分によく現われているような気がしないでもありません。

 はい、次。 「思い出のセレナーデ」 (作詞:山上路夫/作曲:森田公一)。 いや、これは天地真理の最高傑作ではないか?…と、個人的には思いますね。ま、そこまでは言い切れないかも知れませんが、少なくとも天地真理の最低駄作でないことだけは確かです。そこそこ佳作…というのでもなく、やはり傑作のひとつに数えてもいいのではないかと思いますが、あの〜坂の道で、2人言ったさよならが、今もそうよ、聴こえてくるの♪…と、ま、内容的には “昔の恋愛懐かしみソング” であるわけなんですが、流れるようなメロディが何とも言えず耳に心地よいですなぁ。天地の声も心地よいですしね。ま、強いて難点を挙げるとすれば、貴方の元へいそいそと、季節の花を抱えては♪…という歌詞の “いそいそ” という部分で、何となく磯野カツオの顔が浮かんでくることなんですが、ま、世の中にはカツオの顔が浮かんでこない人もいるかもしれないので、それはそれでいいとは思うんですけどね。

 ということで、前半戦最後の曲になりました。海援隊 「母に捧げるバラード」 (作詞:武田鉄矢/作曲:武田鉄矢)。 いや、これはいけませんな。武田鉄矢というのは史上、最もウザいキャラクターの1人であるわけなんですが、それが歌を歌うだけでは飽き足らず、台詞までしゃべってますもんね。ウケ狙いの歌というのは後から聴くとウザいだけ。…という顕著な一例でありまして、しかもそれが台詞入りとなると、これはもう、聴いているほうが恥ずかしくなってしまいます。いやあ、 『 青春歌年鑑('74年前編) 』 も最後の最後になって、スカをつかんでしまいましたなぁ。。。

 …と、何だか最後は暗澹たる気分になってしまいましたが、ま、それを除けば全体的になかなか優れた作品が集まっていたと思うんですけどね。んなことでですね、今回の “さば君@心のベスト3” はですね、

(第3位) 私は泣いています / りりィ

(第2位) 思い出のセレナーデ / 天地真理

(第1位) よろしく哀愁 / 郷ひろみ

 ということで、後半はまたそのうちに。

( つづく♪ )


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