『 ROUND MIDNIGHT (その2) 』



 どうしても更新がおろそかになってしまうこのコーナーでありますが、皆さま、いかがお過ごしでしょうか?僕はですね、イカンガーのことを考えて過ごしておりました。昔、いたんですよね、イカンガーっていう名前のマラソン選手。典型的な “先行逃げ切れずタイプ” のランナーでありまして、いつも先頭で競技場に戻ってくるんですが、最後のトラック勝負で瀬古選手に抜かれちゃうという。ある意味、悲劇的な選手であったわけですが、よく、「イカンガーはいかんがー。」…と言われて、馬鹿にされておりました。せこいレース運びをする瀬古選手のほうも、「瀬古はせこいや。」…などと、セコイヤチョコレートを食べながらテレビ観戦しているガキに言われてましたけどね。…とまあ、この話は前にも何度か書いたことがありますよね。いや、フルタのセコイヤチョコレートを絡めてみたのは今回が初めてかも知れませんが、そんなことで 『ラウンド・ミッドナイト』 です。テレビで映像をみながら原稿を書き進めて、時には画面 をデジカメで撮影したりもしなければならず、そんなにいくつものことを同時に出来るか!…と、怒れてくるのがこのコーナーの更新が滞りがちになる要因なんですが、よく考えたらパソコンでDVDを見ながら原稿を書いたほうが、よっぽど能率がいいですよね。画面だってキャプチャー・ソフトを使えばいいわけだし。…ということに気が付いて、俄然、やる気がでてまいりました。…というところまではいかないんですが、いつまでも放置しているわけにもいかないので、何とか頑張って片付けておきましょう。

 で、あまりにも間隔が開き過ぎて、どういう話だったのかワケがわからなくなっていると思いますので、簡単に前回までの粗筋を振り返ってみるとですね、デイル・ターナーフランシス君が仲良くなると。ま、そういうことで、では続きを見ていくことに致しましょう。


  「 11 : 悪い知らせ、悲しい知らせ


 この 「悪い知らせ、悲しい知らせ」 というタイトルの付け方はなかなかいいですよね。ちょっぴり詩的で素敵な感じが致します。ま、敢えて注文を付けるとしたら、もうちょっとひねりがあってもよかったかな?…ということくらいなんですが、例えばそうですな、 「悪い知らせ、悲しい知らせ、南極観測船は“しらせ”」 …とか。いや、つまらないひねりなら無いほうがいいような気もするんですが、このチャプターは貧しいデザイナーであるフランシス君が仕事の話を反故にされて、怒り心頭!…といったシーンで幕を開けます。ま、彼の気持ちもワカランではないんですが、日本には “心頭滅却すれば火もまた涼し” という言葉もあることですし、心も頭も少し冷やしたほうがいいんじゃないですかね?頭だけでなく、タマを冷やしたりするものアッチのほうには効果があるみたいですしぃ。 が、フランシス君は心も頭もタマも冷やすことなく、別れた元妻に電話で当り散らしたりして、これはもう、ちらし寿司でもヤケ食いするしかないな。…といった感じでありまして。いや、ちらし寿司などというロー・インパクトなものを食べてみたところで、どうなるものでもないんですけど。娘のベランジェールちゃんの寂しそうな表情が印象的でありまして、いやあ、大人気(おとなげ)のない親を持つと子供は苦労するんですよね。


 で、ここで場面は一転して、ハービー・ハンコックが自宅と思しきところでピアノを弾いているシーンになります。ジャズファンとしてはここで、棚に置かれているレコードの一番手前がミルト・ジャクソンの 『バグス・オパス』 であることを見逃してはいけません。いや、僕は前に見た時にはすっかり見逃していたんですけど。これに気が付いたのも画面撮影の賜物でありますな。あ、そうそう。先ほどパソコンの画面をキャプチャーしてみたんですが、何だか取り込まれたファイルが変な感じになってしまいました。仕方がないのでデジカメで撮影する方法に戻したんですが、そういえば以前、 『ああ、ホモ三昧』 という動画のキャプチャーを取ろうとして、駄目だったことがあったので、世の中というのはきっと何かそういう仕組みになっているんでしょうな。…などと言ってるうちに画面にはボビー・ハッチャーソンやら、デイル・ターナーやら、バターカップやら何やらがワラワラと登場してきて、俄然、賑やかになってまいりました。法事ですかね?でなきゃ、ホームパーティか何かでしょうか。するとそこにフランシス君も姿を見せて、なるほど、これは恐らく、デイル・ターナーが父と娘をパーティに招待したということなんでしょうな。が、そのわりにはフランシス君の顔が曇っているのが気になります。 「悪い知らせか フランシス」 と訊ねるターナー。 「ハーシェルが死んだ」 …って、えっ!?ガーン! いきなり “ハーシェル” などという知らない名前が出てきて、びっくりするではありませんか。そういえばこの映画のいちばん最初の台詞は、「ハーシェルが死んだ部屋かい?」…だったような気がするんですが、 “ハーシェル” とはいったい何者なんでしょうね?

 ハーシェルの死を知らせる新聞記事に見入るデイルとエース。あ、エースというのはボビ・ハチ君が扮する料理好きのおっさんの役柄なんですが、写真を見てデイルは一言、「奴じゃない」。奴じゃないとすれば、いったい誰なんでしょうね?ヤツメウナギぃ?…と思っていたら、やっぱりヤツであることが判明して、いやあ、実に悪い知らせ、悲しい知らせでありましたなぁ。

  「 12 : Autumn in New York


 夜の街、ゴミ捨て場に腰を下ろし、独りテナーを吹くデイル・ターナー。それに気付いて歩み寄るフランシス。演じるのはヴァーノン・デュークの名曲、 「ニューヨークの秋」 でありますな。故郷から遠く離れたパリで暮らす彼はいったいどんな思いでこの曲を吹いたのでありましょうか?そして彼は途中で演奏をやめてしまい、 「駄目だ 歌詞を忘れた」 。サックスを吹くのに歌詞なんか関係ねーぢゃん。…と思うのは素人の浅墓さでありまして、いや、僕もサックスを吹くことに関してはド素人なので偉そうなことは言えないんですが、やはりちゃんと歌詞を踏まえた上で吹かないと、いい演奏は出来ないということなんでしょう。「ニューヨークの秋よ〜♪」…と、とてつもなく下手な歌で思い出そうとするターナー、「悲しみが心をさいなみ、夢見る人はむなしくさまよう〜♪」…と続けるフランシス。ここで場面は一転し、ステージの上で 「Autumn in New York」 を演奏するターナーの姿が映し出されます。いやあ、心に染みる名場面でありますな。もともとデクスター・ゴードンという人はバラードに味があるんですが、客席でしみじみと演奏に聴き入るフランシス、家でパパの帰りを待ちわびるベランジェール、パパとママと娘の3人が仲良く写った古いスナップ写真、映写機でターナーの演奏姿を映すシーン…と場面が次々に入れ替わり、過去と現在と未来の感情が複雑に入り混じったかのような、実に憎い演出が施されております。いやあ、ここで泣かずして、どこで泣く?…という感じですよね。思わず目がウルウルして、ウルメイワシ状態になっちゃう自分をどうすることも出来ませんでした。


  「 13 : 消えた 〜Berangere's Nightmare〜


 これまたチャプター名の付け方が絶妙ですね。 「 消えた 〜 ベランジェールの悪夢 」 ですか。どういう展開になるのか、ハラハラ・ドキドキしちゃいますよね。 ま、恐らく、暑くて寝苦しい夜、ベランジェールちゃんが、「ああん、またおうちが燃えちゃったのぉ。」…という悪夢にうなされる話なんじゃないかと思うんですが、いや、家が燃えた夢というのは、実際に家が燃えた経験がある人しか見ないんですかね?僕はよく見ましたけどね。小学校の窓から外を眺めていると、自分のうちが燃えているという夢。「また燃えた。これで2回目や。」…と、なぜか覚めた感情で燃えている家を眺めているんですが、何度同じ夢を見ても、「これで2回目や。」…でしたね。次に見る時は3回目になっていてもよさそうなものなんですが、そういえば最近、火事の夢も見なくなりましたね。ようやくトラウマから開放されたということなのかも知れませんが、 “ベランジェールの悪夢” はそういうのとはぜんぜん関係がなくて、とりあえずはジャズ酒場でラムのコーク割りを飲んでいるシーンから始まります。ラムのコーク割り。いいですよね。ま、僕はとちらかというと、“むらむらスイカ割り”のほうが好きなんですが、思わずムラムラしちゃうようなセクシーなビキニぎゃると一緒にスイカを割ったりすれば、きっと楽しいと思うんですよね。棒を振り下ろすたびに胸元がゆらゆらと揺れたりして、くぅ〜、たまらんっ♪

 …って、あらぬ妄想に耽っている場合ではなくて、今宵も酒場で酔っ払うターナー。客に5ドルをせびっているな。…と思っていたら、いつの間にやら行方不明になってしまって、なるほど、これが 「消えた」 …というわけなんですな。慌てて外に出るフランシス。あ、言うのを忘れていましたが、ジャズ・クラブに出演しているターナーが休憩時間にラムのコーク割を飲んでいて、そこに客としてフランシスも居合わせていたと、そういうことなんだと思うんですけどね。すると急にターナーが消えてしまったので、フランシスとしても、「ビキニぎゃるにムラムラしている場合ぢゃなかった。」…と後悔しているに違いないんですが、いや、ムラムラしてたのはフランシスではなくて、僕のほうなんですけどね。あちこち探し回ったり電話をかけたりしても、彼の行方は杳(よう)として知れず、いや、ヨーコちゃんの店にでも飲みにいったんですかね?…と思ったら問題のターナー君は酔っ払って車のボンネットを意味もなく押していたりして、そのまま突っ伏して深い眠りに入ったりしております。そこをオミズ系のネーチャンに発見されて、…と思ったら、いつの間にか次のチャプターに入っておりますな。

  「 14 : 招待

 いやあ、僕のサブノート、動画の鑑賞にはややスペックが不足しているのか、何だかコマ送りのような状態になってしまって、今ひとつでありますな。ダウンロードした “すけべ動画” はわりとスマートに見れるんですけどね。ま、僕はどちらかというと、スマートなギャルよりも、むっちり系のほうが好きなんですけどね。そういえば先日、 『ムッツリ女の性』 というタイトルの動画があって、 “むっつりすけべ” のキャラなのか?…と思ったら、どうやら “ムッチリ女” の間違いだったようでありまして。ムッチリはしておりましたが、ちっとも “むっつり” ではなくて、オープンにすけべなキャラでしたからね。ま、個人的にはそのほうがよかったんですけど。…って、いや、そんなことはどうでもよくて、パソコンでのDVD鑑賞もちっとも楽ではないな。…ということが判明した次第でありますが、今さらテレビに戻すのも癪なので、今回はこのまま押し切っちゃおうと思うんですけどね。

 で、行方不明になったターナーはどうなったかというとですね、店子(たなこ)になっておりました。いや、何となく語呂がいいというだけの理由で、そんな嘘をついてはいけませんね。行方不明になったターナーはですね、警察官によって病院に強制入院させられようとしておりました。恐らく例のオミズ系の女が通報したんでしょうな。で、そんな彼の姿をようやくのことで発見したフランシスがですね、 「僕の友達で、世界一のミュージシャンだぞ」 …と言って、ターナーを連れ戻そうとします。いや、たとえ友達であろうが、世界一のミュージシャンであろうが、完全にアル中であることが明らかである以上、大人しく病院に入れて治療に専念させたほうが、結局は彼の為にもなるんぢゃないか?…という気がしないでもないんですが、フランシス君は冷静な判断力を失っていなのでありましょう。フランシスもフランシスですが、それであっさりと開放しちゃう警察官のほうもちょっと考えものでありますな。田代まさしの再逮捕に踏み切った日本の警察を見習え!…と言いたくなりますよね。もっともマーシーの場合、世界一のミュージシャンでもなんでもなくて、ただの覗き魔でありますので、かなり立場に違いはあるんですけどね。


 で、何とかターナーを官憲の手から取り戻したフランシスでありますが、さすがにちょっとお冠ですね。「バカなことを。デイル・ターナーの名前が泣くぜ」…などとタクシーの中でお説教しておりますが、当の本人は依然として熟睡中。「吐くのか?」…と、運転手も心配そうです。確かに車の中で吐かれたりでもしたら、それはもう、ゲロゲロですもんね。ま、何とか吐くこともなく、無事に自宅まで送り届けることが出来たんですが、おうちで待っていたバターカップちゃんだって無論、お冠です。この、あまり一緒にスイカ割りをしたくないタイプのギャルはですね、ターナーの奥さんなのか?…と思ったら、フランシスにそう聞かれて、「よしてよ」…と答えているところをみると、どうやらそうではなさそうですね。ターナーのアレ、もしくはコレ…といったところでしょうか。そしてフランシスはですね、ランニング姿でベッドに横たわる彼に向かって、 「明晩8時に食事に来てくれ。」 …などと話しかけております。なるほど、だからチャプター名が 「招待」 なわけでありますな。果たしてこんなアル中を家に呼んだりして大丈夫なのか?…というガッツ一抹の不安がよぎるわけでありますが、フランシスは何としてでもターナーに“真人間”になって貰いたいんですよね。その熱い男の友情には思わず鼻水がこぼれそうになりますが、いや、東ハトのスナック 「暴君ハバネロ」 を食べていたら、辛くって、これがまた。。。

 料理の鍋を持って待ち構えるエースに向かって、「何故だ?」…と問いかけるフランシス。「毎晩創造するってことは−」、いつになく真剣な表情のボビ・ハチ君が答えます。 「それが美しいものでも、死ぬほど苦しい」 。いやあ、名文句ですな。ジャズというのはすべて即興で演奏される音楽なので、毎日が “創造” との闘いなんですよね。それは文章を書くことに関しても同じことが言えるわけでありまして、それが例えどんなにつまらないものでも、死ぬほど苦しいということを、読者の皆さまには分かって頂きたいわけでありまして。でも僕は酒に逃げたりはしません。ま、せいぜい、すけべ動画鑑賞でストレスを発散するくらいのことで。

  「 15 : 3人のディナー

 そして翌日。約束どおりターナーはフランシスの家へとやってまいります。ああ見えて、意外としっかりしているんですな。何も心配することはなかったんですね。デイルとフランシスとベランジェールの3人のディナー。小難しいジャズ談義ばかりで、ベランちゃんにとってはちっとも面白くはないでしょうが、この娘はなかなかよくデケておりますな。駄々をこねたり、ウドン粉をこねたりすることもなく、ただ大人しく話に耳を傾けてますもんね。ま、この日のメインディッシュが讃岐うどんというわけではないので、敢えてウドン粉をこねる必然性はないんですけどね。で、しばらくは穏やかな食事風景が続くんですが、フランシス君がターナーのワインに水を加えたという “水増し疑惑” が発覚し、食卓には不穏なムードが漂います。ターナーによかれと思ってしたことなんでしょうが、アル中の怒りが爆発しますかね?…と、ハラハラ・ドキドキしながら事の顛末を窺っていると、いや、さすがにターナーも大人でありますな。ベランちゃんの前ではあまり無茶も出来ないということでありましょうか。あ、そうそう。ターナーの発言もベランちゃんの言葉も、僕の目にはまったく同じ日本語の字幕なんですが、ベランちゃんはフランス娘だから、ターナーの話す英語は理解出来ないんですかね?きっと、そういうことなんだろうな。…と思わせるやりとりがあったんですが、そしてまた、しばらくはジャズ談義が続きます。

 「好きなテナー奏者は?」 …という質問に対するターナーの答えは、「レスター・ヤング、コールマン・ホーキンズ、ベン・ウェエブスター」…と、極めてまともなものでありました。ドビュッシーもよく聞いたそうです。個人的にはドビュッシーよりも田代のマーシーのほうが好きなんですが、この部分はデイル・ターナーとしてではなく、デクスター・ゴードンの発言として見ると、なかなか興味深いものがありますね。で、ここでディナーのシーンは終わって、ターナーとフランシスが宮殿のようなところを散歩しております。この映画を紹介する時によく引用されるシーンですよね。ま、別にどうってことのない場面なんですけど。ま、パリジャンらしくって、いいじゃん。…という気はするんですけどね。


  「 16 : Body and soul

 「俺のレディ、今夜も頼むよ」…と、楽器に向かって話しかけるターナー。ついにアルコールが頭に上ったか?…って、いや、器楽奏者にとって自分の楽器というのは恐らく恋人のような存在なんでしょうな。僕にとって “ダッチのさちこ” が恋人であるのと同じように。いや、 伊集院健 にもかなりソソられるものを感じるんですけどね。豪にして優!静にして動!…って、キャッチフレーズも何だかよくわかんないしー。男性向きには柔道着が付属しないところがちょっと残念ではあるんですけどね。あ、青少年に非常によくない影響を与える恐れがありますので、18歳未満の人はクリックしないでくださいね。…と、いまさら言っても既に手遅れのような気もするんですけど。で、このチャプターはアレですね。演奏シーンであります。この映画における演奏シーンというのは、 「ドラえもん」 における “しずかちゃんの入浴シーン” と同じくらい楽しみなんですが、一度アレ、実写版でやってくれませんかね? 無論、デクスターの演奏シーンは実写となっているわけですが、演じます曲はおなじみ、 「身も心も」 でありますな。映像がコマ送り状態になっちゃう僕のパソコンでは音も途切れ途切れで、とっても今ひとつなんですが、演奏の出来自体も、ま、そこそこといったところですかね?いくら本物を使っても、やはり全盛期には及ばないものがあるのも事実。ま、そこがまた、この映画の枯れた味わいでもあるんですけどね。自分のソロを終えたターナーがピアノの上に置かれた酒のグラスに手を伸ばそうとして、さっとハービーに横取りされちゃうところが、何ともいけずでいい感じです。みんな、ターナーのアル中脱却を願っているんですよね。いや、ハービーはただ自分で酒を飲みたかっただけなのかも知れませんけど。そういうヤツなんですよね、ハービーって。。


  「 17 : 彼は僕の霊感だ

 このチャプター名はよくありません。 「彼は僕の霊感だ」 …って、日常生活においてこういう会話を交わすことって、まず考えられませんもんね。普通に考えれば、 「彼は僕の霊感や」 とか。いや、語尾が微妙に関西系になってるだけのような気もするんですが、いずれにせよ、 「俺らの空は鉄板だ」 という歌に名前が似ているところもあって、いけません。いけませんが、あまり関係のない話なので内容のほうに目を転じてみると、えーと、このチャプターはですね、前との区切りが何とも中途半端なんですよね。バックではまだ演奏が続いているんですが、ターナーはいつの間にやら客席に着席していて、で、テーブルの上に置いたあったお金をがめて、一人で他の酒場にシケこんじゃいます。と思ったら次の瞬間には病院の待合室らしいところでフランシスが頭を抱えておりまして、あ、こりゃ、ターナー君はお酒を飲みすぎてぶっ倒れて、結局は病院に強制入院ということになってみたいですね。ま、遅かれ、早かれ、インドカレー、こうなる運命にあったわけなんですけどね。いや、インドカレーはぜんぜん関係ありませんけど。

 あ、頭を抱えていたのはフランシスとは別人でありましたか。白人なんてみんな同じに見えちゃうから間違えてしまいましたが、やがてフランシス君本人も病院に現れて、そしてターナーの身柄を自分の家に引き取っていくことになります。「いい加減にしろよ」…と、さしものフランシス君も文句のひとつも言いたくなっちゃいますよね。で、その翌朝、「学校に遅刻しちゃうわ」…と訴える娘のベランジェールに向かって、「家にいてデイルを見ててくれ」…などと無茶なお願いをしたりして、いや、酔狂な親を持つと子供が苦労するんですよね。ちなみにこのシーンにおけるベランちゃんは体操服姿でありますので、洋ロリ好きの人は要チェックでありますな。ま、あまりにもソフトで、決してソソられるようなものではないんですけど。それよりもむしろ、フランシスが手にしている巨大なフランスパンに着目すべきかも知れませんね。いやあ、ガイジンさんのモノは、何でもでかいんですなぁ。ちょっぴり劣等感を感じてしまう程でありますが、フランシスはデイルを引き取って3人で住もうとか言い出して、おまけに、そのために引っ越そうとか言い出して、いや、人のいいのにも程がありますよね。その為に元の奥さんに会って借金の申し込みまでするわけでありますが、その際の決め台詞が、「彼は僕の霊感だ」。英語の字幕では、 “Nobody inspires me like him!” となっております。ためしに翻訳サイトにかけてみたら、 「誰も彼のように私を励起しません!」 と出ましたが、なるほど、これならまだ “霊感発言” のほうがマシかも知れませんね。が、フランシスの必死の説得も空しく、元妻の返事は 「ノー」 でありまして、ま、それも当然なような気はするんですけどね。


  「 18 : “さよなら”

 さよなら、さよなら、さよなら〜ああ〜、もうすぐそこは白い冬♪…って、子供の頃、けっこう好きでしたね、オフコースの 「さよなら」 。その後は 「Yes-No」 とか、 「YES-YES-YES」 とかあって、イエスなのかノーなのか、はっきりしろ!…とか思ってしまいましたが、とりあえず3人はひとつ屋根の下に暮らすことになったんですな。で、ターナーとベランジェールが2人でお留守番をしていると、フランシスの元妻がやってきて、30万フランの小切手を渡して去っていきます。おお、なんのかんの言っても “霊感発言” は効果があったようですな。で、いきなり30万フランの小切手を見せられても、それが日本円にするといったいどれくらいなのか、まるで検討がつかないんですが、何せ時代はもう、 “ユーロ” ですからね。ちょっと調べてみたところ、ユーロ導入前の1フランスフランは約20円といった感じのようなので、30万倍して、約600万。いや、けっこうな金額でありますな。 “うまい棒” なら60万本は買えますもんね。…って、お金の価値を “うまい棒” に換算するのは、一桁ゼロが少なくなるだけなのであまり意味がないような気もするんですが、とにかくまあ、30万フラン。もしここで僕だったら、「ママからは30万フランの小切手なんか、ぜんぜん受け取らなかったのぉ。」…とか言って、ポッケにナイナイしちゃうところですが、そこはさすがデケた娘でありますな。ちゃんとパパに正直に告白する所存であるようで、これでもう、将来、 「正直屋仏壇店」 の店員になれることは間違いないでしょう。いや、フランス人の娘がそんなものになりたがるとは到底思えないんですが、ま、 “仏国” と “仏壇” ということで、若干のつながりがないわけでもないんですけどね。

 そして3人は新しい生活に向けて旅立ちます。 「“さよなら”も言わずに出てくの?」 …というバターカップの台詞がチャプター名の由来なんでしょうが、そういえばバターって、そんなキャラもいましたなぁ。

  「 19 : 徐々に育っていくものだ 〜The Peacocks〜


 このチャプターのテーマはですね、 「ターナー、ベイシー&レスター&パーカーを語る」 と言ったところでしょうか。役柄を離れたデクスター・ゴードンの独白として、ジャズ・ファンには非常に興味深いものとなっておりますが、そうでない人にとっては退屈以外の何物でもないでしょう。ま、幸いにもすぐに終わっちゃうので、我慢出来ないほどでもないんですけど。

  「 20 : また消えた

 このチャプター名はよくありません。 「また消えた」 …って、それを見ただけで、また消えたんだな。…ということがバレバレですもんね。で、内容のほうはというとですね、ライブの開演時間が迫っているというのに、デイル・ターナーがなかなか姿を見せません。もしかして、また消えちゃったんですかね?いやあ、まさかまた消えちゃうとは、思ってもみませんでした。意外な展開であると言えるでしょう。呆然として店を出て行くフランシス。考えられるとしたら、また病院に強制入院させられたことぐらいなんですが、いくつかの病院をあたってみても、そこにターナーの姿はありません。この場面、ナースが何人か登場しておりますので、洋ナース好きの人には見逃せないかも知れませんね。もっともあまりにもソフト過ぎて、決してソソられるようなものではないんですけど。…とまあそれはさておき、フランシスは何件目かの病院でようやくターナーと思しきアメリカの黒人男性を探し出すんですが、果たしてそこで彼が見たものは…!?


 ということでこのお話、次回に続きます。

( つづく♪ )


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