『 ソースかつ丼パイ (明治亭) <分類 : おみやげ系洋菓子> 』

ソースかつ丼パイ@外箱♪ ソースかつ丼パイ@開封状況♪
キャベツ風くっしょん♪



 定番のお土産というのがありますよね。例えば、北海道なら“白い恋人”、仙台なら“萩の月”、東京なら“ひよこ”…って、実はこれ、本来は九州のお土産だったりするので、代替案として“草加せんべい”というのを挙げる人もいるかもしれませんが、実はこれ、本来は埼玉のお土産だったりするので、個人的には“ハローキティの人形焼き”を激しく推奨したいところでありますな。…と、一度 このあたり で検証したことのある長野土産の定番でありますが、“雷鳥の里” でいいんぢゃないの。…という結論を覆すだけのパワーを秘めた恐るべきニューフェイスが登場しました。その名も “駒ヶ根名物@ソースかつ丼パイ” …って、いや、駒ヶ根名物と地域が限定されているぶん、長野県の代表と言い切るには若干の弱さがあるかも知れませんが、それにしても “ソースかつ丼パイ” などという常軌を逸脱した天才肌の発想は、長野県土産の異端児となり得るだけのインパクトを秘めていると言えるでありましょう。ま、異端児は無理だとしても、長野県土産の麒麟児だとか、長野県土産の肥満児くらいのことなら何とか。

 そもそも “ソースかつ丼” というのはどういうものなのか?…というところから話を進めていかなければなりませんが、時は今を遡る事、350余年。年号で言うところの寛永年間というのがその時期にあたるわけでありますが、その当時、日本にはソースかつ丼はありませんでした。無いのならわざわざ350余年も時を遡る必然性はありませんでしたね。ま、せいぜい50年も遡っておけばソースかつ丼の歴史の全貌を捉えることが出来るわけでありますが、つまりまあ、さほど歴史のある食いものでもないんだな。…という点をまずは押さえておきましょう。で、詳しいことは ここ を見ていただければ一目瞭然。もはや僕は何も付け加えることはありませんが、これを読むとソースかつ丼が誕生したのは1921年ということになっておりまして、つまりまあ、時を50年遡ってみたところでソースかつ丼の歴史の全貌を捉えることが出来ないことが判明した次第でありますが、もうちょっとよく調べてから原稿を書けって!…と思わずにはいられませんね。でもまあ、駒ヶ根ソースかつ丼の歴史…ということに限定すれば、昭和11年頃という喜楽3代目の証言もあることですし、となれば約67年ということになるので、僕の提唱した“せいぜい50年も…”という数字はほとんど誤差範囲と言えるわけでありまして。

 で、僕はソースかつ丼のファンです。ちなみに僕のバアちゃんは麒麟児のファンだったんですが、童顔フェチだったんですかね? その血筋は僕のロリ系好きという趣向に受け継がれているわけでありますが、それはともかくとしてソースかつ丼。僕は好きですね。ソースかつ丼に限らず、普通のカツ丼(←卵で綴じたタイプ)も好きです。かつ鍋御膳というのもいいと思うし、とんかつ定食というのも捨てがたいものがありますよね。カレーだったらやっぱりカツカレーが美味しいと思うし、サークルKでサンドイッチを買うならハムカツサンド、マックスバリューでお惣菜を買うならチビッコメンチカツ…って、ま、要するにカツだったら何でもいいわけなんですが、別にソースかつ丼でなくっても。が、せっかく駒ヶ根とか伊那のあたりに来たからには、普通のカツ丼(←卵で綴じたタイプ)でなくて、ソースかつ丼を食べたいよね。…と思って、この地方に赴いた際にはよくソースかつ丼を食べております。おかげでちょっぴり痛風が悪化しました。しまったぁ。普通のカツ丼にしておけばよかったぁ!(←一緒や。) で、ソースかつ丼の魅力というとですね、やはり何といってもカラっと揚がったカツの美味しさに尽きるでありましょう。カツさえ美味しければソースがかけてあろうが、卵で綴じてあろうが、カレーの上に乗っていようが、別にどうだっていいわけなんですが、ソースかつ丼というのはアレですね。普通のカツ丼に比べて、店によってバラツキが大きいような気がしますね。普通のカツ丼の場合、カツが旨いかまずいかという点を除けば、味付けが上品か下品か…ということくらいしか味を左右する要素が存在せず、すなわち

 ・カツがうまい上品なカツ丼 ・カツがまずい上品なカツ丼 ・カツがうまい下品なカツ丼 ・カツがまずい下品なカツ丼

の4タイプに分類しておけばそれで終わりなんですが、これがソースかつ丼となってくると物事はそう簡単にはまいりません。カツの優劣、味の上品下品にプラスして、“ソースがねっとり系かサラサラ系か?”“ソースが甘口か辛口か?”“ソースがソース系か醤油系か?”…といった3つの要素が新たに絡んできて、まさに店によってその味は十人十色というか、千差万別というか、魑魅魍魎というか、色即是空というか、四面楚歌というか、朝令暮改というか…って、とりあえず知ってる四字熟語を列記しただけで3つ目以降は何の関係もなかったような気がするんですが、昨日、スキーの帰りに中央道・駒ケ岳SA(下り線)のレストランで食べたソースかつ丼は美味しかったです。ちなみにこの辺りのSAやPAにはお土産物として“ソースかつ丼のソース”というのが売ってますよね。メーカーとしては“明治亭”というのと、えーと、名前はよく知らんのですが、豚の絵が書いてあるやつ。その2種類があるようです。“明治亭”というのは独自にソースかつ丼の店を構える駒ヶ根でも有名な由緒正しい店のようでありまして(←少なくともよそ者にはそう思える)、一度、わざわざ高速を駒ヶ根ICで途中下車して食べに行ったことがありました。店に着くと何だかすごい行列が出来ておりまして、さすがは地元でも有名なソースカツ丼の老舗!…と感心した次第でありますが、いざ店の中に入ってみると、地元の住民が群れ集っている単なる居酒屋状態でありまして、いや、何だか思っていたイメージとはかなりかけ離れておりましたな。誰もソースかつ丼なんか注文してないしぃ。もっとこう、老舗の洋食屋…みたいなのを期待してたんですよね。ま、ソースかつ丼の出来自体はカツの肉質も味付けの点でも申し分なく、たいへん美味しいものでありましたが、アレなら別にわざわざ途中下車しなくても、駒ケ岳SAのレストランでも充分かな?…という気がしないでもありません。

 で、駒ケ岳SAのレストランでソースかつ丼の到着を待ちわびながら、そこに置かれていたお土産物の案内みたいなものを眺めていたんですが、ここの一押しはどうやら “巣ごもり” というお菓子のようですね。何だか名前からはまったくその全体像が浮かんでこない食い物でありますが、どうやら“第20回全国菓子大博覧会名誉金賞受賞@黄身あんを玉子の形にととのえて最高級のホワイトチョコでくるんだ、甘味控えめ、後味さわやかな高級生菓子。”…ということのようです。悪くないかも?…という気はするんですが、“巣ごもり”という何だか地味なネーミングからは、どうしても食ってみたい!…という欲望を引き出すだけのインパクトが感じられないというのが実情であるな。…などと思っていた僕の目に飛び込んできたのが “ソースカツ丼パイ” という文字でありまして、いや、これは強烈でしたな。ンなもの実際に商品化してみたところで、まず確実にロクなものにならんであろうことは火を見るよりも明らかなのに、あえて販売に踏み切ってみたそのチャレンジ精神! 僕は“明治亭”というキャラにはさほどよい印象を持ってなかったんですが、これでイメージが270度変わりました。何だか微妙に中途半端な数字で、反対側に斜め45度になっただけぢゃないか。…という気もするんですが、少なくともウケの取れるお土産物ではありますよね。僕は早速、レストランでのソースかつ丼摂取後の購入を決めた次第でありますが、売店のお土産お菓子コーナーにその画期的な商品の姿は見えず、やはり企画倒れに終わってしまったのか?…と思っていたら、窓際のソースかつ丼のソースやら乾物やらが売られているほうのコーナーに置いてました。大きい箱と小さい箱がありましたが、大きい箱というのは舌切りスズメのいじわるばあさんの時代からロクなものではないに決まっているに違いなく、聡明な僕は小さい箱のほうを買いました。いや、味のほうは期待度0%で、きっと大きい箱を買うと持て余すに違いないわけでありまして。

 で、今こうして家に帰って、しみじみと外箱の包装を眺めているわけでありますが、商品の無理矢理具合からすると、やや地味目のパッケージではありますな。“ええじゃないか、ええじゃないか、静岡でうなぎ、東京でバナナ、駒ヶ根ソースかつ丼、ええじゃないか”…などと、基本的にどうでもいいことが書かれておりますが、明らかに浜松の “うなぎパイ” と “東京ばな奈” を意識していることが分かりますね。特に商品の性格上、 “うなぎパイ” には強烈なライバル意識を持っているようでありまして、というか、ただのパクリぢゃん。…という気配が濃厚に漂っているのは名古屋の “きしめんパイ” と同様でありますが、ま、パイというのは概してあまり失敗がなくて、お菓子としては安全パイとも言えるジャンルでありますので、とりあえず名物をパイにしておけばエエやん。…みたいな発想はワカランでもないんですけどね。長野では “りんごパイ” の類をよく見かけるし、そのうち “宇都宮名物@餃子パイ” とか “仙台名物@牛タンパイ” とか “桑名名物@焼き蛤パイ” なんてのも出てくるに違いありません。それにしても“ソースカツ丼パイ”というのはあまりにも発想が安易過ぎるな。…と思いつつ包装紙をビリビリと破って箱の蓋を開けてみると…、おおっ、見た目はまんま“うなぎパイ”でありますな。ソースカツ丼界の老舗メーカーとしての矜持はどこに?…と思わずにはいられない類似品商法と切り捨てることも可能なんですが、ここはまあ、ひとつ実際に食べてみて判断するとして。

 ・・・・・。結論から申し上げましょう。これは明らかに“うなぎパイ”ではありません。間違いなく “ソースかつ丼パイ” です。食感としては “うなぎパイ” よりも薄めで、かなり脆弱な感じが致します。宅急便とかで送ったら、まず確実に全体の85%までは割れちゃうだろうな。…といった感じでありまして、いや、宅急便における荷物の取り扱いが雑とかそういう問題ではなくて、商品自体がかなり脆い作りになっているんですよね。それがソースカツ丼パイ独自の味わいとなっているんですが、問題はそんなことより、何といってもその味付けでありましょう。ちゃんとソースかつ丼の味がするっ! それも、ただ単にソースかつ丼のソースの味がするだけでなく、きちんと豚の味だって感じられるし、カツが持っている脂っこさまで的確に再現されているのには驚きました。何もここまで忠実にソースカツ丼の味を再現しなくてもいいんぢゃないか?…と思ってしまうほど。僕は “うなぎパイ” がけっこう好きで、平気でレギュラーサイズ連続2枚食いなんかをこなしてしまうわけなんですが、これほどまでくどいと、1枚で充分…という気になってしまいます。ま、人の好みはそれぞれなので、このクドさが、もうたまらんっ♪…みたいな人も世の中に3人くらいはいるかも知れませんけどね。

 最後に明治亭の名誉のために言っておきますが、昨日、本物のソースカツ丼を食べた直後でなければ、もうちょっと美味しくいただけたかも知れないね。…ということだけは付け加えておきます。今日の僕はなんだか胃がどーんとして、脂モノは勘弁。…といった体調でしたからね。アブラに飢えている年頃だったら、大喜びして食べちゃうかも?…という気がしないでもありません。 で、感心した事がもう一点。何気なく、パイが入ったビニール袋を箱の中から取り出してみると、箱の底にはクッションのためなのか、細かく千切りにした紙が入っておりました。ソースかつ丼だけに、ちゃんとキャベツが敷いてあるぅ! その何気ない遊び心に、僕の胃腸もちょっぴり軽くなった気がしたのでありました。

( おしまい♪ )


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