『 トムとジェリー(第1巻)@その2 』



 ニコニコ健全路線『トムとジェリー』 は残念ながらかれい技士のお気には召さなかったようでありますが、やっぱり 『お気に召すまま@ロリ系メイドの召使調教♪』 とかを手に入れるべきですかね?もし、かれい技士が僕の所望するDVDを譲ってくれると言うのなら、このコーナーでレビューするにヤブサカではないんですが、とりえあずは“ニコ健路線”を堅持するとして、ということで、 『トムとジェリー(第1巻)』 の後半にまいりましょう。


「 おかしなあひるの子 」

 あ、これはけっこう有名な作品ですね。別に 『みにくいあひるの子』 のパロディというわけではなくて、原タイトルは “JUST DUCKY” となっております。「単なるアヒル」ですかね?何だか身も蓋もない邦題になってしまいましたが、ちなみに “DUCK” には 「かわいい子」 という意味もあるようで、これだと 「みにくいかわいい子」 ということになって、何がなんだかよくわかりませんな。“みにくい”というのは不細工ということですからね。ちなみに 『みにくいあひるの子』 の原題は “THE UGLY DUCKLING”でありまして、これを翻訳ソフトにかけたところ、 「醜いアヒルの子」 と一発で出ました。“アヒル”が“DUCK”で、“アヒルの子”が“DUCKLING”なんですね。で、アメリカ人は“”も“アヒル”も“DUCK”の一言で済ませちゃうみたいですね。“”というのは野生のトリで、それを飼いならして家畜化したものが“アヒル”なので、この2つは別人格として扱うのが当然だと思うんですが、それがどちらも“DUCK”だなんて、アバウトと言おうか、花鳥風月に対するワビ・サビの心がなってないと言おうか。こんな奴らには到底、風月堂の“ゴーフル”は食わせてやれませんね。3時のおやつに出してやらなくてイイです。で、余った分は僕が食べます。で、こういう風流を解さない人種であるので、おそらく“合鴨”のことも“DUCK”で済ませちゃうと思うんですが、ところで“アヒル”が英語で“DUCK”となると、じゃ、“アヒル”というのはいったい何語なんすかね?“アヒル”と片仮名で書くとなんだかアチラっぽいので、アメリカ人はアヒルを見ると、きっと「オウ!アヒールー!」と感嘆の声を上げるのだろうと思っていたんですが、そうではないみたいですね。アヒルには“家鴨”という立派な漢字表記があるくらいなので、あるいは純然たる“やまとことば”なのかも知れませんが、ま、そんなことはどうでもよくて、とにかく 「 おかしなあひるの子 」 です。

 えー、物語はアヒルのお母さんが産んだ卵から、アヒルの子供が誕生するところから始まります。アヒルのお父さんというのは最後までこの物語には登場することがありませんので、あるいはアヒ子に手を出すだけ出して、で、出来ちゃったら簡単にポイと捨ててしまうという、そういうアヒルの風上にもおけないような奴なのかも知れませんね。ま、ただ単にあまりにも影が薄くて、テレビに映るきっかけが与えられなかったということなのかも知れませんが、とにかくまあ、アヒルの子が何匹か生まれるわけです。で、生まれた子供たちはお母さんアヒルのあとについて、池の上をスイスイと泳いでいくわけでありますが、いちばん最後に卵から孵化した末っ子だけはいけません。みんなと一緒に泳いでいこうとするんですが、どういうわけだか前に進むたびにカラダは水面下に沈んでいってしまい、5メートルくらい進んだところで、溺死寸前。そんな筈はない。…と思って再チャレンジしてみても、結果は同じ。で、この出来の悪い末っ子はお母さんアヒルのアヒ子からも見捨てられ、すっかりイジけてしまうわけなんですが、このイジケ具合がなかなか可愛いんですよね。ちょっと掲示板の書き込みが途絶えるとすぐにイジケちゃうWebマスターみたいなもので、ま、大人げないと言えばそれまでなんですが、何せ相手はまだ子供ですからね。アヒルだしぃ。で、ママのアヒ子に見捨てられて鳴いているアヒ七郎(←たぶんそれくらいの順列)の声を聞きつけてジェリーがやってきて、「僕、泳げないんだよぉ。」とイジケるアヒ七郎に水泳の訓練を施すわけでありますが、その泳ぎ方がクロールであるというのがアメリカンですな。

 が、ジェリーの猛特訓にも関わらず、アヒ七郎の泳ぎはまったく上達せず、ジェリーが部屋に浮き袋を取りに行ってる隙に人生を儚んで付近を徘徊して、焚き火に空き缶をかけてスープを作っている最中のトムの餌食になってしまいます。ああ、油揚げと一緒に煮て?あ、でも、翌日が検便だと、ウンコと一緒に出ちゃうんだよねぇ。…って、それは餌食じゃなくて、ひじき。で、例によってトムVSジェリーアヒ七郎チームの追いかけっこが始まるわけでありますな。で、トムくんは例によって激しく苦戦を強いられるわけでありますが、最終的には珍しく、ジェリーを大きなミルクポット状の容器に閉じ込めることに成功します。さあ、追い詰められたアヒ七郎はどうなる?…と、手に汗を握る瞬間でありますが、池の畔(ほとり)まで逃げてきたところで、ひょいと身をかわして、勢い余ったトムくんはそのまま池に転落してしまいます。で、ここで事態は思わぬ展開を見せるんですが、トムくんは何と、カナヅチだったんですな。今まではそんな素振りを微塵も見せずに、平気で海でも川でも池でも沼でも泳いでいたような気もするんですが、それとこれとは話が別です。今回は“泳げないトムくん”が登場する回だったわけでして、それを見たアヒ七郎くんは大いに焦ります。助けたいのはやまやまなんだけど、僕、泳げないしぃ。。。で、必死に助けを呼ぶアヒ七(編集部注:フルネームで呼ぶのが面倒になってきたので、今回から省略する。)でありますが、誰もやってこなくて、意を決したアヒ七は自ら池に飛び込むとトムのところまで泳いでいって、ようやくミルクポットから脱出したらしいジェリーと協力してトムくんを地上に引っ張り上げて、めでたしめでたし。これがきっかけでアヒ七郎は泳げるようになって、こちらのほうも、めでたしめでたし。いや、戸塚ヨットスクール並みの荒療治でありますが、現代病を直すには、やはりこれくらいの厳しさが必要になるわけでありまして。

 で、ラストシーンは、風邪をひいたトムくんにジェリーがスープを飲ませて介抱している横をアヒルの親子が泳いでいって、そのいちばん後ろをアヒ七郎がクロールで悠然と泳いでいく。…というのがオチであります。日本のテレビ版だとここで、アヒ子の「ホントにこの子はおかしな子だねぇ。」という台詞が入るんですが、原作にはそれがありません。たとえ他の子とは違うクロールで泳いだとしても、この子は“JUST DUCKY(ただの可愛い子)”なのよ。…というところに個性と個人を尊重する“ヤンキースピリッツ”の真髄を見る思いがして、興味深いですね。以上、ジェリーがトムに飲ませているスープのように、心がほのぼのと温かくなるような1作でありました。


「 魔術師ネズミ 」

 日米文化人類学的な深読みまで登場する、実にヒューマンなレビューだったな。…と自負している僕でありますが、あ、今度は“眉毛トム”ですかぁ。何だか一気にテンションが下がっちゃいますね。ああ、洋風民宿みたいなのぉ?…って、それはテンションじゃなくて、ペンション。…って、ほらぁ、テンション下がっているから、この程度のネタしか思いつかないじゃないっすかぁ。で、物語はジェリーの友達だか、親戚筋だか、金で雇ったのだか知りませんが、とにかく“魔術師ネズミ”がやってくると。で、“魔術師ネズミ”ではありますが、“MAGICIAN MOUSE”ではなくて、原題では“HAUNTED MOUSE”となっておりますな。“憑りつかれたネズミ”ですか。“キツネ憑き”というのはよく聞きますが、“ネズミ憑き”というのは初耳ですね。いや、ネズミは憑りつくほうではなくて憑りつかれたほうなので、正確には“ネズミ憑かれ”ですか。いや、それも違いますか。とにかくまあ、ネズミがやってくるわけなんですが、その格好はどうみてもマジシャンなので、日本のテレビ局の人が思わず「魔術師ネズミ」という邦題を付けてしまったのも納得がいきますね。「ネズミ憑かれ…というか、何かそのようなもの」といったタイトルでは、何だかワケがわかりませんもんね。アメリカ人も大人しく“マジシャンねずみ”と名前を付けておいたほうがよかったんじゃないか?…という気もするんですが、韓国版だとやっぱり“コチジャンねずみ”ですかね?で、物語では“魔術師ネズミ”が魔術を使ってトムをやっつけます。…と、簡潔に書けば24文字くらいで終わってしまうような内容なんですが、似たようなのにジェリーのいとこが出てくるヤツがありましたよね。で、このイトコというのが滅法強く、トムくんはこてんぱんにやっつけられる(←死語?)わけでありますが、このイトコというのがジェリーと瓜ふたつで、トムくんはパニックに陥ってしまう。…というストーリーでありました。ジェリーとイトコがトムを驚かす時の台詞、「ア、ポン!ア、ポン!レロレロレロレロレロ!」というのは一世を風靡しましたよね。ま、一世を風靡したと言っても、塩サバ家で3日ほど流行っただけのことなんですが、いずれにせよ、あの深みのあった“イトコもの”に比べると、この“魔術師もの”のほうは、もうひとつですな。特にジェリーと間違えて魔術師ネズミを捕まえたトムが勝ち誇ったように笑うシーン。この時の声と表情が何とも言えず陰険の極みという感じでありまして、“アホだけど憎めないキャラ”だと思われていたトムくんのイメージは台無しです。トムくん好きの幼女(5ちゃい)だったりしたら、「こんなの、トムさんじゃなーい。」と言って泣き出しちゃうに違いありません。お母さんとしては、「このトムさんはね、真美のよく知ってるトムさんじゃないの。眉毛の濃い“眉毛トムさん”っていうトムさんなの。」と言って娘を慰めるしかないわけでありますが…、って、見ている人に、見ず知らずの真美ちゃんのママの立場まで考えさせるような漫画をDVDで販売するのは、ヤメて欲しいですなぁ。…というのが僕の率直な感想なんですが、誰にもひとつくらいは取り柄があるものでして、この作品はバックの音楽だけはなかなかイイ感じですね。何だか、ジャジーなムードの漂う山本ジャジー(←譲二の義理の姉)といった感じでありまして、いや、どうして義姉なんだかよくわかりませんけど。で、エンディングもちょっぴり洒落ております。この魔術師ネズミは黒いシルクハットの中から白いウサギを出すという“基本中の基本の芸”を得意としているんですが、ラストシーンではウサギの変わりに白いカタマリが出て来て、それが“Fin”とか“劇終”(←BGMは中華風)とかの字になって、最後は“The end”。今ひとつ…というか、今ななつくらいは可愛くなかった魔術師ネズミにしては、上出来である。…と評価していいと思います。


「 ナポよいとこ 」

 ナポリはよいとこです。いや、行ったことありませんけど。で、僕のナポリに対するイメージは、そうですねぇ。スパゲティを注文すると問答無用で“ナポリタン”が出てくるところ。名古屋のスパゲティ屋でスパゲティを注文すると、問答無用で“あんかけスパ”だったりすることがあるんですが、ナポリでスパゲティを注文して問答無用で“ナポリタン”を出される確率というのは、名古屋で“あんかけスパ”を出される出される確率の非ではなく、名古屋でトンカツを注文して問答無用で“味噌カツ”を出される確率に匹敵すると言われます。ということは、勝率9割2分3厘くらいですかね?僕の場合、味噌カツはさほど好きではないので、勝率は逆に0割7分7厘ということになるんですが、スパゲティの中では“ナポリタン”がいちばん好きだ。…という質問には、必ず「はい。」と答えるタイプですので、ナポリに行ってもさほど困ることはなさそうですね。ちなみにこのタイプは性格テストでは「あなたは保守的です。」と診断されることになるんですが、トムジェリーの2人も僕と同じ性格だったと見えて、今回、めでたくナポリを訪問することになるわけです。しかし何故、いきなり“ナポリねた”なんすかね?『サザエさん』なんかでも夏休みになると「サザエさんの夏休み@桑名・多度大社・長島スパーランド編」なんてのをやったりしますが(←そんなローカルなのはやらんやろ)、そのシリーズの一環ですかね?で、最初に結論を書いてしまうと、これは名作です。僕は5回続けて見て、4回泣いてしまいました。最後の1回は涙も枯れてしまって、もはや泣くに泣けない状態だったほど感動してしまったわけですが、物語はナポリに到着したトムが、一緒に到着したジェリーを追い掛け回すところから始まります。相変わらずですな。で、トムがジェリーを捕まえて虐めているところに“ナポリタンねずみ”が登場します。“マジシャンねずみ”の次は“ナポリタンねずみ”ですかぁ。で、コイツが強いんです。“強力わかもと”と同じくらい強力です。ということは、ぜんぜん大したことねーな。…という感じなんですが、コイツは心底強いんです。強い上に、任侠です。任侠である上に、月の家円鏡だったりもします。「俺は大きいヤツが小さいヤツを虐めるのは、許せへんのや。」という台詞にナポリタンねずみの任侠ぶりがよく現れておりますが、ここで問題になってくるのはDVD版でナポリタンねずみの声を担当している声優ですね。テレビ版ではわりと普通のトーンで喋っていたんですが、DVD版の声優は、ナポリタンねずみだから、ナポリック調で喋ったほうがいいよね?…と、余計なことを考えちゃったんでしょう。それがそもそも間違いでした。「僕ぅは〜、大きいヤツぅが〜、小さいヤツぅを〜、虐めぇるのは〜、許せなぁ〜いんだぁ〜。」(←イタリア調で)みたいな感じで、一言、うざい!… と言わざるを得ません。この著しくセンスの欠如した声優に猛省を求める次第でありますが、いや、DVDだから音声を“英語”にして、字幕を“日本語”に設定すればいいだけの話なんですけどね。この作品だけ、言語として“イタリア語”も選択出来る…といった芸の細かさはさすがにないとは思いますが、こういうところはDVDは便利ですよね。頭出しも一発だし。

 で、ナポリタンねずみにこてんぱんにやっつけられた(←死語?)トムくんが、今度は地元のゴロツキ犬(←だと思う)に虐められるワケなんですが、それを見たナポリタンねずみは、今度はゴロ犬(←ゴロツキ犬の略称)をやっつけるわけです。「さっきも言ったよぉ〜に〜、僕ぅは〜、大きいヤツぅが〜、小さいヤツぅを〜、虐めぇるのは〜、許せなぁ〜いんだぁ。」…って、だから普通に喋れって!イライラしますなぁ。で、助け出したトムの顔を見て、「君はもしかしてトム?」 うんうんうんうん。頷くトム。(←いかにも、頷いているなぁ。…という感じの効果音。)その横にいたジェリーの顔を見て、「君はジェリー?」 うんうんうんうん。頷くジェリー。(←先ほどより音域の高い“頷き効果音”。) 「トムジェリー、アニメの主人公だぁ!僕、あのアニメ、大好きなんだぁ♪」 つまりまあ、トムジェリーはナポリでも人気者だったということなんですが、そして2人はナポねず(←ナポリタンねずみの略)に案内されてナポリ観光に繰り出すわけです。この漫画ではめずらしい“仲良しストーリー”なんですよね、これ。で、ナントカという海と島が一望出来る眺めのよいところに来て、ナポねずがなかなの美声で歌を歌い始めるんですが、この歌には何か哀しい思い出があるらしく、ナポねずは途中から涙声になっちゃいます。強力わかもと並みに強力でありながら、涙脆い。そこのところがこのキャラをより魅力的なものにしているわけですが、いつの間にやら最初のシーンでナポねずにこてんぱんにやられたゴロ犬が仲間を二匹引き連れて現れ、仕返しをしようとじっと機会を窺っておりまして。それに気付いたトムジェリーは「ゴメン、僕、この歌を歌うと、どうしても泣いちゃうんだぁ。」とセンチになっているナポねずを無視して、一目散に逃げ出します。僕はこのシーンを見て、愕然としちゃいましたね。あれほど世話になっておいて、見捨てるのか?これはもう、人倫に悖るというか、人の道を踏み外した行為だと言わざるを得ません。ネコとネズミだもん。人の道を踏み外して当然ぢゃん。…という意見もあろうかとは思いますが、そういう問題ではありません。同じ哺乳類として、このような義理人情を欠いた行為は許せません。これがもし爬虫類や魚類だったら、「冷血動物なんだもん、仕方ないよね。」と割り切ることも出来るんですけどね。特にトムの場合、前に陰険な笑いで真美ちゃんを泣かせたのに続いて、連続のマイナスポイントでありますな。で、案の定、取り残されたナポねずゴロ犬3人組トリオに追いかけられることになるんですが、どこからか聞こえて来た口笛に目をやると、おお、そこには手招きをするトムとジェリーの姿が!一時はビビって逃げ出しちゃったものの、すぐに改心したものと思われます。さすが、伊達に総本家・貝新の時雨ハマグリを食べてるわけじゃありませんなぁ。で、3人は協力して馬鹿でかい円盤状のチーズを転がしてゴロ犬3人組トリオを海に追い落とすことに成功するんですが、ここで船の出発を知らせる霧笛が港に響き渡ります。別れを惜しむトム達。ナポねずは去りゆく船に手を振りながら、「元気でね、アルバデルチ〜!(さよなら〜!)」 そして最後はゴロ犬3人組トリオも手を振りながら、「アルバデルチ〜!」 うーん、ええ話や(涙)。


「 象さんはジェリーの味方 」

 象さんが登場します。鼻が長いです。象さん、象さん、フランク永井のねっ♪…って、関係ありませんね。だいたい、お母さんがフランク永井というのは、かなり危機的な状況ですよね。そういうお母さんにはあまり母親参観日とかに来て欲しくないですよね。友達に、「お前の母さん、おっさんやん!」…と虐められるのは必至でありまして、ということで舞台はサーカスです。いいですよね、サーカス。僕はけっこう好きでしたね、「ミスター・サマータイム」とか。で、サーカスというのは僕の子供の頃、長島温泉に来ましたね。スーパーカーも来ました。いや、サーカスのほうはもしかしたら来なかったのかも知れませんが、おぼろげに「サーカスを見たような気がするなぁ。」という記憶が残っているような気がしないでもありません。で、トムに追いかけられたジェリーがサーカスのテントに迷い込んで、象さんと遭遇するわけです。サーカスに象さんはつきものですからねぇ。“象のマル秘ショー”とか。象さんにマル秘ショーをやらせて、象さん増産するのはサーカスの至上命題のようなものでありますが、さてこの象さん、足の裏に画鋲が刺さって、大いに苦しんでおります。何故、足の裏に画鋲が刺さってしまったのかサダカではありませんが、恐らくショーの中に“画鋲責め”のシーンが盛り込まれていたのでありましょう。しかし何ですな。画鋲が刺さるというのは心底痛いものでありますな。僕の中学生の頃に刺さったことがあるんですが、ほとんど半泣き状態になっちゃいましたもんね。もし、「知ってることを洗いざらい白状しないと、画鋲刺すぞ!」と拷問されたら、国家機密でも何でも即座にしゃべっちゃいますね。で、それは象さんとて同じでありまして、大いに苦しんでいるところにジェリーがやってきて足の裏に刺さった画鋲を抜いてくれたものだから、象さん、モー、大感激。いや、“モー、大感激”などという台詞は、牛さんの場合にこそ使われるべきぢゃないか?…という意見もあろうかと思いますが、じゃ、言い直します。象さん、ぱおーん、大感激。で、象さんはジェリーの味方になってトムから守ってくれると、ま、そういう話ですね。盛り上がりとしては、今ひとつです。


「 なかよし 」

 仲良きことは美しきことです。カボチャもそんなことを言っておりました。あ、カボチャが言ってたんじゃなくて、武者小路実篤がカボチャの絵の横にそんな台詞を書いていただけのことだったかも知れませんが、この「なかよし」というのは“とりもの”ですね。“とりもの”と言っても“捕り物”の類ではなく、が登場するモノ…という意味なんですが、黄色いカナリアが登場します。いや、僕は鳥の類にはまったくもって無知なので、あるいはぜんぜん違う種類のトリかも知れませんが、少なくとも焼いて食べても不味そうなトリ。そういう類のトリであります。で、このトリはジェリーとなかよしです。で、ジェリーとタッグを組んで、トムと闘います。ま、そういう話ですね。盛り上がりとしては、今ひとつです。


「 ジェリーの親友 」

 ジェリーの味方なかよしジェリーの親友。似たような類の話が続きますな。で、味方象さんなかよしトリさんでしたが、親友ブルさんです。犬キャラですね。犬ではありますが、よく出てくるスパイクではなくて、新キャラです。新キャラではありますが、あまり可愛くないキャラです。ああ、こりゃ、今回限りやな。…という気配が濃厚に漂っておりますが、とにかくまあ、トムの策略で保健所の“犬狩り”の犠牲になるところだったブルさんをジェリーが助けたのが縁で、2人は親友になるわけです。よくある展開ですね。で、「あのネコにやられそうになったらこの笛を吹きな。すぐ飛んできて、やっつけてやるからな。」と言って、笛を授けます。よくある展開ですね。で、ジェリーがトムにやられそうになると“ぴー♪”と笛を吹いて、ブルさんがやってきて、トムをやっつけます。我ながら何だか解説が投げやりになってきておりますが、ブルさんがトムをしっぽのほうからクルクルと丸めて転がし、空ビンをボーリングのピンのようになぎ倒して海に転落し、蟹のハサミでしっぽを挟まれ、「うぃ〜〜〜〜〜っ!」(←表記不能)と悲鳴を上げて、地上に戻ってくる。…というのが“お約束”となっております。同じパターンを2回繰り返しますからね。仏の顔も3度まで。これ、もう1回やったら、DVDの電源切るぅ!…と思ってしまいましたが、さすがに3度目はちょっと考えましたな。トムくんはブルさんが寝ている隙にそーっと近付いていって、ヘッドフォン型の耳栓を付けることに成功するんですが、これでいくらジェリーが笛を吹いてもブルさんには聞こえないわけであります。アホはアホなりに考えましたなぁ、トムくんも。で、早速ジェリーを捕まえて、いざ攻撃を加えようとしたところ、ブルさんに装着したハズの耳栓をジェリーが手に持っていて、焦ったトムくんはブルさんにやられる前に自分からボーリングの玉となって転がっていって空ビンをなぎ倒して海に転落し、海底を歩いていた蟹を捕まえて、そのハサミで自分のしっぽを挟ませると。うん、なかなか潔い性格ですな。が、実はジェリーの持っていた耳栓はブルさんに装着したのとは別物だった。…というのがオチ。盛り上がりとしては、まずまずですかね?


「 お好みサンド 」

 タイトルと内容が今ひとつ一致しませんな。ま、どうだっていいです。(←完全に投げやり。)空腹で餓死寸前のジェリーが超高層ビルの建築現場でパンやチーズなどの入った黒い箱(冷蔵庫?)を見つけ、それを手に入れようとして超高層で繰り広げられるトムとの華麗な空中戦。…って、気分が投げやりなので解説のほうも適当ですが、手に汗を握る、なかなかスリリングな展開ではありますな。何と言うか、レバーを操ってタマを転がして島から脱出する。…みたいな子供のオモチャがありますよね?僕はわりと大人のオモチャには詳しいんですが子供のものには疎いので正式名称はわかりませんが、あの手のゲームに似た感覚と言えるかも知れませんね。いや、言いたいことの30%も伝わってないと思いますけど。でもまあ、どうだっていいよね。


特別映像 「 捕まるのは嫌だ 」

 いや、連続14本というのは見ているだけでもちょっと辛いものがありますな。CMがなくて息つく暇もないので、尚更ですね。2回に分けての7本ずつのレビューというのも結構しんどいものがありまして、後半、投げやりになったことをお詫び申し上げます。いや、今回は「ナポリよいとこ」で燃え尽きましたね。で、前回、最後のところにちょっとだけ書いた“隠し玉”なんですが、それはオマケとして入っているこの特別映像でございます。もうひとつ、オマケとして“TV放映した時の主題歌”というのも入っておりましたが、これもなかなか懐かしいですね。ちゃん、ちゃん、ちゃん、ちゃん、ちゃん、ちゃん、ちゃん、ちゃん(←4ビート風のイントロ)、トムとジェリー、仲良く喧嘩しな♪…というヤツです。僕はこの歌の中では特に“トムトムトム、にゃ〜ご、ジェリー、ジェリー、ジェリー、ちゅう♪”というところが好きですね。何も内容がないぢゃないか。…という意見もあろうかとは思いますが、ナンセンスなところがこの漫画の持ち味だしぃ。で、歌のほうは、ま、これだけのものですが、特別映像のほうは凄いです。何せ“特別”ですからね。昔、近鉄の四日市駅前に“ベッ世界”というのがありましたが(←今でもあるのか?)、“特別”ということはただ単純に“ベッ世界”なだけでなく、“特にベッ世界”なワケですからね。これはもう、凄いです。で、この「捕まるのは嫌だ」というのは何かと思ったら、“真ん中”でした。テレビ版の『トムとジェリー』は3本立てで、1本目と3本目が“トムとジェリーもの”、真ん中の1本が“トムとジェリーものじゃないもの”という構成だったんですが、その“真ん中もの”でした。トムとジェリーが出なければ、いったい誰が出るのか?…というと、犬のドルーピーなんかが登場します。で、僕はこの“真ん中”が好きだったんですよね。“トムとジェリーもの”よりも、むしろこっちのほうが楽しみだったりしました。で、この、「捕まるのは嫌だ」は、なつかしの“ドルーピーもの”でございます。しかも、テレビ版・完全オリジナルっ!ナレーションも昔のまま、ドルーピーの声だって、きっちりと玉川良一です。ドルーピーの声は絶対、“タマリョー”じゃなきゃ駄目ですよね。これこれ!おじさんはコレを待っていたんだって!…と、思わず涙ぐんでしまうほど、懐かしい世界なのでありました。


< 総 括 >

  (1)全編、“完全テレビ版”にする。 (2)3本に1本は“ドルーピー”にする。 (3)“眉毛トム”はやめる。

   もし、この3点が実現されれば文句なしに“★★★★★”(5つ星)を進呈出来るんですが、現状では“★★★”程度ですかねぇ。最初から期待しなければ、それなりには楽しめます。


< 編集後記 >

 えー、書いてしまってから幾つかの“トムとジェリー”関連のサイトを調べて見て、幾つかのアヤマチがあったことに気が付きましたので、訂正します。お詫びはしません。ま、人間、誰にでも間違いはあるわけだしぃ。で、まず1点。「ア、ポン!ア、ポン!レロレロレロレロレロ!」と、トムくんを驚かすのは、ジェリーの強いイトコではなく、トムくんの弱いイトコをジェリーが驚かす時のものでありました。ネズミが大嫌いな、トムくんにクリソツ(←死語?)のイトコが登場する「なにがなんだか」という巻だそうです。あと、僕が感動した“ドルーピーもの”の「捕まるのは嫌だ」なんですが、この作品だけいつもと声優が違う…という説がありました。いや、もしかしたら違う作品のことかも知れませんけど。いずれにせよ、昔のテレビ版「トムとジェリー」を全編ビデオに録画していた人っていないんですかね?もし持っている人がいたら僕にください。すけべビデオ(表モノ)と交換しましょう。

( おしまい♪ )


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