『 私をスキーに連れてって (その3) 』



 『ぶつぞう入門♪』と同じくらいソソられるものがないこの企画、さっさと片付けちゃいましょうね。ということで、今日が最終回です。


「 7.発表会決定 〜 24.エンディング 」

 あまりにも適当な副題の付けかたに、なんとしてでも今回でこの映画を片付けるんや!…という著者の強い意志を感じていただけたと思いますが、えーと、前回は和彦の横やりで、矢野クンと優ちゃんの恋の行方に暗雲が立ち込め始めた…と、そういうところまで話が進んでいたと思います。ということで、チャプター7の『発表会決定!!』です。びっくりマークが2つもついているところを見ると、よっぽど重要な発表なんだろうな。…という気がするわけですが、やっぱり夕顔の実を干して薄く削ったりして?…って、それは発表じゃなくて、干瓢ですね。…って、いや、我ながらつまらないボケだと思わずにはいられませんが、場面はスキー場から一転してオフィスです。で、オフィスにいる時の矢野クンというのは実に何だかぱっとしませんね。スキー場では街で見る場合の5割増し…というのはよく言われることでありますが、彼などまさしくその典型です。その点、スキー場でも会社でもマンホールポンプ場でも、すべてのシーンにおいてパーフェクトである僕とは比べ物にならないわけでありますが、ここでいきなり田中邦衛です。いやあ、サドンリー邦衛というのは、ちょっとツライものがありますなぁ。“この先、田中邦衛”という看板でも出しておいてくれれば、それなりの心構えも出来るわけなんですが、いきなりですもんね。で、邦衛クンが何を言い出すのかと思ったら、どうやら矢野クンが提案したらしい“さろっと♪”というブランドのスキーブーツの発表会を2月14日のバレンタインデーに万座で行うという企画が通った。…ということらしいんですが、会社の上層部もよくOKを出しましたなぁ。こんな幼稚園児の履く長靴みたいな真っ黄色のブーツ、僕ならタダでもいりませんけどね。塩サバ2号の着ていた“バルタン星人ウェア”と同じくらい、ゲレンデの恥さらし?…という気もするんですが、いや、いくらなんでもそこまで酷くはありませんけどね。で、「発表会の打ち上げで、久しぶりに2人で滑れるナァ。」と邦衛クンは嬉しそうに言っておりますが、バレンタインに邦衛と2人でスキーって、ほとんど悪夢と言うか、嫌がらせと言うか、拷問と言うか、虐待というか、僕だったら即座に辞表を提出しちゃいますけどね。で、矢野クンもその提案を体よく断ったりしておりますが、実に賢明な措置だったと思います。ちなみに彼の勤務している会社は総合商社のようでありまして、矢野クン自身はスキーとは関係のない部署に配属されているんですが、趣味が講じてスキー関係の仕事にも首を突っ込んでいるという。で、ヨソ者だから…というのが彼が邦衛クンのお誘いを断った表向きの理由なんですが、誰だって嫌だよねぇ、バレンタインに邦衛と2人でスキーなんて。


 ということで、チャプター8の『嘘の番号』です。場面は一転してコジャレた酒場のようなところです。和彦クンがクダを巻いております。矢野クンが女に電話をしようとして、「やっぱりウチでかける。」と言い出して、和彦クンが暴れだすわけでありますが、そういえばスキー場で別れる際、矢野クンが優ちゃんの電話番号を聞き出す…というシーンがあったような、無かったような。いや、ほとんどテキトーに20倍速くらいで早送りしていたのでよくわからんのですが、その電話番号が“”だったというわけなんすかね?「私のウチの番号なのぉ♪」という言葉を真に受けて“110ばん♪”と書かれたメモを片手にダイヤルしたら、警察だった…みたいな。矢野クン、不憫ですなぁ。…というか、かける前に気付けよ!…という気もするんですが、嫌がる矢野クンから手帳を引ったくって電話をかける和彦…って、ほんとにコイツは一度、斎場で焼いちゃったほうがいいんじゃないっすかね?究極のいらんことしぃ。…という感じでありますが、結果はといえば、「おかけになった番号は、現在使われておりません」。優ちゃんが教えてくれたのは嘘の番号だったんかい!…って、いや、この展開は既に見えていたんですけどね。こうなってくると“ネタばれ的”なチャプターというのも、良し悪しといった感じでありますが、和彦クンはカシオの“弾けますトーン”に「会いたい♪」という声を吹き込んで、会いたい、会いたい、会いたい、会いたい♪…と演奏したりしております。そうそう、そういう機能の付いたキーボードって、確かにあったよね!プリセットされた音色以外にマイクから取り込んだ音や声を使って演奏出来るようになっておりまして、あったよね!…どころか、僕も持っておりました。いやあ、ミュージシャン志望でしたからねぇ、高校時代の僕って。

 で、チャプター9の『優との再開』です。優が教えた嘘の番号のおかげで、2人の恋もこれまでか?…と思われたんですが、その次の瞬間に再開出来ちゃうところが映画のいいところですよねぇ。どのように再開するのか、ホイチョイ・プロダクションの腕の見せ所でありますが、とりあえず矢野クンは会社で上司からネチネチと厭味を言われております。続いてスポーツ部の人からもネチネチと厭味を言われるわけでありますが、このスポーツ部のネチネチ男、何というか、まるで絵に書いたかのようなネチネチぶりでありますなぁ。とりあえず和彦ともども、斎場で焼いておいたほうがいいんじゃないか?…という気がするんですが、ちょうどその時、和彦から電話が掛かってきます。なんでもいいけど和彦って、外科医だったんですかい?こんな男に陰毛剃られるくらいなら、盲腸を悪化させて死んじゃったほうがマシだ。…と思わずにはいられませんが、あ、剃ってくれるのは看護婦さんなんですかぁ。じゃ、どんどん剃ってくださいね。何でもいけど、手術中にしょうもない電話をすんな!…と思わざるを得ませんが、どこまでもデタラメな映画なんですよね、こりゃ。で、優ちゃんとの再開でありますが、このシーンは実に劇的でありましたな。何と、矢野クンと優ちゃんは、同じ会社で働いていた!!!!!…って、驚愕のあまり、思わずびっくりマークを5つも濫発してしまいましたが、何という偶然!そして、何という御都合主義!…ホイチョイ・プロダクションの真の実力を嫌というほど見せつけられた思いがしますが、スキー場とはまったく雰囲気の違う優ちゃんを、よく一目でそうと見抜くことが出来ましたなぁ。恋の力は恐ろしいと言わざるを得ませんが、それにしても原田貴和子はブサイクですなぁ。。。いや、場面は一転して夜の酒場になったんですが、和彦を始めとするアホな連中が群れ集って、志賀高原で撮った写真を鑑賞したりしているところなんですけどね。妹の七光りというのはみっともないので、今すぐにでも引退して欲しいところでありますが、そんなことでチャプター10です。『真理子とヒロコの大作戦』って、何だかこう、書き写しているだけで気分が滅入ってきちゃいましたが、 おお、優ちゃんは秘書課勤務でありましたかぁ。うちのようなチンケなマンポン・メンテ会社には秘書などという高尚な制度はないので、秘書課のギャルというのは憧れの的なんですが、真理子ひろぽんが矢野クンと優ちゃんを何とか引っつけようとして、奮闘努力する。…というのがこのチャプターの粗筋でありますな。それはそうと、原田貴和子が“ひろぽん”なんですかね?この名前は純情派の女子高生にのみ許されるものでありますので、だとすれば今すぐにでも返上して頂きたいところでありますが、それに第一、“大作戦”というわりには、やってることはぜんぜん大したことないしぃ。

 ということで、チャプター11の『万座スキー場』です。万座には行ったことがないし、行ってみようと思ったこともないんですが、この映画に出てくるということは、おそらくコクド系なんでしょうな。あのエリアというのはコクドに牛耳られている感がありますからね。で、矢野クンや和彦クンたちは万座に来ているわけでありますが、ここら辺りのいきさつは割ときちんと見ていたにもかかわらず、よくわかりませんでした。で、志賀万座というのは、直線だとわずか2キロなんだそうですね。ま、矢野クンがそう言っているだけだから真偽のほどはサダカではないんですが、そう言えば優ちゃんたちは同じ日に志賀に行くというようなことを言っておりましたな。「真理子とヒロコの大作戦」で、優ちゃんを万座に誘ったにもかかわらず、志賀に行くからと断られた次第でありまして。大作戦、大失敗ぢゃん。…と言わざるを得ませんが、ちょっと気になったので万座というスキー場について調べてみました。おお、確かに場所的には渋峠スキー場から山田峠を隔てて、直線で2キロほどの距離にあるんですね。ま、スキー場としての規模はそれほどでもないので、わざわざ行くまでもねーな。…という感じでありますが、この2つのスキー場の位置関係はこの先、この映画にとって重大な意味を持つことになります。どうやら志賀万座の間には山越えのツアーコースがあるらしいんですよね。ただ、春までは滑走禁止の何コースなんだそうでありまして、それをどうにかしちゃうのが映画のいいところなんですけどね。…って、少し先走ったことを書いてしまいましたが、直線では2キロでも、車だと菅平を回って5時間近くもかかると。で、チャプター12です。『志賀までフラれに』です。何でもいいけど、各チャプターの解説があまりにもテキトー過ぎるんぢゃないか?…と思われるかも知れませんが、実際問題、この程度なんですよね。要するにチャプターを細かく設定し過ぎなんですが、このペースで行けばチャプター24までもそう遠くない話かも知れませんな。さ、頑張りましょう。で、「志賀までフラれに」というサブタイトルでもわかるように、矢野クンは夜中に車で万座から志賀への移動を敢行します。フラれると分かっているのに御苦労な話でありますなぁ。…と呆れるよりほかありませんが、恋のチカラとは恐ろしいものでありまして。ちなみに移動時のBGMはユーミン「ア・ハッピー・ニュー・イヤー」でありまして、大雪の中、クルマは思いきり雪の壁にぶつかってるし、途中でチェーンを巻かなければならないし、とても分別のあるオトナの取る行動とは思えませんね。一方、その頃、優ちゃんは志賀高原年越し蕎麦を食べようとしているところでありまして、「新年まであと10分よ。」という発言がなされたことから判断して、大晦日の23時50分頃の出来事であると思われます。今ひとつ気分の乗らない優ちゃんでありますが、ここで何を思ったのか、このオンナは車に乗ってどこかに出掛けちゃうんですよね。大雪が降っている中、しかも23時52分頃の出来事でありまして、とてもオトナの取る行動とは思えないわけでありますが、いやあ、秘書課のギャルというのは意外にも行動がワヤなんですなぁ。

 …と、その時、前から矢野クンの運転する車がっ!何という偶然!そして、何という御都合主義!夜中の0時に到着、そして所要時間が5時間というところから逆算すると、矢野クンが万座を出発したのは19時頃…ということになるわけですが、いや、もっと遅い時間だったような気もするんですけどねぇ。…などと細かいことを言ってはいけません。恋に理屈は禁物です。愛する人を思う気持ちがあれば、不可能だって可能になっちゃうものなのです。いいぞぉ、矢野ぉ!で、雪の夜道で運命的な出会いを果たした2人でありますが、ここでパーッと周囲に花火の“ナイヤガラの滝”が登場して、ああん、はっぴー・にゅー・いやー♪…って、いや、まるでドラマを見ているような感動的なシーンでありますな。世の中をナメきっているとしか思えません。で、これのどこが「志賀までフラれに」なんや!?…と、心の底から納得がいきません。この落とし前はどうしてくれるんでしょうか?


 で、チャプター13は『東京でデート』ですかぁ。幸せそうで何よりですなぁ。ケッ。で、ここでいきなり田中邦衛です。だから予告看板、出せって!…と思わずにはいられませんが、この邦衛クン、スキーの腕前は確かなようでありまして、自宅(←たぶん)にはたくさんのトロフィーとカップ、それに何とワールドカップのゼッケンまであったりします。マジかよ?邦衛〜。で、チャプター14、『手伝わせて下さい』。勝手に手伝えばいいぢゃん。…と思わずにはいられませんが、何を手伝うのかと思ったら、例の発表会の準備なんですな。で、僕は勝手に「手伝わせて下さい」というのは優ちゃんが矢野クンに対して言う台詞だとばかり思っていたんですが、実際には矢野クンが邦衛に…でありました。ますます、勝手に手伝えばぁ。…という思いが強くなってきましたが、しかし何ですな。ヨソの課の矢野クンが残業してまでスポーツ課の手伝いをするというのは、いくらなんでも僭越ですよね。こんなことがバレたら、いまに例のネチネチ男に意地悪をされるに違いありませんが、チャプター15は『待ちぼうけ』。優ちゃんは雨の中、今日も待ちぼうけで、矢野クンってばもう、手羽先が好きなんだからぁ。…って、ぜんぜん関係ないですよね。ま、その罪滅ぼしの意味もあってか、チャプター16では『バレンタインで志賀へ』という展開になるわけですが、いや、矢野クンが優ちゃんを誘ったわけではなく、例の和彦クンたち@アホの寄り合いの画策なんですけどね。で、優ちゃんからの誘いを矢野クンは快諾するわけでありますが、じゃ、例の発表会はどうするのかというと、所詮はヨソの課の人間だから、別にすっぽかしてもいいわけでありまして。が、邦衛に「手伝え!」と言われて、窮地に陥る矢野クン。さ、仕事を取るか?愛を取るか?オトコにとって永遠のテーマが語られるわけでありますな。いやあ、さすがはホイ・プロの映画だけあって、息をつく暇もないようなスリリングな展開でありますな。

 で、結局、矢野クンは“”のほうを選択するわけなんですが、邦衛クンをそれを快く受け入れて、いや、なかなか人間的にはいい奴なんですよね、青大将も。ということで、チャプター17、『サロット積んでスキー場へ』。いよいよ映画も終盤に突入します。もうちょっとの辛抱です。頑張りましょう。で、矢野クンたちは会社からパクってきたサロットのウェアを積み込んで志賀に出掛けるわけでありますが、相変わらずジャングル大帝レオの書かれた西武バスはさりげなく登場するし、四駆だからって雪道で“ゼロヨンもどき”の急発進はするし、もうコイツら、全面的なアホなんとちゃいますかね?雪道で“”のつく動作がご法度なのは常識中の常識でありまして、急発進急ハンドル急ブレーキはもってのほか。急須でお茶を入れるというのも“”の字がつくから駄目です。運転中にそんなことをすれば、雪道でなくても“お茶こぼれまくり”で、ロクなことはありませんからね。で、2駆がタタって雪道でスタックしちゃった矢野クンと優ちゃんのコンビは、アホな4人組から取り残されて夜道で途方に暮れる次第でありますが、アンタもスキーが趣味だったら、四駆のクルマくらい買えって!…と思わざるを得ませんね。さすがにタイヤだけはスタッドレスのようなんですが、ここで場面は一転して万座温泉スキー場です。邦衛クンは発表会の準備に余念がありません。いや、実際にはレースの模様をただ観戦しているだけなんですが、一方、こちらは志賀高原横手山スキー場ですね。ここは下のほうが超タラタラの緩斜面、上のほうはエキスパート向けの超急斜面という極端な構成となっておりまして、ちっともエキスパートではない僕たちは頂上から迂回コースで下山することを余儀なくされたわけでありますが、間違えて渋峠のほうに降りるコースに出てしまって、ほとんど遭難寸前の気分を味わったのでありました。…という思い出しかないので、まったくよい印象は持ち合わせておりません。志賀高原の中でも、カスのようなエリアだ。…と思っているほどなんですが、よりにもよって矢野クンたちはこんなところに来ちゃったんですな。で、チャプター18は『久しぶりのデート』でありますな。ま、天気さえよければ眺めだけは素晴らしいエリアなので、デート・コースとしては悪くない選択かも知れませんね。熊の湯あたりは腐った卵の臭いが充満しておりまして、ウンコを漏らしても気付かれにくい…というメリットもありますしー。ま、天気が荒れ模様になると最悪だし、周囲は腐卵臭だし、僕個人としてはあまりソソられるものがないんですが、今後の物語の展開を考えると、いくらバックにコクドが控えているとは言え、暢気に焼額山で滑っている場合ではないのでしょう。で、幸いにもこの日は好天に恵まれたようでありまして、なかなかいいコンディションでありますな。つまらない林道コースのようなところを滑っておりますが、ま、たまにはこういうのんびりしたスキーもいいかも知れませんね。…と思っていたら、今度はとんでもないコブコブのコースをいとも簡単にひょいひょいと降りて来たりして、なかなか油断のならない奴らではあるんですけどね。


 で、一方、万座では大騒ぎが発生しておりました。チャプター19、『サロットがない!』。今夜の発表会で使う“サロットのウェア”が、東京から送られてきた荷物の中に1枚も無い…って、わちゃー。これはとんでもない大事件でありますな。主催者の信用問題にもかかわる事態でありまして、下手をすると邦衛クンの会社は倒産…ということにもなりかねません。実をいうとこれはスポーツ部のネチネチ男の陰謀でありまして、矢野クンに対する嫌がらせの為に、サロットのウェアをすべて別のブランドと入れ替えちゃったという。そういえば少し前、そのようなシーンがちらっと映されておりました。ああん、だから意地悪をされるって、あれほど忠告してあげたのにぃ。。。それにしてもこのネチネチ男、小学生のいたずらみたいなことをするヤツでありますな。もっとオトナになれよ!…と言いたくなってしまいますが、一方の邦衛クンサイドにも問題はありますよね。発表会の直前になって荷物が届くというのは、いくらなんでも余裕が無さ過ぎます。前日に届くぐらいの手筈にしておいて、レースを観戦している暇があったら、荷物のチェックを済ませておくべきでした。で、邦衛クンが思いついた苦肉の策というのが、矢野クンたちがパクっていったサロットのウェア。それを直ちに志賀高原から万座まで届けろというのだから、言うことが無茶ですなぁ。。。しかも期限は夜の7時までというのだから、これはもう、ワヤです。時計の針は既に夕方の4時半を指しておりまして、5時間もかかってしまう車では、到底間に合いません。となると、残された手段は・・・?

 チャプター20、『ツアーコースで万座へ』。そうです。直線で行けば、わずか2キロの距離であるわけです。春になるまで閉鎖されている超難関コースとは言え、7時までにサロットを届けるには、それしかないわけです。が、肝心の男どもはまだゲレンデで滑っていて連絡が取れず、仕方なしに優ちゃんたちはクルマで行こうとするわけですが、あ、原田貴和子は“ひろぽん”ではなくて、真理子のほうだったんですな。とりあえずは一安心でありますが、ひろぽん役のギャルも決して上品なキャラであるとは言えず、これはこれで問題なんですけどね。で、優ちゃんが自ら行くのかと思ったら、真理子ひろぽんにおまかせで、結局のところ自分では何にもしないんですね。ま、所詮は秘書課ですからねぇ。で、相変わらず命知らずのカーアクションでぶっ飛ばす真理子(26歳)でありますが、矢野クンたちは5時頃になってようやくホテルに引き上げてまいります。で、ロッカールームには優ちゃんからの置き手紙が残されていたわけでありますが、何と彼女は無謀にもツアーコースで万座に向かおうとしていたのでありまして。自分では何にもしない秘書課のギャルだとばかり思っていたら、実はとんでもなく無鉄砲な女だったんですね。すいません。僕の認識は間違っておりました。ここは素直に謝っておきたいと思いますが、それにしても無茶するギャルでありますなぁ。。。

 慌てて追いかける矢野。5時を過ぎてもまだリフトが動いているというのがご都合主義なんですが、今はそんなことを言ってる場合ではありません。優ちゃんの命が懸かっているわけです。矢野クンが係員に泣いて頼んでリフトを動かして貰ったに違いなく、だとすれば大掛かりな“優ちゃん捜索隊”が結成されてもよさそうなものですが、矢野クンはひとりで捜索に向かいます。愛の力ですなぁ。で、ツアーコースの入り口のところまでたどり着いた矢野クン。“滑走禁止”と書いてあるにもかかわらず立入禁止のロープも何もなく、誰でも気軽に滑れそうな感じになっているところがご都合主義なんですが、今はそんなことを言ってる場合ではありません。優ちゃんの命が懸かっているわけです。矢野クンが係員に泣いて頼んでロープを外して貰ったに違いなく、あるいは優ちゃんが勝手にロープをほどいて“禁断のコース”に踏み入れてしまったという可能性もあるわけで、今はただ、先を急ぎましょう。視界ゼロの雲海の中をコケながら滑り続ける優ちゃん。焼額山で大コケして、頭から雪に突っ込んで窒息寸前になるような腕前であるにもかかわらず、よくこんなコースを滑ろうとしますなぁ。もう、ほとんど蛮勇と言ってもいいくらいなんですが、それを必死で追いかける矢野クン。ま、彼のスキー・テクを持ってすれば優ちゃんに追いつくのは時間の問題でありまして、ま、ここでヒロインが遭難しちゃうという展開はこの映画では考えにくいので、とりあえずは安心なんですけどね。一方、ゲレンデを疾走する真理子たちの車。無茶や!…と思わざるを得ませんが、だいたい、これはどこのスキー場を走ってるんですかね?万座に着くにはまだ早すぎるし、かといってまだ志賀高原にいるようじゃ、完全に手遅れだしぃ。

 で、矢野クンは快調にツアーコースを滑り続けます。ユーミン「ブリザード」に乗せ、閉鎖されているとはとても思えない整備の行き届いたツアーコースを滑走しております。が、真理子カーは無茶がたたって雪の壁に激突すると、あえなくひっくり返って完全リタイア。ま、あの運転ぶりではいつかこうなるのは目に見えてましたけどね。自業自得というヤツでしょう。で、いつの間にかチャプターは21の『内足の癖、直せと言ったろ』というのになっておりますが、これは矢野クンが優ちゃんに口癖のようにやかましく言ってたスキーを滑る上でのアドバイスでありますな。これで矢野クンが優ちゃんに追いつくであろうことが確実になったわけですが、この期に及んで、まだそんな忠告をする気なんですかぁ。ここはひとつ、「馬鹿な真似はするな!」と横っ面を張り倒して、横手山に引き返すのが筋だと思うんですが、いや、あれだけ急斜面を滑ってきた後では、いまさら引き返すのも無理な相談ではあるんですけどね。このツアーコースの勾配がどんな感じになっているのはサダカではありませんが、ここまで来たら万座まで突っ切ったほうがいいのかも知れません。で、ついに急斜面でコケて、滑落しちゃう優ちゃん。そしてそこにやってくる矢野クン。で、例の台詞の後、優ちゃんを叱りつける矢野クンはやはり常識人であったか。…と評価することが出来ますが、とりあえず突っ切るしかないという事実は、そのことによって何等かの進展をもたらすというものでもありません。本当にもう、余計なことをしでかしてくれましたなぁ、優ちゃんは。サロットのウェアが届かないくらいのことは、邦衛クンが指を1本詰めれば済むだけの話ですもんね。世間知らずのギャルが巻き起こした無謀な遭難騒ぎ…と言わざるを得ないわけですが、いよいよ周囲も暗くなってまいりました。いよいよ雪の中でビバークか?…と覚悟を決めて、優ちゃんがポケットからバレンタインのチョコを取り出した時、矢野クンのポケットに入れてあった無線機から、仲間の呼びかける声が!無線機あるなら、もっと早く連絡せんかい!…という気もするんですが、優ちゃんのことが心配で、そこまで気が回らなかったのでしょう。で、やがてそこには、バッテリー式の強力ライトを背負った和彦たちの姿が!おおっ、なんという友情でありましょう。追いかけて来ていたのなら、もっと早く無線で連絡してこんかい!…という気もするんですが、矢野クンと優ちゃんのことが心配で、そこまで気が回らなかったのでしょう。

 で、チャプター22、『この靴でなら行ける』でございます。この期に及んで矢野クンは、まだサロットを届けることを諦めていなかったんですかぁ。仕事熱心と言うか、往生際が悪いと言うか。。。だいたい、「この靴でなら行ける」って、そういう問題ではなくて、真冬の夜中にツアーコースを滑るということ自体が自殺行為なんですよね。が、矢野クンの決意はあくまでも固く、一人で万座まで行くと言って聞きません。バッテリー式の強力ライト(背負いタイプ)があるから、ま、何とかなるやろう。…という考えらしいんですが、んなもん、せいぜい10メートルくらい先を照らすのが精一杯なので、立ち木に激突するわ、崖から転げ落ちるわ、道に迷うわ、蚊は寄ってくるわで、ヤメといたほうがいいと思うんですけどねぇ。。。しかもコケた拍子に頼みの綱の強力ライトも壊れてしまって、いよいよ万事窮す。矢野クンもついに山田峠で星になるのか?…と思われた瞬間、上のほうから一条の光が!矢野クンが目をやると、そこには追いかけて来た優ちゃん達の姿が。「何、考えてんだよ!」「こっちの台詞だよ!」「仕方ないだろ!這ってでも行くって、泣き叫ぶんだから。」優のほうに目をやる和彦。この映画のクライマックスと言える名場面でありましょう。で、矢野クンのバッテリー式強力ライトは壊れたわけではなく、ただ線が外れただけであることが判明して、矢野クンってば向こう見ずなんだけど、あまりにもメカに弱すぎぃ。。。


 で、ここまでくればあとはスイスイです。ま、春先の昼間なら1時間弱で滑れちゃう、山スキーとしては初級のコースらしいですからね。で、やがて見えてくる万座のナイター・ゲレンデはちょっぴり感動的ではありますが、チャプター23は『発表会』でありますな。時間ぎりぎりでサロモンのウェアを無事に届けることが出来、車が引っ繰り返ったハズの真理子ひろぽんもちゃっかり万座に到着しておりまして、スポーツ部のネチネチ男も最後はいさぎよく負けを認めます。結局、みんな根はいい奴なんですよね。矢野クン優ちゃん真理子ひろぽんの4人でサロット発表会の舞台にあがり、最後に優ちゃんが「バーン!」と指で矢野クンを打つ真似をして、映画は無事『エンディング』を迎えます。いやあ、なかなかいい映画じゃないっすかぁ。


 ということで、おしまい。

( おしまい♪ )


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