『 JAZZ625 BILL EVANS TRIO 1&2 (その2) 』



 いやあ、いよいよ“エヴェンス・DVD”の後半のレビューが書けるかと思うと、何だかワクワクしちゃいますね。同時に、これが最終回かと思うとちょっぴり寂しい気分になっちゃいますが、私は泣かない、だってあなたの〜、あなたの思い出だけは、消えたりしない〜♪…と、松山千春「旅立ち」を歌いつつ、今日も朝立ち、元気だねっ♪…ということで、いや、まったく気が進まないDVDレビューではありますが、いつまでも放置しておくわけにもいかないので、さっさと片付けちゃいましょう。で、それはそうと、今日は 「文化の日」 ですよね。文化と言えば、ウチの近所には “文化亭” という名前の洋食屋さんがあります。洋食屋さんと言っても養殖ウナギとかそういったものを食わせてくれるわけではなく、カニクリームコロッケとかそういったものを扱っているわけなんですが、ウチの近所に置いておくのが勿体ないような、ちょっと小洒落た感じの店でありまして。僕が数年前に行った時にはチェット・ベイカーなんかが流れておりました。ま、おそらく有線なんでしょうが、僕が昔から通っている床屋でも有線が流れております。こちらはJ・POP系のチャンネルなんですが、いや、店のおばさんが、「ゆうちゃん(←編集部注:僕のこと。)は若いから、ポップスやよね。」…と勝手に判断して勝手に流しているんですが、わしはジャズ好きやちゅうに。ポップスなんか聴かへんちゅうに。…と、いちいち申告するのも面倒なので、黙って聴いてますけどね。で、帰りには子供時代から通っているよしみで森永のチョコボールをくれました。先日もらったチョコボールは、“銀のエンゼル”が出ました。ちょっぴり嬉しかったです。

 で、何の話でしたっけ? 養殖ウナギカニクリームコロッケの話でしたね。先週と先々週、ウチの会社では “ISOの内部監査” という催しがあったんですが、津の人間が岐阜に来て書類の出来具合なんかを監査して、岐阜の人間が津に行って、書類の出来具合を監査する…みたいな。で、津の人間が岐阜に来た際、みんなでお昼を食べにいったんですが、それが“カニの店”でありました。こういう場合、その代金は会社の経費で落ちるに違いないので、ちょっと高いのが食えるぅ?…と期待していたんですが、岐阜営業所の所長代理はケチでした。その店でいちばん安い“カニ天重(並)”しか食わせてくれませんでした。いや、自分で金を払うわけでもないのに、根っから根性がセコイんですよね、ナガナワ所長代理(仮名)って。そんなことだから、陰で“ヘビナワさん”と言われるんだぁ。…と思わずにはいられませんが、せめて “カニ天重(上)” を食わせろって!…という気がしてなりません。で、一方、岐阜の人間である僕は先日、津の営業所へ監査に行ったんですが、お昼には鰻屋さんへ連れて行って貰いました。そこで “鰻丼(特上)” を御馳走になりました。この落差!このギャップ! 世の中、ちょっとしたところでケチると、どこで何を書かれるか分かったもんじゃないよね。…ということをナガナワ所長代理は肝に命じて欲しいですな。…と、肝吸いを食べながら思った次第でありますが、ま、そんなことでエヴァンス・DVDの後半、行ってみましょう。



 えーと、後半(←“TAKE-2”と記載してある)はですね、前半と同様、オープニングの 「テーマ」 で幕を開けます。おそらくBBCのテレビ番組が2回シリーズで放映されたため、このような2部構成になったんでしょうが、DVDでぶっ続けに見ると前半のエンディング・テーマと、後半のオープニング・テーマが続けて出てくることになって、同じ曲を2回も続けて聴きたくねーやい!…と、ちょっぴり反抗的な気分になっちゃいます。しかもよく観察すると、第1部のオープニング・テーマと第2部のオープニング・テーマって、まったく同じ演奏&映像なんじゃないですかね?エヴァンスの髪のオールバック具合も、テーマが終わって登場する司会のおっさんの顔も、第1部のものと瓜二つですもんね。が、司会者のおっさんがしゃべる内容はさすがに前とは違っておりまして、そういえば第1部では一瞬だけカメラが観客のほうに振っておりましたので、そこのところでテープを編集したのでありましょう。ま、別にどうでもいいんですけどね。とにかくまあ、おっさんがしばし、 「ジャズ・トリオの定義について」 というテーマで蘊蓄を傾け、僕としてはそんなものより、チャンバラ・トリオのパンチラ映像でも見てたほうがマシ?…という気もするんですが、よく考えたらそれも、さほどソソられるようなものでもないんですけどね。ここはおとなしく、おじさんのレクチャーに耳を傾けましょう。ま、傾聴に値するような発言内容とも思えないんですが、あ、このメンバー紹介のところの映像も使い回しなんじゃないですかね? 試しに第1部のメンバー紹介と見比べてみると…って、そんなどうでもいいところに拘ってばかりいるから原稿がちっとも前に進まないんですが、どうやらこの司会者のおじさんが出てくるところはナマではなくて、後からテレビ用に映像を合成したような感じですね。いずれにせよ、紹介を受けたエヴァンスが一瞬、ニコッとはにかんだような笑顔を見せたりして、知られざる素顔を垣間見たカイマンワニ。…といった気分が味わえたりして、ちょっぴり得した気分です。

 で、後半の1曲目は 「ハウ・マイ・ハート・シングス」 ですかい。「エルザ」 を作曲した何とかジンダースとかいう人の作品で、リヴァーサイド盤のアルバム・タイトルにもなった曲ですな。いかにもエヴァンス好みのリリカルな曲なんですが、ここでは割と速めのテンポ設定で、スインギーに演奏しております。テーマに続いてチャック・イスラエルのソロになりますが、全体を通じて、ちょっとこの人、フィーチャーされ過ぎぃ。…という気がしないでもありません。ベース・ソロなんてものは、半ば苦行に近いものでおじゃるな。…と、僕の知り合いの公卿も言っておりましたが、いや、どこで公卿なんかと知り合ったのかというと、市の“蹴鞠サークル”で。…って、すぐ分かる嘘でとりあえず行数を稼いでおいて、ま、ベース・ソロでもまだ動いてるだけ、マシ?…という気はするんですけどね。 一心不乱に弦をかきむしているイスラエル君の姿は、ま、暇つぶし程度には楽しむことが出来ます。ベースなんて、輪ゴムでボンボンという音を出せれば、僕でも弾けるんぢゃないか?…などと甘く考えていたんですが、これを見るとベースはベースなりに何かと大変そうではありますな。で、どうせ動いているのなら、エヴァンスの弾き姿をじっくり鑑賞したいところでありますが、まだベース・ソロが続いておりますので、しばらくお待ち下さい。・・・。おまたせしました。おお、ちゃんと動いてますな! やはり、“動くエヴァンス”というのは何度見ても感動的でありまして、動物園のパンダでもコアラでも、とりあえず動いてくれれば満足ですもんね。笹とかユーカリを食ってるところとか、そんな贅沢なことは言わん。せめて右手だけでもちょっと動かして貰えれば。…といった心境なんですが、エヴァンス君は右手はおろか、ちゃんと左手まで動かしてピアノを弾いてくれていて、しかも時折、首まで上下してくださいます。これ以上、何を求めることがありましょうか?

 ということで、続いては2曲目なんですが、映像的にはこれ以降、特に書くべきような点はないものと思われます。基本的にはエヴァンスがピアノを弾いているか、イスラエルがベースを弾いているか、ラリー・バンカーがタイコを叩いているか、司会のおっさんがしゃべっているか、観客が演奏を聴いているかの5パターンですもんね。“ミシャ・メン&豊住”みたいに、いきなりエヴァンスが立ち上がってヘンな踊りを始めたり、バンカーがいきなり紙をくしゃくしゃに丸めたり…といったパフォーマンスは到底期待が持てないので…とか思っていたら、1曲目が終わった時点でエヴァンスがハンカチで鼻をかむシーンが映っておりました。で、鼻をかんだ後、そのハンカチをしっかりと胸のポケットにしまったりして、いやあ、紳士ですなぁ。その真摯な態度は大いに見習わなければならないと思いますが、で、2曲目はお馴染みの 「ナーディス」 ですな。これほどまでエヴァンスの十八番と言える曲ばかりが登場すると聴いてるほうとしてはすっかり安心モードなんですが、いや、これがCDだったりすると、また 「エルザ」に 、「イスラエル」に、 「ナーディス」 かい!…といった気分になっちゃうんでしょうが、そこは動いている強み。ライブでは知ってる曲ばかりを聴いていた保守派の僕としては嬉しいばかりのプログラムとなっております。いいですなぁ、「ナーディス」『エクスプロレイションズ』 収録のヴァージョンと同じようなテンポ設定で、テーマの後、すぐにチャック・イスラエルのソロになります。映像的にはイスラエル君がベースを弾いております。で、続いてエヴァンス君のソロになりますが、いやあ、相変わらず真下を向いてピアノを弾いておりますな。僕は無論、ピアノなどはまったく弾けなくて、もし真似事で弾けたとしても右手の人差し指1本のシングルトーンになっちゃうと思うんですが、よくもまあ、座っている自分のつま先を見るような姿勢でピアノが弾けるものですなぁ。鍵盤をまったく見てませんもんね。いわゆる“ブラインド・タッチ”ってヤツぅ? 僕は無論、パソコンでも“ブラインド・タッチ”はまったく駄目で、出来るとしたら“ボインにタッチ”のマチコ先生ごっこくらいのものなんですが、あ、続いてはラリー・バンカーのソロですな。絶妙のブラシ捌きでありまして、動きが早すぎて、映像を一時停止にしても手元がぼやけてしまうほどです。仕方がないのでシンバルのアップのシーンをデジカメで撮っておいて、で、この曲はおしまい。

 で、おっさんのお喋りパートに続いて、 「フー・キャン・アイ・ターン・トゥ」 の演奏となります。斜め横からエヴァンスを見下ろすようなアングルで始まって、演奏はしばらくピアノとベースのアルコによるデュオのような感じですな。いや、弓弾きしているところは映像では確認出来ないんですが、音を聴いている限り、どうもそういった趣向であるような気がします。あ、とか言ってると、弓で弾いてるシーンがちらっと映りましたね。で、ここでイスラエル君はピチカートに変更して、バンカー君も入ってきて、バラード風の導入部からミディアム・ファストの演奏へと転じてまいります。で、ソロ先発はまたしてもイスラエル君。わかったっちゅうに。…といった感じなんですが、あ、ここでのソロはテーマ・メロディを巧みに取り入れたりして、なかなかイイ感じですね。で、続いてエヴァンスのソロでありますが、どうやらカメラマンは今回、横からの見下ろしアングルで行こう。…という方針に心を決めたようです。が、すぐに飽きちゃったのか、それとも気が変わったのか、前の方から撮るいつもながらのスタイルに戻って、でもこのアングルもちょっぴりマンネリ気味だよね。…とでも思ったのか、いきなりピアノの弦を大映しにしたりしております。いや、一人のカメラマンの気まぐれではなく、何台かのカメラで捉えた映像を切り替えているんだとは思いますけどね。あ、今度は首を小刻みに上下させながら演奏に没頭しているエヴァンスの横顔のアップですな。口は半開き 状態でありまして、このショットはちょっと新しい機軸だったように思われます。

 で、観客のほうにカメラを振っておいて、4曲目は 「サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム」 です。有馬温泉のホテルのスナックで佐野元春の 「サムデイ」 を歌い、一時期 “サムデイ・いなば” と呼ばれた僕はこの曲も結構好きだったりするんですが、割と速いテンポで料理しておりますな。で、映像的な新機軸としては指先と鍵盤の部分のアップでありますか。いや、華麗な動きで思わずカレーが食べたくなってしまいましたが、明日の昼は久しぶりに“ココイチ”ですかね? メニューがたくさんあり過ぎて選ぶのが面倒な僕は、このところ“フライドチキンカレーの400グラム”一辺倒なんですが、いや、季節限定の“はまぐりカレー”はもうちょっとだったしぃ。あ、チーズ・ミックスにすると糸を引いて楽しいですよね。で、健康のことも考えて“ツナサラダ”を頼んだりしていると、いつの間にやら“カニ天重(並)”より高くなったりしちゃいます。で、ピアノ・ソロのあと、ベースのピチカート・ソロがあったり、ピアノとドラムスの4バースがあったりして、この曲はおしまい。あ、演奏が終わった後、おじさんが出て来て曲名を紹介する。…みたいなコーナーがあるんですが、「2曲目は“いつか王子様が”…」 とか言って、実際の収録順とは遊離が生じてきております。何かの都合でこうなっちゃったのか、それともまともに数も数えられないほどアホなおじさんなのか、その辺りの事情はよくワカランのですが、とりあえず次。「ハウ・ディープ・イズ・ジ・オーシャン」 。バラード風の無伴奏ソロで始まって、やがてイン・テンポになってミディアムに転じる…というお決まりのパターンです。演奏的にも映像的にも、3分と書いてあるのにぼーっとしてたら4分30秒くらい経ってしまった“すがきやの即席味噌煮込みうどん”みたいに煮詰まってきた感じがしますね。そろそろ潮時のような気がしてまいりましたが、ということで、いよいよ最後の曲です。 「ワルツ・フォー・デビー」 …って、あまりにもベタな選局でありますが、ライブだけにこれをやらないと聴衆が納得しないんでしょう。長州力だってきっと納得しないと思います。

 …とか何とか言いつつも、いざ演奏が始まってしまうと、どっぷりとエヴァンスの世界が広がっちゃうんですよね。やっぱりイイですなぁ、“わるでび”。ということで、最後に再び…というか、第1集も入れると4回目ということになるんですが、テーマとして扱われている 「ファイブ」 が演奏されて、おしまい。総括すればやはり、エヴァンスが動いている!…という事実だけで、凄い!…ということになるんですかね? いずれにせよ、そういうことです。

( おしまい♪ )


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