第8話 「冗談じゃない。」

(2007年02月06日更新)


 ぱやぱや、ぱっぱやっぱや、ぱぱっぱやっぱー♪

 このような (↑) メロディがイントロ・クイズで流れてきたら、答えは簡単です。 「ぱやっぱの歌」 って、違います。 世の中にそんな歌はありません。 「ぱやぱや、ぱっぱやっぱや♪」 とくればこれはもう、 「3年目の浮気」 であるわけですが、そんなん、字で書かれてもわからへんやん!…という気がしないでもないんですけどね。 歌っていたのはヒロシ&キーボーなんですが、よかったですよねぇ、ヒロシ&キーボーのヒロシくん。 ヒロシ&キーボーのヒロシと言えば川口浩、戸塚宏と並ぶ “世界3大ヒロシ” の一人であるわけなんですが、更に 「ど根性ガエル」 のヒロシを加えて、 “ヒロシ四天王” と呼んだりすることもあるんですけどね。 どうせなら大森屋のヒロシくんも仲間に加えて “ひろしゴレンジャー” を結成したらどうか?…という話もあったんですが、大森屋のヒロシくんというのは今ひとつ知名度が低かったので、その話は結局、立ち消えになったみたいですけどね。 そものも大森屋のヒロシくんというのは誰なのかというと、桑名の萱町で八百屋を経営している僕の親戚のオッサンなんですが、このヒロシくんがもうちょっと有名であれば秘密戦隊を結成することが出来たのに、ちょっぴり残念な結果に終わってしまいました。 ま、ゴレンジャーを結成したら結成したで、誰がリーダー役の “アカひろし” をやるかで、揉めることになるような気もしますしね。 キーボーの相方にして黒沢年男の実弟 (ヒロシこと “くろさわ博”) 、探検隊の隊長、ヨットスクールの校長、ピョン吉の友達、八百屋のオッサンという経歴からすると、川口浩か戸塚宏が適任なのではないか?…という気がするんですが、リーダーが決まったら決まったで、今度は誰が “モモひろし” をやるかというのがまた、大きな問題ですからね。

 それにしても 「3年目の浮気」 というのは盲点でしたなー。 昨年末、忘年会の二次会でカラオケを歌う機会があったんですが、デュエット曲と言うと僕の場合 「ロンリー・チャップリン」 しか歌えないんですよね。 でもまあ、これは1年前の城崎温泉で歌ってしまったので今回は自粛することにしたんですが、よく考えたら 「3年目の浮気」 でもイケたと思うんですよね。 「一緒にデュエットするぅ?」 と持ちかけて、「えーっ?私、タカシくんと歌いたいー!」 などと言われた場合、とりあえず “ぱやっぱ担当♪” になるという手もありますしね。 ま、出来ることならカッコよく、馬鹿いってんじゃないよ〜♪ という名セリフを決めたいところなんですが、ところで君は 「3年目の浮気」の続編で 「5年目の破局」 という歌があるのを知っているかな?

 (1) ヒット曲を1曲作っただけで才能が枯渇し、それ以降の曲が作れなくなった
 (2) ヒットした楽曲の印象が強くなり過ぎ、その後の音楽活動とリスナーの期待が一致しない
 (3) ヒットの後、次の楽曲を発表するまでに時間がかかり、リスナーとの結び付きを作るのが難しくなった
 (4) 当初からヒットは狙っておらず、マイペースに活動していたものの、特定楽曲だけが注目されてしまった
 (5) そもそも、最初から商業音楽で生活するつもりがなく、たまたま特定楽曲に光があたったが、その後も音楽活動をしなかった
 (6) ヒットした楽曲と同じタイプの曲を作ったが、結局リスナーに飽きられた

 これは “Wikipedia” による 特定楽曲だけがヒットするという要因 の分析結果なんですが、ヒロシ&キーボーの場合は、典型的な (6) の事例やよな。…という気がしますよね。二匹目のドジョウというか、宍戸錠というか、あまりにもヒットした楽曲と同じタイプの曲でありすぎて、こりゃ、リスナーに飽きられるよな。…としか思えないような歌でしたからね、「5年目の破局」。 ちなみに、3年目の決め台詞が

 (女) 馬鹿いってんじゃないわ〜♪
 (男) 馬鹿いってんじゃないよ〜♪

だったのに対して、5年目のほうは

 (女) 冗談じゃないわ〜♪
 (男) 冗談じゃないぜ〜♪

ということになっていたんですが、そんなことでまあ、今回の4コマ漫画の主人公はデューク・ジョーダンであります。

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 デューク・ジョーダン (1922〜2006) って、彼の経歴を調べて、去年、死んだのかっ!…というのと、去年までは生きていたのかっ!…ということが判明して、ちょっとショックだったんですが、2006年8月8日にコペンハーゲンにて帰らぬ人となったみたいですね。 帰らぬ人になったというのは、家出しちゃったとか、徘徊から戻らなくなったということではなくて、お亡くなりになったということだと思うんですが、そうですかぁ。 去年の “そろばんの日” にお亡くなりになりましたかぁ。 ちなみに、どうして 8月8日が “そろばんの日” なのかと言うと、そろばんを弾く音がパチパチだから 8月8日なんですが、デューク・ジョーダンはパチパチの日にパチパチと火で焼かれて、火葬されちゃったわけなんですな。 いや、死んだのが 8日なら、その夜が通夜ということになって、本葬と火葬は翌日なんじゃないか?…とか、そういう細かい話はどうでもよくて、デューク・ジョーダンと聞いてまず最初に頭に浮かぶのは、やはり漫画にも登場している 「危険な関係のブルース」 ということになりましょうか。 1960年のフランス映画 『危険な関係 (Les Liaisons Dangereues) のテーマとして用いられたこの曲を作ったのがデューク・ジョーダンなんですが、音楽監督がピアニストのセロニアス・モンクで、テーマ曲を演奏しているのはアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ。 でもって、作曲者としてJ.マレーなどと言う、よく分からん人の名前がクレジットされたものだから、ジョーダンの名前はどこにも出てこないばかりか、作曲者として得られるはずの著作権料すら一銭も入ってこなかったというのだから、何ともひどい話でありますなぁ。。。 これはもう、ヒロシ君でなくとも 「冗談じゃないぜ〜!」 と言いたくなるのが普通だと思うんですが、当のジョーダン君は至って人のよい酒飲みのオッチャンというキャラだったようで、さほど気にすることもなく、のほほんとしていたらしいんですけどね。

 こういう底抜けのお人よしというのは本人は別にいいとして、周囲で見ているほうは何だか歯痒くて、もうちょっとしっかりせぇ!…と、叱咤激励したくなるものなんですが、例えばブルーノート・レコードのプロデューサーだったアルフレッド・ライオンなんかもそのクチだったようです。 このライオン君、名前こそ、めっちゃ獰猛なネコ科の大型肉食獣やんっ!…といった感じなんですが、実際にはとっても紳士でジェントルなオジサマだったらしく、 『フライト・トゥ・ジョーダン』 というアルバムの中で彼にこの曲を演奏させて、作曲者としてもちゃんと彼の名前を載せて、演奏賃と作曲賃の両面でちゃんとお駄賃をあげたりしております。 ちなみにここでは 「危険な関係のブルース」 ではなくて、 「シ・ジョヤ」 という変なタイトルになっていたりするんですが、この曲名は一体どういう意味なんでしょうね? 家柄のいい娘さん? それは、良家の子女や。 …とか、そういう時くらいしか使いませんもんね、 「シ・ジョヤ」 なんていう言葉。 ちなみに 「ジョーダンへのフライト」 というアルバム名も今ひとつ意味不明だったりするんですが、“Jordan” と書いて “ヨルダン” 。 そう、リーダーの名前と中東の国名とを掛けた、なかなか洒落た名前だったりするんですよね、これがまた。

 で、このライオン君の “ 「危険な関係のブルース」 の作曲者は実はデューク・ジョーダンだったんだよキャンペーン” にもかかわらず、おそらく本人があまり乗り気でなかったのが災いして、その事実が広く世間に知れ渡ることはなかったんですが、それに歯痒い思いを抱く人がまたまた登場しちゃいます。 チャーリー・パーカーの未亡人、ドリスちゃん。 デューク・ジョーダンはその昔、パーカーと一緒に演奏したことのある間柄なので未亡人としてもそのまま見過ごす事が出来なかったんでしょう。 自ら立ち上げたレコード会社で彼のリーダー作を作ることになったんですが、アルバム・タイトルはずばり、 『危険な関係』 。 で、問題の 「危険な関係のブルース」 を3回分も吹き込ませるという念の入れようでありますが、ちなみにこのアルバムを取り上げた 拙文 がここにあったりするので、節分から数日後のこの時期に読み直してみるというのも一興かと思います。 何だか、わかこ先生のジョーダンに対する熱い思いが伝わってくるような内容であったりしておりますな。 で、“ 「危険な関係のブルース」 の作曲者は実はデューク・ジョーダンだったんだよキャンペーン・第2弾” を展開するドリス未亡人の熱い思いを知ってか知らずか、当の本人は相変わらずの能天気ぶりで、せっかくの3連発であるにも関わらず、今度は肝腎の曲の名前が 「ノー・プロブレム」 になっていたりして、作曲者として名前が世の中に出ようと出まいと、そんなの全然かまへんやん。…みたいな。

 そんな愛すべきキャラであるジョーダンを愛するわかこ先生と猫マスターの猫おくさんは、実に愛すべきギャルであるな♪…と、僕は思うんですよね。 いや、世間一般的に見てギャルと呼んで差支えないのか?…という問題はとりあえず置いといて。 それに引き換え、漫画の中に登場するこの猫ギャルたちの了見は一体どうなっているんですかね? ウイントン・ケリーとビル・エヴァンスは僕も大好きだからいいとして、えーっ? 幻想的なキース・ジャレットがマタタビっぽくて好きぃ? チック・コリアが知的で素敵だぁ? 何を隠そうキースとチックこそが僕の “2大仮想敵” であるわけでして、いや、その演奏はほとんどまともに聴いたことが無いんですが、何となくギャルにモテそうで、何か気にくわん。…という、ただそれだけの理由で毛嫌いしてるんですけどね。 その他、いろいろなジャンルの、たくさんの人のジャズ演奏を聴いた上で、キースとチックも好きっ♪…というのならまったく問題はないんですが、ただ雰囲気だけでキースとチックだけを聴いて、私って結構、ジャズなんかが好きな人だったりするの。…なんてことを抜かすギャルがいるとすれば、僕はそれこそ、 「冗談じゃないぜ!」 と思わずにはいられません。 あ、わかこ漫画が目当てでこのページを読んでいる、そこのギャルのあなた。 知名度少なくて、ドロくさくて、哀愁タイプの 『塩サバ通信』も、ひとつよろしくお願いしますね♪

 ということで、今回のお話はおしまい。


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