『 ROUND MIDNIGHT (その1) 』



round midnight

僕がジャズを聴き始めた頃、話題になっていたものが2つありました。そのひとつは、マ、マ、マン○…って、口に出すのも恥ずかしいので思わず伏字にしちゃいましたが、“マンハッタン・ジャズ・クインテット”なんですけどね。 きゃっ、言っちゃったぁ♪ 僕が始めて買ったガイジン系ジャズのCDが“新・MJQ”だったというのは、僕の人生において拭い去ることの出来ない汚点であるわけですが、でもまあ、仕方がないよね。僕もまだ素人だったわけだしー。それにあの頃の 『スイング・ジャーナル』 には、マンハッタン・ジャズ・クインテットは、すげぇー!!…みたいな記事がたくさん載ってましたもんね。つまりまあジャズ・ジャーナリズムの犠牲者みたいなものだったわけでありまして、確かに僕はマンハッタン・ジャズ・クインテットのアルバムを4枚くらい買ったんだけど、悪いか!?…と逆ギレしておいて、話を先に進めましょう。 僕がジャズを聴き始めた頃、話題になっていたものが2つありました。…という話だったんですが、その2つめは何だったのかと言うと、『ラウンド・ミッドナイト』 という映画なんですけどね。あのハービー・ハンコックが音楽監督を担当していて、主演のデクスター・ゴードンを始め、本物のジャズマンが多数出演していて、すげぇ!!…みたいな感じで、ずいぶんと話題に上っておりました。話題性だけでなく、映画の出来自体もかなり評判がよかったみたいです。近い時期にチャーリー・パーカーの自伝映画 『バード』 というのも作られたんですが、こちらのほうはさっぱりでしたな。パーカー役の俳優がどうも今ひとつブタっぽい。…というのが不評の原因だったわけでありますが、それに対して 『ラウンド・ミッドナイト』 でのデクスター・ゴードンの演技は絶賛されておりました。ま、演技力うんぬんというより、ほとんど“素”であったようなんですが、アカデミー賞の主演男優賞にもノミネートされたというのだから、大したものではありませんか。ちなみにこの映画はアカデミー賞のオリジナル作曲賞というのを受賞しておりますが、本物のジャズマンの演奏シーンが堪能出来るという点でも、ジャズ・ファンには見逃すことの出来ない作品であると言えるでしょう。ただ、すけべシーンは皆無と言っていいほど硬派なつくりとなっておりますので、すけべファンの人は見逃しておいたほうがいいかも知れませんね。


 人生(ステージ)へ − ふたりのハートが熱く高鳴り始める。

 パリのジャズクラブ“ブルーノート”。
 そこへニューヨークからテナー・サックスの名手、デイル・ターナーがやってきた。
 大物の来場に沸き返るクラブの外で、雨にうたれながらひとりその音に陶酔する若者がいた。
 貧しいデザイナーのフランシス、彼はこの音楽こそ“神の声”と確信する。
 しかしジャズ界の巨人として君臨してきたデイルも、酒とドラッグに溺れ、破滅へと向かっていた。
 そんな彼を支えるフランシスとその娘ベランジェール。
 彼らは言葉を越えた、深い絆で結ばれていくのだったが……。


 …というのが物語の粗筋です。実はこれ、実話がモチーフになっているんですよね。チワワはモチーフになっておりません。いや、“実話”と“チワワ”って、ちょっぴり似てるぅ?…と思って書いてみたんですが、よく考えたら最後の“”しか合ってませんよね。書いてみるだけ無駄だったような気もするんですが、“チワワ”と“チクワ”はかなり似てますよね。特に片仮名で書いた場合、相似形大賞もいける?…という気もするくらいなんですが、物語のモデルになったのはピアニストのバド・パウエルであると言われております。なるほど、ジャズ界の巨人と呼ぶに相応しいキャラですよね。自分で 『ジャズ・ジャイアント』 というタイトルのアルバムを作ったりしてますもんね。傲慢と言えば傲慢なんですが、それだけの自負心があったんでしょう。クレンザー「ジフ」で鍋を磨くのは得意やで。…みたいな強烈な自負が。いや、個人的にはホーミングタフのほうが好きなんですけど。で、この映画ではパウエル君のエピソードのほかに、若干のレスター・ヤングも加味されているようです。こちらのほうもジャズ界の巨人と呼ぶにふさわしいテナーの大御所でありまして、「黒の透け透けレースたぁ、ヤングだねぇ。」「いや〜ん♪」…というジャズ人名俳句でも広く知られております。いや、今ぼくが即興で詠んだものなので、まだそれほど世間には広く知られてない一句かも知れませんが、今後、人口に膾炙することもないでしょうな、この出来では。で、この映画では主人公がテナー吹きということになっておりますが、ピアニストが主人公では今ひとつ地味や。…という意向により、そのような設定になったと言われております。とまあそんなことで、ではチャプターに従って映画を鑑賞していくことに致しましょう。

  「 1 : クレジット 〜'Round midnight〜


 えーと、まずは 「クレジット」 ですね。タイトル・バックに流れるのは、哀しげなミュート・トランペットによる “'Round midnight” でございます。あ、でもこのミュート、何だかちょっと変じゃない?…ということに気付いたあなたは河童です。いや、違いますね。そのことに気付いたあなたは立派です。この主旋律を奏でているのはトランペッターではなく、地声で器楽的な音を出すことの出来るヒゲ面のおっさん@ボビー・マクファーリンなんすよね。ちなみに僕は彼の 『チュニジアの夜』 というアルバムを持っておりますが、何だかイラクの刑務所で虐待でもされそうなルックスが印象的な人であります。で、このオープニング・クレジットは黒いバックに水色の文字で淡々と出演者の名前が出て来るだけなんですが、バックの音楽が洒落ているから、それだけで何だかとってもムーディな気分になりますよね。主演のデクスター・ゴードンはじめ、ハービー・ハンコック、ボビー・ハッチャーソン、フレディ・ハバード、ロン・カーター、ビリー・ヒギンズ、ウエイン・ショーター、シダー・ウォルトン…と、おなじみのジャズマンの名前が次々に出て来るのも嬉しい限りです。何かこう、人気女優総出演の“すけべDVDダイジェスト盤”を見ているような感じぃ? ちなみに僕のいちばんのお気に入りは今は亡き桃井望であるわけなんですが、そんなことはどうでもよくて、えーと、クレジットはそれくらいですね。

  「 2 : パリなら通じる


 で、いきなり登場するこのモノクロームの後ろ姿は、まがう事なきデクスター・ゴードンでありますな。役柄としてはデイル・ターナーということになるんですが、実際のところ、自分の目で確かめてみるまでは半信半疑だったんですよね。本物のジャズマンが出演しているといって、実はダミーのそっくりさんなんじゃねーの?…みたいな。例えば本物のデクスター・ゴードンではなくて、日系3世のB級役者、デクスター・後藤だったりして。…という僕の疑念は完全に払拭されました。やっぱり本物だったんだぁ♪…と、嬉しくなってしまいますね。で、このゴードン君ってば、声がとっても渋いんですよね。いかにもこう、酒と麻薬と男と女で、身も心もぼろぼろやぁ。…といった感じの嗄れ声に、人生の卑猥が感じられます。あ、違いますね。人生の悲哀が感じられます。もう十分に枯れ切っていて、あまり卑猥なものが感じられないところがいいですなぁ。口偏に夏と書いて、嗄(しわが)れる。いい言葉ですよね。個人的には“しばかれる”というのも嫌いではないんですが、このチャプターのテーマはアレです。“パリなら通じる”。ニューヨークではもう自分のスタイルが通じないことを悟ったターナーがパリに行く決意をするくだりであります。


  「 3 : 1959年パリ


 なんだかチャプター単位だと、どんどん話が進んでいく感がありますが、このDVDには全部で41のチャプターがあるので、10個単位の全4回シリーズでお届けしようと思っております。で、つい先ほどパリに行く決意をしたターナーでありますが、次の瞬間にはパリに到着しております。早いですねー。コンコルドにでも乗ったんですかね?速いですからね、コンコルドは。少なくともアーノルド坊やよりは速いと思います。アーノルド坊やは人気者ではありましたが、さほど速いキャラではなかったですからね。いや、あまり意味はよくは分かりませんけど。で、このチャプターはフランス人のフランシスが初めてターナーの演奏を耳にした時の感動を回想するシーンから始まります。ワカメや昆布はカラダによくってのぉ。…って、いや、その海藻ではなくって。しかもこれ、本当にフランシスの回想なのかどうかもよく分からなかったりするんですが、とにかくまあ、デイル・ターナーはパリに来ております。いいですよねぇ、パリ。明るい暮らしのお手伝い、パリでファミリーショッピング♪…って、それはパリではなくて、桑名駅前にあった“パル”の歌なんですけどね。おまけに1番、2番、3番の歌詞が微妙に混ざっている可能性もあるしー。とまあそれはそうと、ここでエースというキャラを演じているのって、もしかしてボビー・ハッチャーソンですかね?いやあ、 『トータル・エクリプス』 のジャケットに比べると、ずいぶんと頭がさっぱりしていい感じになりましたな。でもって、デクスターの背の高さが際立ってますよね。伊達に“ロングトール・デクスター”と呼ばれたわけではないですね。歳は食っても伊達男…といった感じで、ロングトールは“酒井くにお・とおる”とはワケが違います。で、ここでもうひとつ気になるのは、もの凄く不細工な顔をした黒人のオバサンなんですが、彼女はターナーのアレなんですかね?あるいはこっちのほうなんでしょうか。いずれにせよ、この不細工なオバサンはどうやら“バター”という名前らしく、好きなアンパンマンのキャラはバタ子さんで、飼っているペットの種類はバター犬。…というところまでは、何となく想像が付きますよね。悪くないですからね、バタ子さん。少なくとも僕は、ドキンちゃんよりは人間のギャルとしての魅力を感じてしまいます。


  「 4 : As Time Goes By.


 さて、ここでいよいよ演奏シーンとなります。ターナーの寝ている部屋のドアを開け、ガバっと襲いかかろうとしているのは、いや、今夜の演奏に誘おうとしているのは、ご存じハービー・ハンコックと、その他1名でございます。えーと、誰でしたっけね、これ? どこかで見たことがあるような気がするんですけど。…としばらく悩んでいたんですが、やがてその謎が解けました。ボビ・ハチぢゃん。いや、さっき見たばかりなのに、すっかり忘れておりましたなぁ。ちなみにデクスター・ゴードンとハービーとハッチャーソンでは活躍した時期とスタイルが違うから、実際に一緒にセッションするような機会は無かったものと思われます。…というのは大きな間違いでありまして、ハービーの初リーダー作の 『テイキン・オフ』にデックスが、デックスの初リーダー作の 『ゲッティン・アラウンド』にデックスが参加していることは、皆さん周知の通りであります。 だからこの演奏シーンはさほど違和感なく楽しむことが出来ますね。ちなみに演目はおなじみのスタンダード、 『時の過ぎゆくままに』 となっております。時の過ぎゆくままに〜この身をまかせ〜、男と女は漂いながら〜、堕ちてゆくのも〜幸せだよと〜、2人冷たいカラダ合わせる〜♪…って、ジュリーのその歌ではありませんね。椅子に腰掛け、いつものような超・後乗りで朗々とテナーを吹くターナー。絶品です。実際問題、すけべな下心を秘めてギャルを連れてジャズ・クラブに来ている人達にとって、このようなムーディなバラードほどロマンチックなムードになれるものはありませんからね。ここでなまじミュージシャンが張り切ってギンギンのアバンギャルドでもやり始めた日にゃ、目も当てられません。お洒落な夜には“ミシャ・メン&豊住”ではなく、デクスター・ゴードン。無難な選択だと思います。演奏のバックで聞かれるグラスの触れる音や話し声なんかも、何だか実にいいムードですなぁ。ひとたび彼の演奏が始まれば、気分はニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガード。…って、いやここはパリの“ブルーノート”という設定になっているんですけどね。ちなみにこの演奏シーンではハービーがピアノを弾いてるところは頻繁に登場しますが、ボビ・ハチくんの活躍の場は皆無で、そこのところがちょっぴり残念でありました。


  「 5 : 外で 〜Society Red.〜


 ファースト・ステージが終わって、客席でくつろぐターナー。が、強度のアル中である彼に酒を注いでくれるものはなく、「おれは透明人間らしい。」とぼやくターナー。透明人間、あらわるあらわる〜、透明人間、あらわるあらわる〜、嘘を言っては困ります、あらわれないのが透明人間でっす〜♪…って、さすがにそんな歌を歌ったりはしませんけどね。歌ってもしない歌の歌詞を書いて行数を稼ぐいつもの手段でありますが、ぼやくターナーに対してハービーが、「もうワン・ステージある。」…と諌めたりしております。さすが学会員だけあって、こういう規律にはうるさいんですなぁ。ま、そう言いつつ自分は酒をガバガバ飲んでいるんだからいい気なものですが、自分はアル中ではないから、大丈夫。…ということなんでしょうか。で、そうこうするうちにバター嬢が登場します。「拍手で迎えよう、バターだ。」…と、ターナーは至って上機嫌。で、ここで再び演奏シーンになるわけですが、今度の演目は 「ソサエティ・レッド」 って、これまた随分とマニアックなものを持ち出してきましたな。デックスのオリジナルなんですが、映画の監督だか誰かがどうしても彼に吹かせたかったとっておきの“この1曲”である。…といった話を何かで読んだような気がします。ま、確かにスインギーでそこはかとなくファンキーな香りもある、なかなかの名曲だと思うんですけどね。ちなみにオリジナル演奏が聞けるのは 『ドゥーイン・オールライト』 というアルバムでしたか。無論、全盛期のプレイと比べると指も縺れがちで傾聴に値するようなものではないんですが、その頃、外では突然のにわか雨。そんな中、お金がなくてクラブの中に入れない一人の青年が、ドアのところで熱心に彼の演奏に耳を傾けております。大物の来場に沸き返るクラブの外で、雨にうたれながらひとりその音に陶酔する若者がいた。貧しいデザイナーのフランシス、彼はこの音楽こそ“神の声”と確信する。…という、例のくだりでありますな。指で小刻みにリズムを取ったりして、なかなかのスイングぶりでございます。で、画面は再び店内の演奏シーンに戻るんですが、バックでニコニコしながらタイコを叩いているのはビリー・ヒギンズのおっちゃん。で、ギターを弾いている白人紳士に関しては寡聞にして僕は存じ上げておりません。

  「 6 : “昔のようだった”


 ステージを終え、店の前でタクシーに乗り込むターナー。土砂降りの雨はいつの間にか止んでおります。その姿を見届けて、貧しいデザイナーのフランシスは自分のマンションへと帰ります。待ち受けていたのは娘のベランジェール。いや、けっこう可愛いですな。僕は洋ロリ系にはあまり興味がないんですが、それでもちょっぴり、いいナ♪…とか思ってしまいました。少なくともバター嬢の数倍は清楚で可憐な感じですよね。いや、写真に撮る気もしないのでなかなか皆様にお披露目する機会がないんですが、かなりきちゃってますからねぇ、バター嬢は。ちなみにこのフランシス青年は妻と別れて娘と2人ぐらしという設定のようでありますな。今のハヤリの言葉で言うと、“バツイチ”ってやつですかね?…って、今となってはそんな言葉、ちっとも流行ってはいませんけどね。ただ、社会に一般名詞として定着した感はありますよね。少なくとも“E電”よりは遥かにマシかも知れません。で、そしてフランシスは幼い娘にターナーの演奏の凄さを語って聞かせます。「彼は神のように吹いたよ。」…って、そんなこと小学2年生くらいの女の子に言っても仕方がないような気もするんですが、それだけ彼は感動したということなのでありましょう。で、一方のデイル・ターナーはというと、自分のアパートでエースの作った料理の味見なんぞをしております。エースを演じるボビー・ハッチャーソンってば、ちっともヴァイブを演奏しないで、いつもパジャマを着て料理ばかり作っているんですよね。いや、なかなかいい味出してるキャラだと思います。そしてバター嬢に新しいリードをねだるターナー。「いい子にしてたら買ってあげるわ。」…と答えるバター。「演奏もよかった。昔のようだった。」…と微笑むターナー。いや、なかなかの名シーンだと思います。


  「 7 : ビールをおごってくれるか? 〜Now's the Time.〜


 いや、チャプターの副題の付け方がなかなか絶妙やな。…と思ってしまいましたが、続く、“ビールをおごってくれるか?” というタイトルを見て、僕はピンと来ました。ははーん、さてはあのシーンやな?…みたいな。僕は今ここで、この映画を初めて見るような顔をしてこの原稿を書いているわけなんですが、実は前にも一度、見たことはあるんですよね。10年ほど前に自前でビデオを買って見たんですが、いや、僕だってたまには“すけべ物”以外のビデオを買って鑑賞することがあるわけでして。で、そのビデオはどうしちゃったのかと言うと、某・ロリ声人妻まんが家にあげちゃいました。で、この度、この原稿のネタ用に思って新たにDVDを買った次第なんですが、連載が終わり次第、ソフトをあげちゃってもいいな。…と思っておりますので、もし希望するギャルがおられましたら遠慮なくお申し付け下さいね。で、このチャプターがどういうシーンであるかというとですね、ターナーとフランシスが正式にご対面を果たすのではなかったかと。確か、クラブの外で待ち伏せしていたフランシスが、「あんたの演奏に感動したんや。」…と声をかけて、それにターナーが、「ビールをおごってくれるか?」…と応え、そして2人はどこかの酒場で酒を飲み倒して、へべれけになっちゃう。…みたいな。…と、当時の記憶を辿りつつ画面に注目していると、ま、えーと、いきなりクラブでの演奏シーンから始まりましたな。今度はちゃんとボビ・ハチもヴァイブを叩いておりまして、でもって、演じているのはチャーリー・パーカーの 「ナウズ・ザ・タイム」 でありますか。で、フランシスってば、相変わらずドアの外でタダ聴きをしておりますな。で、その後の展開はだいたい僕の想像どおり…というか、記憶のとおりでありました。違っていることと言えば、フランシスが声をかける前に、ターナーのほうから「ビールをおごってくれるか?」…と切り出したことでありまして、いやこの人、根っからのアル中なんですなぁ。で、これが縁となって、フランシスはターナーの友達として、晴れて“ブルーノート”の中に入ることが出来るようになるわけなんですが、あ、そう言えば“へべれけになる”というシーンはどこにもありませんでしたな。とまあそんなことで、このチャプターはおしまいです。

  「 8 : Una Noche con Francis.


 続いて、ここでまた演奏シーンが繰り広げられます。さすがは現役ジャズマンが多数出演しているだけのことはあって、何かというとすぐ演奏に走っちゃうんですよね。いや、いい傾向だと思いますけど。ちなみにここではデックス&ショーターという、夢のような2テナーを堪能することが出来ます。サイドにはハービーとハッチャーソンが控えているしー。で、曲自体はどこかで聴いたことのあるものなんですが、どうしてもタイトルが思い出せません。何だかとっても調子のいい曲で、僕の好きなタイプなんですけどね。あるいはチャプターにある 「Una Noche con Francis」 というのがタイトルなのかも知れませんが、フランシスがウナ・ノーチェでどうのこうのって、やはり曲名とは関係ないですよね?フランシスは鰻の脳チェが好きだ。…とか、多分そんな意味なんだと思います。で、ここでの注目点は、とあるギャルの大股開きでありましょうか。いや、と言ってもパンツが見えるほどではないんですけどね。


  「 9 : 彼と同じものを


 これまた意味深なタイトルのついたチャプターでありますな。 「彼と同じものを」 。僕もよく使う手であります。だって、いちいち自分で注文を考えるのって面倒くさいしー。で、ここの内容としてはですね、演奏が終わって酒を所望するターナーに対して、オーナーのベンちゃんは相変わらずのつれない態度。それは何故かというと、陰でバターちゃんがそのように頼んでいるからなんですけどね。アル中の彼を気遣ってのことであるんでしょうが、顔が顔だけに、何だかちょっぴりムカついちゃうんだよね。…と、ターナー君もちょっぴりおかんむり。アイ・アイ・アイ・ライク演歌、アイ・アイ・アイ・ライク演歌〜♪…って、それは冠二郎。関係ないですね。…と、そういうしているうちに一人の客がですね、急性アルコール中毒でも起こしたのか、ばったりと倒れてしまいます。そこですかさずターナー君は一言、「頼む、彼と同じものをくれ。」…って、なるほどねぇ。そういうことでありますかぁ。あ、このショット、ちょっぴりバター嬢も写っておりますね。


  「 10 : Still Time 〜ビーバップと軍隊〜


 このチャプターはちょっぴり息抜き的な感がありますな。色んな回想シーンが走馬灯のように現れては消えていくような。バックに流れるソプラノの音色が切なくて、何だか涙がこぼれてきちゃいそうです。娘の手を引いて歩くフランシスの姿がぐっと胸に迫ります。何かこう、パリの哀愁って感じぃ? で、後半はターナーが軍隊時代を回想するシーンとなっておりまして、いや、これは“息抜き”と呼ぶにはあまりにも重い意味を持っておりますな。これは恐らく、デクスター自身に起こった本当のことを話しているのではなかろうかと。これがもし演技だとしたら相当なものでありますが、そんな器用な真似が出来る男ではありませんからね。

「おれは思うんだが、ビーバップは軍隊を逃げ出した人間が、創ったものだ。」


 ということでこのお話は次回に続きます。

( つづく♪ )


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